ホモに惚れた女達

私の初ホモ友達は、今はスッカリ(?)中年のオッサンになってしまったが、若かりし頃は郷ひろみ似の男前であった。
彼が少々太り始め、頬っぺたにたこ焼き2ツ付けたようになってからは、彼の周りをうろつく女の数も頓に減ったのだが、郷ひろみ張りであった頃は、彼をホモとは知らずに恋心を抱く女の子が後を絶たなかったものだ。
私は彼の親友でもあったので、私に何とか仲を取り持ってくれと頼んでくる子も何人か居たのだが、彼の秘密(ホモ)をばらす訳にもいかず、困った立場であった。終いに女の子達は、私が彼に惚れていて仲を取り持たないと勝手に思い込み、皆から憎まれ役になっていたのである。

彼と街中を歩いている時に雑誌社の取材を受け、【お洒落な恋人達】特集に写真を掲載させてくれないかと頼まれた事があったのだが、ホモ男とタダの女友達の我々2人、丁重にお断りさせて頂いた。そんな雑誌に掲載されたら、それこそ先の女の子達から更に爪弾きに遭うこと間違いないし、彼の恋人や私の男探しに支障をきたす。

この彼を始め、前回のコラムに登場したフランス人ホモカップル、その他のホモ友達、何故か皆男前揃いだ。彼らを通して知り合ったホモ達の中には、そうでもない男も結構居るが、幸運にも 不幸 にも、私のホモ友達たちは全員美形である。
しかし、世の中とはうまくいっているのかいないのか、美形の彼らの好みは
≪ヒエ~ッ!≫と思う事が結構多い。
郷ひろみ似の彼が一時真剣に恋に落ちた事があり、私は毎回彼のノロケを聞かされていた。彼の言葉を聞いているうちに、私の中で勝手に相手の男性像が出来上がり、さぞかし格好の好い素敵な男に違いないと思っていたのだ。
この相手の男性はイタリア人だったのだが、ある日来日することになった。
私は何故か心ウキウキし、彼との初対面を心待ちにしていた。そして、いよいよその時が来た。彼と一緒に空港へ迎えに行った私は、全くもって自分の目を疑ったのである。
そのイタリア人は、背の低い腹の出たデブッチョおじさんだったのである。
≪オ~ッ!郷ひろみの惚れた相手がこいつかぁ~~~!≫
余計な事にも、 郷ひろみとデブッチョおじさんの絡みシーン が目に浮かび、私は少々の胸焼けを感じ、早々に引き上げさせて頂いたのである。

数年前、ある日本の大都市自治体が、国際ビジネス都市としての外国向けパンフレットを作成する事となり、知り合いのスタイリストから、素人外国人モデルを紹介してくれと依頼された。ラテン系の褐色の髪・目を持つ男性を希望とのことで、私は友人のイタリア人を紹介したのである。
そう、このイタリア人の彼も、これまたホモであった。
この彼、自治体やスタイリストから即OKが出たほどの格好いい男である。当然ながら、日本の多くの女性達が彼に惚れる訳だ。
この彼、ホモ専門家(?)の私でも見分けがつかぬほど、外見ノーマル。話し方とて普通の男性と全然変らない。本人もそれが一つの自慢でもあるらしい。
が、私は初対面でホモと見抜いたのだが、それは初めて出合った時に彼が一切私の目を見なかった事に起因している。一緒に居た現夫の目しか見詰めていなかったのだ。(決して私が自信家だという訳ではなく、男のプロ(?)としての動物的勘とでも思って頂こう)
結局彼も、しばらくして私にカミング・アウトする事となり、彼がホモであることが確実となった訳だが、そうなると又、絡んでくる女達の恋心の処理を私がせねばならぬ羽目となる。
先のパンフレット製作に携わった自治体・エージェント・スタイリスト事務所などに勤める女性達も然りであった。
彼自身が、「僕はホモだから・・・」と断っても、彼のようにノンケらし過ぎると、女性達は ひどい言い訳 としか受け取らないのだ。

ホモの彼らに 彼女 は居ないので、他の人達にはフリーに思えてしまい、その空いた席を狙おうとする女達が多く居るところが悲しい。
一時のノボセとして、時と共に忘れてくれたらよいのだが、ホモ相手に真剣に恋をしてしまった女性達を思うと、なんだか私が罪悪感に苛まれてしまう。
いい加減、私が彼にらに代わって、カミング・アウトさせて頂きたい気分である。

このイタリア人の彼はまだまだ若くてお盛んなので、ホモ特有の遊び相手探しにも大忙し。5年続いた関係に失恋した時などは、自棄のヤンパチ状態も重なってすごかった。私と彼、チョッと空いた時間が出来たので、2人でホモの溜まり場へ出向いたことがある。此処には一時の遊び相手探しに多くのホモ達がたむろしていた。
その男達を見ながら、彼は「アレがいい」とか「やっぱり、こっちにしようかな」とか、必死に物色していたのだが、その アレ とか こっち を見ると
み~んな高校球児のような坊主頭の少年だったのである。

≪若い女性達⇒⇒⇒郷ひろみ⇒⇒⇒デブッチョおじさん≫
とか
≪美しい女性達⇒⇒⇒モデルのイタリア人⇒⇒⇒高校球児≫
と、
な~んと 世の中侭ならぬ のであろうか・・・


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