I love Salzburg

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2011.05.28
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カテゴリ: 映画・DVD
私は好きですよ、この映画。


巨匠・手塚治虫が10年もの月日を費やして完成させた作品の映画化ということで、
この映画化が決まってから私も原作を読んでみました。


あれほどの長編を僅か2時間でどこまでまとめ上げるのだろう?
映画にのめりこみながらも、どこまで描ききれるのかとそれも興味のひとつでしたが、

これからが入口という、ちょうどシッダールタ(ブッダの出家前の名前)が全てを捨て、新たな旅立ちへと向かうところで終了しました。

え?ここで終わるの?と思いましたが、どうやらこれは三部作のようですね。

ですが、感じ方は人それぞれでしょうが、この第一部だけでもかなり奥の深いところまで掘り下げていますので、これだけで一つの作品として十分に価値があると思いました。

*


第一部では、もう一人の主人公、奴隷階級から勇者へとのし上がったチャプラが、チャプラの感情が強烈に迫ってきます。

王族として生まれ、貧しさも惨めさも知らない若きシッダールタと、敵の勇者となったチャプラとが対峙する場面にも息を呑みました。

チャプラの声を演じた堺雅人さん、かな~りいいです。^^



時は今から2500年前。
インドではいくつもの国が誕生し、対立を繰り返しておりました。

とりわけ勢いに乗って勢力を広げるコーサラ国は緑豊かなシャカ国を手に入れようと、もはや争いはさけられない空気が流れていました。

当時、彼らの世界には大きく分けて4種類の身分があり、最も偉いのがバラモン(僧)、そしてクシャトリア(武士)、バイシャ(市民)、スードラ(奴隷)という順に。

底辺であるスードラは家畜も同然に扱われ、一生その運命を背負っていかなければなりません。


スードラ出身であるチャプラという人物を中心に持ってくることで、醜い争いと格差社会により一層感情移入でき、

それによってシッダールタが生まれた頃のインドの様子がよく感じられるな~と、
原作を読んでいる時も思いましたが、美しく激しい映像を見ながら改めて感心しました。


シッダールタが誕生する背景が描かれてこそ、手塚治虫のブッダですもの。


そして、最初からブッダとして悟りきったシッダールタでなく、その世界で迷い悩み、苦しみもがき、時に情けない姿のシッダールタが描かれているから人々は共感するのでしょう。

今の私達が求める者は、先を見通す力のある強いリーダーであるけれど、
本当に必要とするのは、私達と同じように苦しみを感じ、不安に震え、そこから立ち上がって導き示してくれる人だと私は思います。

大きなスクリーンを眺めながら、
「今、シッダールタは哀しくてたまらないんだろうな。辛いんだろうな。」
って、その痛みに私も共に傷ついていました。

きっと、誰よりも傷つく心をシッダールタは持っていたのだと思います。



人はなぜ苦しむのだろう。
なぜ生きるのだろう。

人は苦しむ為ために生まれてきた。
人は誰しも「生(しょう)」・「老」・「病」・「死」から逃れることはできない。

その思うがままにならないことを、思うがままにしようとして人は苦しむ。


シッダールタが後にブッダ(目覚めた人)となって人々を教え導くようになるまでには、これから長い長い旅路が続くのです。

そこからが第二部、第三部に描かれている部分。
第一部だけでも十分だと書きましたが、やはりこの先がとても楽しみです。

もし手塚先生が生きてらっしゃったなら、どう映画化されるのかな~?

あまりにも超大作なだけに、続きをどう表現するのかにもすごく興味があります。





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Last updated  2013.03.13 12:36:34
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