ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Dec 28, 2006
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カテゴリ: 映画、テレビ
 こないだ、外国流儀の挨拶のひとつ、 「抱擁」 について熱く語っちゃいましたが、今度は、ある雑誌に「握手の技法 The Art of the Handshake」という記事を発見。
 握手なんて簡単と思われがちですが、この記事の筆者は、握手がいかに奥深く、接吻なんかよりも難しいものであるかを説いていて、ちょっと考えさせられました。

 確かに、少なくともアメリカのビジネス界においては、初対面のときや会議の前後などの場面でいかに上手く握手を交わして好印象を残すかは重要なようです。日本の 名刺交換の儀 に似て、ある程度の練習が必要。ビジネスの成否のカギをも握るとなれば、やはり完璧に習得しといたほうがいいかもと焦るのであります。

 握手をしてるわずか一、二秒間のあいだに行なわなければいけないことは、ずばり四つ。

一、相手の目を見る
一、がっちりと相手の手を握る
一、握った手を一回だけ上下に揺する
一、相手の名前を言う

 大切なのは、これらを同時に、かつ率先して行なうということ。主導権をも握らなければいけません。なめられたらおしまいです。体格や英語力では既にヤツラには完敗なのですから。

 ところで、握手している最中、空いている左手をどうするか。
 ズボンのポケットに入れたまま、というのは、日本では絶対に無礼とされるでしょうが、アメリカでは実は全く問題なし。
 右手に添えて両手で握手したり、あるいは左手で相手の肩や腕に軽く触れたりしても意外に大丈夫なようです。過度な接触として敬遠されそうな気もして微妙なとこなのですが。

 過度と言えば、中近東の男性でしょうか。握手しながら、 その状態のまま 立ち話をするのを好まれるようです。ずーっと手を握られたままの状態で五分ぐらい。しかも彼らの立ち位置はずばり真っ正面。近すぎます。濃すぎます。暑苦しすぎます!

 女性と握手する場合はもっと緊張します。
 僕の知る限り、ヨーロッパ(イギリスのみ?)では、男性は決して自分から先に手を出してはいけないという暗黙の掟があります。相手の女性の出方を待たなければいけない。
 ときどき手の甲を差し出してくる女性もいます。そんなマダムには、握手ではなく、手の甲に軽く接吻してさしあげる。……これ、僕には一生かかっても紳士的にさらりとはこなせない。

 ちなみに、やはり時代とともに握手のしかたも変わっていくのでしょう。
 アメリカだけではないと思いますが、腕相撲みたいな状態で握手して、そのまま互いの身体を寄せ合い、右肩どうしを軽く合わせる、という挨拶。ヒップポップ系な世代でよく見かけます。

* * * * *

 最後に映画ネタ。

 数ある映画のなかでも、「握手の名(迷)場面」と言えば、やっぱり「大人は判ってくれない」(1959年フランス)でしょうか。
 まだ幼いお子ちゃまたちが、ナニゲに握手で別れる場面が何度も出てきて驚きます。文化の違いというより、不気味ですらある。

400 blows


 「セレンディピティ、恋人たちのニューヨーク」(2001年アメリカ)という映画にも握手の場面があります。偶然出会って結局別れてしまった男女が数年ぶりに再会して、今さらながらに自己紹介するとこ。

serendipity

 この微妙な距離感というか、よそよそしさが大切。抱擁でも接吻ではなく、まずは握手というのがよろしいのです。
 この映画、基本的にはかなり甘ったるいラブラブ系ロマンスなので、ここで触れるのはお恥ずかしいのですが、ニューヨークの街並みが自然な目線で描かれてるとこが気に入ってます。





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最終更新日  Dec 29, 2006 10:29:50 AM
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