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pomodori_rossi @ はざくら2005さん なかなかウィットに富んだ表現で、唸って…
はざくら2005 @ Re:飛騨高山(08/09) Complete your business っていうのがい…
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pomodori_rossi @ はざくら2005さん 伊豆半島・河津町の早咲きで有名な河津桜…
2007/09/12
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カテゴリ: 小説の本棚



ヒマラヤ遠征で仲間を亡くした後、
残る仲間たちから逃げるように、
独り カトマンズ を彷徨していた深町は、
裏街の登山用具店で一台の古い カメラ を手に入れる。

それは、1924年、英の第3次ヒマラヤ遠征で遭難した
ジョージ・マロリーの所持していたカメラであり、
彼が エベレスト の初登頂に成功したかどうかという、
登攀(とうはん)史上の謎を解く可能性を秘めたものであった。

やがて深町は、そのカメラを所持していた
ピカール・サン(毒蛇)と呼ばれる男の過去と現在に
深く関わっていくことになる ...
1998年・第10回 柴田練三郎賞 の作品


 ● ● ●


骨太の山岳小説である。
ミステリータッチの導入は、ほんの 「つかみ」 。
壮絶な山男の生き方が直球真っ向勝負で描かれている。

図書館でこの作家の並びを見て、
どうも自分の趣味とは違う気がしていたが、
この作品は期待を裏切らない一冊であった

何のために生きるのか?
一人の男の生き方は、同じ山男として、
カメラマンとして、そしてひとりの人間として、
人生の目標を失いつつあった深町に問いかけてくる。

自分と向き合い、弱い自分に打ち克つこと ...
それは本能的な価値であり、根源的な夢である。
男にとって、山は純粋にその手段であった ...

こうした内面の外側に、前人未踏への挑戦にこだわる
野心的な名誉欲、悪く言えば売名欲があり、  
人々に愛されたいという男の悲しい性が見えてくる。

読者は深町に同化して、
この壮絶な山男の生き様に立ち会うことになる。
平凡な毎日を繰り返す我々凡人にも、
何かに挑戦しようという勇気をもらえる一冊だ


 ● ● ●


導入の 「つかみ」 が、エンディングにうまく絡んでいた。
本著の漫画化に際し、作者がカトマンズに滞在中、
本当にジョージ・マロリーの遺体が見つかったというのも、
何だか超自然的な力が働いたとしか思えない

時制の巧みさも、単調さを感じさせずによかった。
特に、最後の手記の出し方は、より感動を盛り上げている。

作者自身、6度のヒマラヤ登山の体験を経て、
発案から構想20年、3年をかけて執筆した力作とのこと。
「もう何も書き残したことはない ...まいったか!」
あとがきはその自信にあふれている。

まいりました <(_ _)>
満足度 ★★★
いよいよ次は、新田次郎かな ...





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Last updated  2007/09/12 10:49:07 PM
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