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今回は、2000年前のイエス当時にタイム・スリップしていただく。
原理の第4章は『 メシヤの降臨とその再臨の目的 』である。
「歴史は繰り返す」という観点で、イエスの時も終末、そして、イエスの再臨の時も終末であるということは、同じような出来事が終末という今日にも起こるということである。それはまた、現代の私たちにとっては歴史が残した教訓としても有意義なものとなる。
イエスの時代、新約聖書はなかったし、ノストラダムスや韓国の『鄭鑑録』・『格庵遺録』は勿論、ハイカラな『原理講論』も存在しなかった
当時の予言書といえば、『旧約聖書』。
当然、ユダヤ人たちはその中に書かれてある予言を信じて、ひたすらにメシヤの降臨を待ち望んでいたのである。原理からは、
メシヤという言葉は、ヘブライ語で油を注がれた人を意味するが、特に王を意味する言葉である。イスラエル選民は彼らの預言者たちの預言によって、将来イスラエルを救う救世主を、王として降臨させるという神のみ言を信じていた。これがすなわち、イスラエルのメシヤ思想である。
ユダヤがローマの属領となり、ユダヤ人たちが望んでいたのはそこから解放してくれる王であった。また、その王(メシヤ)が来る前に預言者エリヤを遣わす、というのが(旧約)聖書最後の予言である。
(一)エリヤの再臨を中心とするユダヤ人たちの心的動向
実体神殿としてのメシヤを迎えさせるために、神は四大預言者と十二小預言者を遣わし、サタン分立の摂理をされた。 また、神は特別預言者エリヤを遣わし、 カルメル山でバアル預言者たちと対決させて、バアル神を滅ぼされたのも、このような理想実現のみ言を遮るサタンを滅亡させるためであった。 しかし、エリヤは彼の天的な使命を完遂できずに昇天したので(列王下二・11)、メシヤを迎えるためにサタンを分立していく路程で、再びサタンが横行するようになったのである。ゆえに、 イエスの実体神殿理想が成し遂げられるためには、前もって、エリヤが地上で完遂できなかった、サタン分立の使命を継承完遂せしめる摂理がなくてはならない。このような摂理的な必然性によって、預言者マラキは、エリヤが再臨することを預言したのであった(マラキ四・5)。
自分たちを救ってくれる王の出現を待っていたのは事実だが、それに先立って来ると予言されているエリヤの再臨も、彼らは待ち望んでいたのである。
ところが、そのエリヤの噂もないままにイエスがメシヤを名乗って出てきた。
ユダヤ人たちは、マラキの預言を信じる立場に立てば、まだエリヤは来ていないのであるから、メシヤとして自称するイエスを見捨てるよりほかはなく、これと反対に、イエスを信じる立場に立てば、エリヤが来たのちにメシヤが来ると預言した聖書を捨てる以外にはないという二者択一の立場であった。 そこで、到底神の預言を捨てることができなかったユダヤ人たちは、やむを得ず、イエスを信じない道を選ぶ以外に仕方がなかったのである。
むしろ、この予言がイエスに災いした。
もちろん、エリヤに関してはイエスもいくつかの言及をしている事は、新約聖書からも読み取れる。ヨルダン川でイエスに洗礼を施し「神の子」と証言した洗礼ヨハネこそが、そのエリヤであると断言したのである。マタイ3章・3にも、洗礼ヨハネがそれであると書かれている。エリヤの使命としては、メシヤを証言し彼と共に行くべきであった。ところが、ヨハネはその後はイエスと別行動をとったのである。
洗礼ヨハネが、後にヘロデ王につかまり牢獄から彼の弟子をイエスの元へ送った。そして 、「あなたは、メシヤですか?」 と尋ねたのである。イエスのこの時のやるせない思いが、聖書には記されている。
まさに、この洗礼ヨハネの無知・不信こそがイエスを十字架へ追いやる元凶となったのである。
さて、原理ではイエスの「 十字架による救いの摂理 」についても詳しく書かれている。
旧約聖書からは、 メシヤ降臨の予言については二通りの予言 がされている。このシリーズ初めからも、予言のいい加減さを挙げているがそれである。
一つは、ユダヤの王としての華々しい予言。そして、もう一つは苦難(十字架)の予言である。
原理では、メシヤに関しては最初の予言を重要視している。
しかし、洗礼ヨハネの無知と不信で本来の予言が成就出来なくて、イエスは二次的な救いの予言の十字架の道を行かれたである。
では、再臨に際しても、もう一度十字架にかかるためにイエスは来られるのだろうか。否、決してそうではないはずだ。
さて、新約聖書もまた、旧約聖書同様に二つの予言が書かれている。私たちは、2000年前の予言の教訓を生かして失敗を繰り返さないようにしなければならない。
現代の洗礼ヨハネは一人か、というと、必ずしもそうではないようだ。
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