ぽかぽか新聞

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806グラムの命誕生



2004.1.17 25週4日   大出血開始

明日は手術の説明、赤ちゃんに悪い菌、自己血。

色々な事がぐるぐる脳裏を駆け巡って眠れない。・・・

と明け方サーっと血が流れる感じがして真っ青になった。

出血を自分で確認するのが怖くてナースコールを押した。

やっぱり出血していた。今度は沢山の血。

パジャマを通り越してシーツについた血をみた時には血の気が引いた。

すぐにNSTと導尿の管。

こんなに出血していても心音はしっかりしていて胎動もぽこぽこ。

お願いもうすこし待って。まだ出てこないでと祈る事しかできなかった。

朝まで出血がとまらず、陣痛室に移された。

ウテメリン点滴を最大に流し、さらに強い張り止めが追加された。

意識がボーっとして視界がぐるぐる回る。

強い点滴のせいだと聞いて少し安心した。

手術の説明の為に呼ばれた夫と一緒に母と妹も駆けつけてくれた。

こんな時でも元ちゃんの心音は下がる事無く元気な胎動で励ましてくれた。

早く会いたいよ。早く出してと言っているのかな。

子宮にガーゼをつめて出血を防いだが出血は止まる事なく溢れでる。

「流れてますね。もう出血は止まらないや。母体を守るために緊急手術します」

と主治医の先生。


私を助けるために元気に育っている元ちゃんを出してしまうのね。

声を上げて泣いてしまった。

震えが止まらない手を看護師さんが握っていてくれた。

「何が一番心配?話してごらん」

「元ちゃんが無事産まれてくるか、助かるか・・・」声にならなかった。

「ここは優秀な先生と看護士さんが沢山います。安心して任せて、信じましょう」・・・と。


あかちゃん




「産まれましたよ。男の子ですよ。」

全身麻酔から覚まされた目には手術室のライトが見える。

元気な男の子ですよ、とは言われなかった。

在胎週数25週4日 体重806グラム 身長31.5センチ 頭囲25.5センチ 胸囲19センチ。

小さな小さな男の子が誕生した。




 vbn

手術の前、手術の危険性について家族に話があったようだ。

大出血の為に輸血の可能性があること、子宮摘出の可能性があること、

手術経過で子宮を十字に切開して赤ちゃんを取り出す可能性がある事

(その場合次のお産も帝王切開になる)など。

手術が終わり、家族に聞くのが怖かった。

「子宮は私のお腹にある?」「輸血はどれくらいしたの?」

看護師さんが教えてくれた。

「赤ちゃんが良い時期に上手に産まれてきてくれたから、輸血もしないですみましたよ」

元ちゃんがお母さんを守ってくれたんだね。。。。ありがとう。。。。

今度はお母さんが元ちゃんを守る番だよ。





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