ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jan 19, 2010
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 ひとりでひとつのパートを弾く室内楽の場合はあんまり気にならないことだけど、たまにオケで弾くと妙に意識してしまう。左手の指づかい(フィンガリング)について。

 オケの弦パートって、プルトを組む人どうしが同じ譜面を見ながら同じ音を弾くわけで、そうすると相棒さんと自分とで指づかいが全く違ってることに気づく。
 僕が「これが最適!」と思ってる指番号をいざ譜面に書き込もうとすると、相方さんが顔をしかめる。その場の空気が一瞬で凍りつく。
 ……ん? オレの指づかいって、そんなにヘン?

 実は、去年ビオラで乗ったオケの演奏会で、プルトを組ませていただいたプロの賛助奏者にはっきり指摘されてしまった。「キミ、なかなか面白い指づかいで弾くねぇ 」。←褒められてるのではなくケナされてるらしく

 そのお方に言わせると、バイオリン弾く感覚でビオラを弾くには限界があるとのこと。
 いわゆる5の指(←ポジション変えずに小指=4の指をぐいっと伸ばして高音を弾く)を乱用するのはみっともないし、あと、頑なに第1と第3ポジションだけで弾き通すのではなく、半ポジや偶数ポジも柔軟に使ったほうがいい。ビオラを弾くときの運指はバイオリン以上に慎重に考えるべき、なんだそうで。

 今までもいろんな人に同様のことを言われ動揺してきた僕ではある。ポジション移動の場所とか、開放弦/フラジオの利用のしかたとか、運指方法は十人十色。弾きやすく、音色やビブラートがそれなりに音楽的にできる指だったらそれで十分、と自分に言い聞かせてみる。

*****

 そーいえば、いつだったか、米国の某大手弦楽器販売業者が自社のウェブサイトで「指番号コンテスト」なるものを開催していた。
 おそらくバイオリン学習者が必ず一度は弾かされる「クロイツェル教本」2番を題材に、いかに独創性溢れる指づかいを考えられるかという趣旨の、チョー強引なコンテスト。全ての音符にひたすら指番号を振ってご送信。それこそいろんな指づかいが提出されたらしい。

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 そういやオレも子どもの頃に弾いたなー。指は全然覚えてないけど。ってゆーか、全部ファーストで弾いちゃダメなの? と思いながら、テキトーにこの大会の動向を傍観していたのだけれど、後日発表された最優秀賞の指づかいを見てギャフンっ。←死語

 同じ指で全音移動する(=ポジションを一つ移動する)のを一拍ごとにやってみたりして、けっこう無理のある慌しい指づかいだった(確か)。

 練習用の指と演奏用の指は違う、と断言しちゃうこともできるけれど、エチュードとは言え、世の中のバイオリニストさんたちは本当にそんな複雑な指づかいで弾いていらっしゃるのだろか。





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最終更新日  Jan 20, 2010 11:28:54 AM
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