I love Salzburg

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2012.07.30
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カテゴリ: 四国へようこそ
ここしばらくブログを開けなかったのは、私の周りに起こるあらゆる変化についていけなかったから。

といっても、特に何がと言えば何も変化していない気もするし、
でも、自分の精神状態はぐちゃぐちゃで、自分でも自分が分からないくらいです。(苦笑)


そんな時、ふと思い立って、私の町にある一つの島を訪ねてみることにしました。

その島を思い出した理由は、私の職場で今年3月まで看護師をしていた友達(10歳年上のお姉さん)が、島の漁師の奥さんだから。
私が最も信頼し、一緒にいて優しい気持ちをくれる彼女に会いたいと思い出したからでした。


「急だけど、一緒に島を探検しない?」
「いいよ。^^ ちょうど明日はタコ釣りで早朝から島に行ってるから、良かったら朝の便で渡っておいでよ。」

ということで、朝9時発のフェリーに乗って、瀬戸内海に浮かぶ高見島へ行ってまいりました。

Picture072712_085240.jpg

多度津港から30分。
ほとんど波のない内海を船は進みます。

そういえば、この島では寅さんや、郷ひろみさんと夏目雅子さんが出演した『瀬戸内少年野球団』が撮影されたんだよな~。

寅さんでは、マドンナ役で来ていた松阪慶子さんがものすご~く綺麗だったけど、周りを寄せ付けない冷たさがあったって、、、
でも夏目雅子さんはすごく気さくな方で、島人が振る舞ったカレーライスを美味しそうに頬張って、おかわりしてくれたって言ってた。(笑)

そんなことをぼぉ~っと思い出しながら、水しぶきが作る虹や空に浮かぶ雲の流れを眺めていました。

Picture072712_093023.jpg

島のフェリー乗り場には、麦わら帽子を被った彼女が自転車を押して待っていました。

「さぁ、私は自転車に乗るから、picchuちゃんは走って付いて来るのよ!(笑)」
「え"~!! うっそ~!!!(><)」

「あっ、どんなに暑くて喉が渇いても、この島には自動販売機はないからね!(爆)」
「え"~? それ、本当ぉ~?(><)」


まずは漁船を訪ね、彼女のご主人にご挨拶。
「picchuちゃん、何かええ話でもできたんか~?(笑)」
ご主人(以下、お父さん)とも15年来の付き合いで、私が20代の頃から可愛がってくださいます。

「じゃ、また海に出るから後でな。^^」
毎日、カンカン照りの中、漁船で海を走り回るお父さんは、常に真っ黒に日焼けをして、笑った時の真っ白な歯が眩しいです。


「まずは島のお寺から行く~?」
小さな島といってもかなり急な石段の連続に、この炎天下の季節に島を訪れたことを ほんの少し後悔しました。(笑)

「あ、この道はまだ通れないわ。
お盆前には島の人達で草刈りをするんだけどね、今は鎌を持ってないから前に進めないね、別の道にしよう。」
「かっ、かま~?(笑)」

Picture072712_100835-2.jpg

恐ろしいほどの陽射しに負けず、野生の植物の繁殖も勢いが止まらないようです。
「ほら、家の中まで蔦で覆われてる!」

そんな、すでに廃墟となった家々を縫って、なんとか島の中腹にあるお寺へ辿り着きました。

Picture072712_095502.jpg

高台まで登ると、かすかに頬に風を感じました。

「せっかくだから、お墓参りしようかな。」と彼女。
「お盆にも来なくちゃいけないけど、暑くて自信ないし、、、。(笑)」

真夏の島は半端じゃない暑さです。陽射しも遠慮なく突き刺さってきます。
まして、瀬戸内の凪による蒸し暑さはそれこそ半端ではなく、べとっとした潮風は思う以上に体を疲れさせます。

