Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2004/12/09
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カテゴリ: ピアノ&ギター
 独学でピアノを始めてから、練習の場はもっぱら家だった。
弾き語りは結構恥ずかしいので、家族のいないときなどに集中的にやっていた。

 だが、そのうちある程度自信がついてくると、外で自分で歌ったり、
誰かの歌の伴奏がしたりしたくなってきた。外で弾くとなると、
その手のピアノ・バーを見つけるしかない。
ピアノ・バーにも2種類あって、ホステスさんのいるラウンジ系、
そしてライブハウス系のピアノ・バーである。

 大阪や神戸のような都会では、前者は座っただけで1~2万円という店も少なくない。
僕のようなサラリーマンは、おいそれとは行けない。
後者では定期または不定期で、ジャズなどの生演奏をやっていることも多いので、
素人が弾かせてもらうのは、なかなか難しい。
(下手だと、他のお客さんから、確実にクレームが来る)。

 だから、まずその店に通い詰めて、マスターと仲良くなることから始める。
そして、ライブの合間の、他のお客さんが少ない頃合いを狙って、
「お願い」して、弾かせてもらう。

 そんな風にして、歌の上手い友人を誘って、洋楽や邦楽のポップス系の曲を、
よく練習させてもらった。1人で行くときは、もっぱらジャズの曲(歌なしのソロ・ピアノ)を練習し、
徐々に、レパートリーを増やしていった。運がよければ、ドラムを叩けたり、
ベースを弾けたりする人(もちろん初対面が)が加わってくれて、
「にわかトリオ」で練習できたりもした。

 しかし、そのいつも練習させてもらっていたライブ・バーが、
ある日突然、閉店してしまった。練習場所を失ってしまった僕は、途方に暮れた。
そんな時ちょうど、徳島への転勤の辞令を受けた。
初めての、知らない土地。知り合いも1人もいない。気持ちはさらに暗くなった。
見知らぬ客に、気軽にピアノを弾かせてくれるようなバーがあるだろうか、と。

 でも、そんな心配は杞憂に終わった。徳島には、地方都市にしては珍しいくらい、
ジャズ系のライブ・バーが多く、7、8軒もあった。そして、
その「敷居」は都会のバーでは、考えられないほど低かった(料金も驚くほど良心的だった!)。

 僕をすぐに温かく受け入れてくれた徳島のジャズ・バーは、
まるで家族のように扱ってくれる、居心地のいい空間だった。客は常連が多く、
親しくなるのに時間はかからなかった。僕の伴奏で歌ってくれる人も、すぐに何人もできた。

 経営者がプロのピアニストだった店も何軒かあった。営業時間外に、
ジャズ・ピアノのレッスンまで、格安の授業料でしてくれた。そんな幸せな土地で、
僕はさらにピアノが好きになってしまった。
僕のピアノの師(恩人)は、徳島という街そのものかもしれない。

 都会に再び戻った僕は、何とかまたピアノを弾かせてくれるバーを見つけたが、
敷居はそう低くはない。徳島にあったような、家族的な雰囲気のピアノ・バーが、
大阪や神戸にももっとあればと願うが、それは叶わぬ夢かもしれない。





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Last updated  2005/01/24 03:08:43 PM
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うらんかんろ

うらんかんろ

Comments

汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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