Going My Way♪~気まぐれkaaの日記

CAP講師 西野緑先生の講座




先日聴きに行った講座の内容です。
講師の西野緑先生は、大阪府教育委員会スクールソーシャルワーカーをされている一方、CAPの講師もされています。

CAPとは、「エンパワメント」(内なる力を引き出す)「人権意識」「コミュニティ」の考えを柱にした子どもへの暴力防止/人権プログラムだそうです。
詳しくはこちらを見てください。
http://www.cap-j.net/


講座の題名を見ると、かなり専門的かつ一部の問題のように思えますが、実際は子どもの心に関する全般的なお話を聴くことができました。
(途中ワーク形式で、周りの何人かと話す時間を取りながら、2時間弱)

何か問題を持った子ども、例えばイジメをする子などいわゆる加害者側もしんどい事情を持っていると言われます。
もちろんされる側の子を最優先に考えないといけませんが。

◆さて、最初に「しつけとは」という問いがあり、大切なのは
「I’m OK」(自己信頼)だと言われました。

赤ちゃんの頃、泣いたら抱っこしてもらえる。
私は大切にされてる。
世界は私を裏切らない。
自己と他者へのゆるぎない信頼。

そういうところから「自分はかけがえのない大切な存在であるという実感」を持つことができる、と言われます。

◆そして、最近の子どもや保護者との関わりから見えてくることとして、
【子どもの課題】
注目して欲しい・関心を持って欲しいという愛情の問題・ためし行動(自分がどこまで受け入れられるか)である場合が多い。
こういう子は排除しようとすればするほど問題を起こす。

また別の観点から「虐待的養育環境」
(これは、必ずしも虐待を受けている、というわけではありません。)
例えば貧困、精神疾患(アルコール依存も含む)、社会からの孤立、DV、虐待
また親の離婚やそれにつながる争い、度重なる転居、親の犯罪や病気などによって、心のゆとりを失い、親自身が子どもに愛情を注ぐ余裕がなくなる。
(こういった原因が悪いということではない)

あるいは「不適切な養育環境」
過保護・過干渉・過剰期待・きょうだいで扱いが違う、などによって自尊感情が持てなくなる。

【保護者の課題】
保護者自身の余裕のなさ、不安感や孤立感、親自身の未解決な課題(夫婦関係・自分の親との関係)を引きずっている場合が多い。

【指導者や支援者の課題】
・対応のミスマッチ
  教育的対応(その子が問題児だ、親が悪いなどと言う)懲戒的対応(罰を与える・怒鳴る)
・何とかしたいという思いからの抱え込み(民生委員や担任など)・治療やカウンセリングを薦めたりして、個人の問題にしてしまう。
そして、システム化できていないつながり。

◆子どもの虐待について
「しかる」というのは本来「しかある」=このようにある、ということ。

「虐待」とは、恐怖心・痛み(身体的・精神的)を伴うもの、と言われました。
子どもにとって、恐怖心や痛みが伴ったらそれは一種の虐待になる、ということですね。

感情のままに怒ったり、「早くしなさい!」と焦らせたり、「何回言わすの!」と繰り返したり。
おそらく普通の親だったら誰でもしてしまいそうなことですが、それが子どもに対する度を越えた支配権の行使であると、虐待的になってしまう、と言われました。


◆家庭・学校・地域でできること
それではどうすればいいのか。
子どものエンパワメント(内なる力を引き出す)
(1)子どもを信じる-ありのまま、肯定的メッセージ
(2)子どもに注目する-まず待つ、聴く。
(3)子どもに向き合う-気持ちを尊重しながらできることを一緒に考える。子どもが選ぶことを援助する。大人が自分の気持ち・考え・経験を子どもに伝える。

いけないことをした場合でも、まず話をじっくり聴いて、(1対1)そのあと「気持ちはわかるけど、あかんよね」というように持っていく。

頭ごなしに怒られてもかえって反発したり心を閉ざしてしてしまう、と言われました。

そして、課題を抱える保護者への支援(保護者に対するエンパワメント)
保護者を否定しない、ねぎらう(相手の人生を肯定する)
一人の尊厳ある人間として尊重する
保護者自身の持つ肯定的な面に光を当て潜在能力を信じること
共に子どもの幸せを願うものとして協働すること(パートナーシップ)

課題を抱える保護者に対して地域の大人にできること
「しんどさ」「生きづらさ」を語り合うための「場」の設定
家庭・学校・地域で風通しのよい関係を築く

などと話されました。

そして、自分(親も子も)に自信を持つ(肯定する)ための方法のひとつが「短所を長所に変える」だったのです。


時間が足りないくらい内容の濃いお話でした。
長い文章になりましたがどれだけ伝えられたか不安です。

「虐待」ということに限らず、子育て一般、特に不登校の子どもたちや親たちの気持ちにも通じるような気がしていました。

子どもは(もちろん親も)ひとりの人間として尊重されるべき存在。
生まれながらに潜在的な力をもっている存在としてみることが必要なんでしょうね。



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