自称★脳外科医

お見合いパーティーごっこが続く中、私はそのパーティーで、自称【脳外科医】という紳士と巡り会った。

浮かれ気分の奴や、相手探しに必死の形相な奴が殆どの中、彼はワイングラスを片手に、静かに外の夜景を見ていた。
アルマーニのスーツをさりげなく着こなし、足元には高価そうなビジネス鞄を置いていた。
その様が、その賑々しいパーティーの中ではとても新鮮に見え、私は自ら彼の傍へ行き、彼と同じように黙って外の夜景を見ていた。

彼は当然の如く私に話し掛けてきた。
話し方も大変穏やかな、物腰柔らかい男性であった。
Pa~も、今までのようにお茶らけず、気取った淑女のフリをする。
色々と会話が続いた後、まだまだパーティー真っ只中ではあったが
「僕はもう年寄りですから、にぎやかな事が苦手なんですよ。
もっと静かなお見合いパーティーかと思っていましたが、この騒々しさには辟易としてきました。
よろしかったら、一緒に抜け出しませんか?」
Pa~も、そろそろ足腰疲れてきていたので、彼の申し出に即効同意、その結婚紹介所の掟を破り、二人でこっそりと抜け出しホテルの駐車場へと向かった。
配車係が運転してきた車は、彼にふさわしい濃紺のBMW

逃げ出す男を数多く見てきたので、その日Pa~は愛車を置いてきたのである。
≪オ~ッ!なんてラッキー!!!≫

立食パーティーのろくでもない食事も殆ど口にしていなかった我々は、彼の行き付けだと言う新地の料亭へ出掛ける事にした。
その料亭はPa~が初めて行く店であったが、彼は顔馴染の様子で、仲居さんの一人に「来週の△△科の親睦会の件、頼むね!」などと言っていた。

その料理屋での会話では、彼は
京大医学部卒
阪大病院脳外科勤務

≪?????≫
≪何故に京大医学部出て阪大病院勤務な訳?≫
とPa~素直な疑問
その疑問を問うと、京大の教授の反感を買い、伝手を頼って阪大に勤務するようになったと言う。

≪まあ、そんな事どうでもいいっかぁ~!≫
美味しい食事が済み、新地のクラブへ
クラブを2軒回ったが、どちらでも彼は常連の上客で、席に付くや否や彼のキープボトルの ヘネシー が持って来られた。
Pa~は ヘネシー も好きだが、 マーテル・コルドンブルー の方がもっと好き!
それを言うと、彼はすぐさま新しいボトルを持って来させる。
その当時の新地高級クラブ価格
ヘネシー 35,000円
コルドンブルー 60,000円
だったと記憶している。

彼は殆ど呑むこともなく、Pa~とホステスさん達で1本空けてしまった。
兎に角、女でありながらホステス遊び大好きPa~であったので、本当に楽しいひと時を過ごした。
料亭の時と同じく、彼はVISAゴールドカードで支払う。
そして、新地のタクシー乗り場まで送ってもらい、車代として1万円を頂いて帰路についたのである。

Pa~の友人は、阪大病院脳外科に勤めている。
早速、その友人に電話を入れ、彼の事を尋ねてみた。
すると帰ってきた答えは
「○○××?そんな医者は此処には居ないよ」

≪ゲェ~~~ッ!!!???≫
Pa~、次に京大の友人にも電話を入れた。
京大医学部の卒業者名簿を調べてもらう為だ。
彼も忙しい合間を縫って調べてくれたが、○○××という名前は見つからなかったのである。

・・・・・・・・・・・またまた、つづく


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