お墓の掃除に精を出す彼女の後姿を眺めながら、私はふとあることを思い出しました。
「そういえば、この島って、つい数年前までは土葬だったよね。
確か、埋め墓と参い墓があって、、、。」

「あぁ、10年くらい前まではまだ土葬してたと思うよ。」
毟った草をどこへ捨てようか見回しながら、彼女は続けました。

「私はお嫁に来て初めて ここで土葬が行われてるって知ったんだけど、その時 思わず「私は焼いて下さい!」って言っちゃった。(爆)」
「お母さん(お姑さん)なんか、今でも土葬を望んでるみたいだけどね~。」

「で、この島には何人くらいの人が住んでるの?」
実は これまでも2、3度 仕事関係の行事で島を訪れたことのある私は、その頃よりも一層人気のなさに聞いてみました。

「う~ん、20人くらいかな。私が来た頃は200人くらいは居たんだけどね~。」
彼女が結婚して瀬戸の花嫁になったのは、今から25年くらい前のことです。

「その20人にお父さん(ご主人)は入ってるの?」
「ううん。お母さん(お姑さん)だけ。(笑)」

「お母さんも一時は本土に籍を移したんだけどね~、やっぱり生まれ育った島を離れたくないみたい。
お姉さん(義姉)だって、将来は島に帰って来たいと言ってるし、、、。」

確かに、それはこの島に限った話ではなく、私の町のもう一つの島でも顕著に表れているのでした。
若い頃に大阪や東京に出ていた人達が、定年後には島に戻って、毎日 畑仕事や釣りをして余生を過ごし、懐かしい顔ぶれとともに年老いていくことを希望して。

「なんとなくその気持ち分かるような気がするけど~、お店すら一軒もない島で住むのはね~、もともと島の人じゃなきゃ絶対に無理だよね。」
「ホント、ホント。 信号機すらない、何にもない島だもんね。(笑)」

私達はそんな他愛無い話をしながら、海岸沿いを歩きました。
「本土(四国)から見るのと、同じ瀬戸内海の景色でも少し違うよね。」

Picture072712_113852.jpg

その時、お父さん(ご主人)の船が走っていくのが見えました。
「毎日、大変だよね。」
絶対にこちらは見えてないであろう船に乗るお父さんに、手を振りながら話を続けました。
「うん、でも9月と1月だったかな、釣りをしてはいけない期間があって、その時期は無職になるの。(笑)」

「うちはタコとイカナゴだけだから、他もやってたら違うのかもしれないけどね。」
聞けば、一日で80万円近くの収入になることもあれば、もちろん収入ゼロの月もあるそうです。

Picture072712_115406-1.jpg

周囲6キロほどの島は、引き潮の時でないと一周できません。
満潮になると、道が海の中に沈んでしまう場所があるからです。
私達は島の5分の3程度を歩いたのかな、気が付けば 私の鼻の頭は信じられないくらい真っ赤に日焼けしていました。(笑)

「帰りはお父さんの船で戻ろうね。」
彼女の島の家で大きな西瓜を頬張りながら、タコ漁を終えたお父さんの帰りを待つことにしました。

「フェリーは朝便と夕方の便しかないから、船がないと不便でね~。(笑)」
「私、一時間に一本くらいはフェリーが出てるのかと思ってた!」
「いやいや、お盆シーズンは便数も増えるけど、毎日4往復くらいしかしてないんじゃないかな~。」
「フェリーもいいけど、お父さんの船に乗るの好きだから、今日はラッキーかな。」
なんたってスピードも違うし、海面はすぐそこだし。^^


Picture072712_125848.jpg

Picture072712_125911.jpg


何も言わなくても私の不安定な気持ちを感じ取り、何も聞かずに ただ一緒に島を歩いてくれた彼女。

そして、相変わらずの明るさと気さくさで、私の気分を転換させてくれたお父さん。

二人に対して、感謝の気持ちでいっぱいです。 


ありがとう。。。





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Last updated  2012.07.31 21:54:54
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