北川正恭早大教授の三重大での講演


2 場 所:三重大学講堂
3 講 師:北川正恭早稲田大学大学院公共経営研究科教授
4 テーマ:北京の蝶々・大学の自立
5 内 容:以下の通り

・今日は、自立についてお話させていただく。タイトルに北京の蝶々と
あるが、自然科学で複雑系、カオスの理論で、マニフェストと並んで
この言葉を普及させたいと思っている。
・異質分子が、何かの中に入ってきたとき、普通は弾き飛ばされるが、
ものすごい勢いで繁殖することがある。原因は分からないが、何かが
起きる。
・IT社会を表現した言葉かもわからない。県職員6千人が北京の蝶々
になれば県庁が変わる。
・サッカーを例に取れば、川淵チェアマンはJリーグを発足させるとき
チーム名にスポンサーを入れなかった。それは、通産省の役人から
ヨーロッパでは地域名を入れることが主流だと聞いていたからだが、
そのことで地域で各チームに愛着が持たれた。
・ワールドカップも日韓共同開催ということで当初、なぜ、日本単独で
はないのか、と非難されたが、日韓がお互いの国を応援する相乗効果
でかえって盛り上がり、日本もあっという間にベスト16にまでなった。
・カメルーンというアフリカの小さな国が遅れてやってきたことでかえって
中津江村が有名になった。
・ゴールキーパーの役割さえ知らなかった私の妻もベッカム狂いになった。
・自分の立場でモノを言うことが横行している。昭和20年代にできたソニ
ーやホンダは発展しているが、そのほかの時期にできた企業は伸びて
いない。
・三重大学の志を持てば必ず東大を抜ける。
・マニフェストは今日、衆議院を通過し、参議院にかかる。
・知事を2期8年で辞めたのは就任当初の公約でもあったわけだが、
13、14年度で策定した政策推進システムができたので辞めてもいいと思
った。
・人事評価はこれまでしていないわけではなく、不透明な中で情実で行っ
ていたが、これをミッションの業績を上げたかどうかで評価するようにする。
・知事を辞めて何をするのかと聞かれてNPO(ニッポン・プータロー・オジ
サンをやると知事仲間に言った。
・その知事8人のうち、改選期を迎える2人にマニフェストをやってもらうこ
とになった。
・従来の破られるための公約から守るためのマニフェストへ転換しなけれ
ばならない。
・21世紀臨調を東大総長の佐々木さんや西尾先生と発足させ、マニフェス
トに取り組んでいる。
・マニフェストは、期限、財源が入り、工程表があり、数値目標があるが、
これまでの公約は口約束で検証できない。私のその公約で選挙をしてき
たから反省を込めて言う。
・政府、自民党は、消費税導入で大敗して以来、国民に苦い薬を出せない
でいる。
・マニフェストの作成をお願いした14人の候補者のうち、11人が圧勝した。
・マニフェストを掲げて県庁へ行ったら、それを実行する組織になっていた。
とか、15%公共事業カットをマニフェストで言ったら、削減するものが示され
ていたということを聞いた。
・このことで、政治が変われば行政はそれに対応することがわかる。
・財源がないのでマニフェストが書けないという人がいた。財源が国に握ら
れている。歳入の自治がなければ責任を貫けない。
・前提が変わったのであるから、自立、自己決定、自己責任でいかないと
いけない。
・立場を主張する事実前提より、価値前提であるべきだ。
・マニフェストを配れないという議員がいたが、それなら立法府である議
員が法律を変えればいい。
・イギリスの選挙では個人の持ち出しは130万までになっている。
・政治をみんながバカにしている。官僚は大臣の言うことを聞かない。それ
では社会主義国家と変わらない。
・選挙での連呼は政治家が軽蔑される。誰を選ぶかの選挙から何を選ぶ
かの選挙へと変える。
・気づきや揺らぎを与えるのがマニフェストである。政治、行政は倒産しない
から供給側の論理で動いていた。
・政治のパートナーは団体、タックスイーターであった。政官財の護送船団
だった。
・自分たちの町は自分たちでつくる。補助金による建物は入り口が2つある。
これはおかしい。補助金を返還し、分権一括する。
・地方分権ということをマニフェストに書いて欲しい。
・ヨーロッパのマーストリヒト条約の補完性の原則を見習う必要がある。
・世界はボーダレスで、一物一価になっている。
・20億の社会主義の人口が流れ込んでデフレになったが、マーケットは広
がった。
・リンカーンは、of the people, by the people, for the peopleと言った
がそのうち、byが日本には足りない。
・地縁、血縁、利権社会から契約社会へ移行すべき。
・住民のみなさんが立ち上がってこそ、民主主義は機能する。

                                        以上



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