ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jul 15, 2006
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 今日はフィラデルフィア管弦楽団員による演奏会を聴いてきた。

 一曲めのハイドンの三重奏(バイオリン、ビオラ、チェロ)は、なんとも渋くて、あまりハイドンっぽくないなと感じたけれど、バイオリンパートのみを酷使するあたりは紛れもなくハイドン流。

 二曲めはチャールズ・アイブスのピアノ三重奏。難解な現代音楽かと思いきや、アメリカンなカントリー、フォークの旋律が随所に散りばめられていた(らしい)。実験的で飽きない作品だった。一緒に聴いてた友だち(マーディとフィル)もお気に召したよう。アメリカ人の心を揺さぶる音楽なのだろう。僕は一節も認知できなかったけれど。

 さて、今夜のメイン、チャイコフスキーの弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」。
 この曲、かつてCDを聴いて第一印象があまりにかっこよかったので、実際に弾いてみたくなり、周りの友だちを片っぱしから誘って回ったことがある。だけど、通を気どる人に限って、この曲がいかにガチャガチャやかましくて合奏に不向きであるかを説き始め、そのうえ、せっかく六人も集めるんだったらブラームスやドボルザークの六重奏を弾くべきだとの結論に導かれ、なかなか実現しない。
 実際、彼らのおっしゃることが理由かどうかはわからないが、プロの方がたですらなかなか演奏会でとりあげてくださらないようだ。
 だから、今日はついに目の前で聴けて貴重な体験をした。

 「フィレンツェの思い出」という浪漫的な名前に見事に惑わされる。フィレンツェに行ったこともないし、どういう土地なのか見当もつかない自分にとって、全然フィレンツェのの香りが嗅ぎとれない。むしろ、チャイコ独特のロシア臭さが強烈に漂っている。ビオラのソロにいたってはボヘミア的ですらある。(そう聞こえるのはドボルザーク症候群に感染しているゆえか。)

 でも、名曲だとは思う。、「どっかで聞いたような」響きが随所に出てくる。チャイコフスキーの交響曲や協奏曲、バレエ音楽、あるいは「弦楽セレナーデ」などを聴いたことがある人なら、曲を初めて聴く人でも、「これはチャイコの曲!」と一発で当てられるだろう。

 この曲、3楽章が一番おもしろいと思う。第二バイオリンの合いの手とかも、ちょっと濃すぎるけど痛快。4楽章のフーガも、「いかにも」な感じがいい。

 混沌としていて、超こってり味のこの曲を過小評価する方がたの気持ちがわからないでもないけど、この曲はナマでいただくに限ると思った。





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最終更新日  Jul 17, 2006 01:52:47 AM
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