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2006/03/05
カテゴリ： 小説の本棚
心に傷を負った主人公と "海" の組み合わせは、
つい先日読んだ 『海の仙人』 （絲山秋子著） にも共通していた。
『海の仙人』 は日本海・敦賀の海が舞台。
起伏のある情感が描かれているのに対し、
『図書館の神様』 は太平洋（神奈川県三浦半島あたり？）の海を背景に、
主人公の心の傷が、淡々とながら着実に癒されていく点が対照的である。
"仙人" と "神様" の語感も似ている。
清（きよ） は、高校時代の部活メンバーの自殺を引きづり、
何事にもまっすぐで一途だった自分を失ってしまう。
それでもバレーボールに携わりたくて、講師として高校に赴任するが、
期待に反し、部員一名の文芸部顧問となってしまう．．．
そこには、 "図書館の神様" が与えてくれた 垣内君 との出会いがあった。
まっすぐで一途な 「教師らしい」 教師として 清 が成長していく姿が、
強調されず自然に描かれ、ほほえましさと静かな感動を呼ぶ。
垣内君 との距離が最後まで良い。
ゴシップな関係になっていたら、全くの満足度 黒星☆ になっていたろう。
文学には全く関心のない 清 を通して、山本周五郎の 『さぶ』 や、
夏目漱石の 『こころ』 、 『夢十夜』 などの古典にも誘ってくれる。
家内が bookoff で買ってきた本をインターセプトして先読みした。
「いい本選ぶね」 とおだてておいて、家内も満足、私も 満足 ★3つ でした。
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