＜オバマ大統領就任演説要旨＞
1月20日に行われた、米国第45代目大統領となったオバマ大統領の
就任演説はこれまでの「チェンジ」をスローガンにした挑戦者の時のト
ーンから一変して、最高指導者としての責任感、国民を導くリーダーと
しての決意が現れたものでした。
全般を通しての印象は「ミーイズム（自己中心）」から「ウィ（私たちイ
ズム」への転換を訴える内容だったと思います。
オバマ大統領より若い史上最年少の43歳で大統領になったケネディ
を想起させるとして、期待を込め「ブラック・ケネディ」とも称される所以
だと思います。
1月22日の読売新聞より演説の中で私が共感した箇所をピックアップします。
＜オバマ大統領就任演説要旨＞
・米国は指導者たちの技量や洞察力だけによってではなく、「我々（合
衆国の）国民」が祖先の理想に忠実であり、建国の文書に誠実であり
続けることで乗り切ってきた。これまではそうだった。この世代の米国
人も同様でなければならない。
・私は今日、皆さんに告げる。我々が直面している試練は現実だ。試
練は深刻で数多い。試練は容易に、または、短い時間に対処できる
ものではない。しかし、米国よ、わかってほしい。これらの試練は克服
される。
・我が国の偉大さを再認識するとき、我々は、偉大さが決して（無条件
に）与えられたものではないことに気づく。それは勝ち取らなければな
らないのだ。我々の旅は、近道ではなく、妥協で終わるものでもなかっ
た。臆病者のための道でも、仕事より娯楽を好み、富と名声の喜びだ
けを望むような者のための道でもなかった。むしろ、リスクを恐れぬ者、
実行する者、創造する者が、長い、でこぼこした道を繁栄と自由を目
指し、我々を導いてきた。その中には著名人もいるが、多くは無名の
働く男女だ。
・なすべき仕事は至る所にある。米国経済は、大胆かつ迅速な行動を
求めている。そして我々は新規の雇用創出のみならず、新たな成長の
礎を整えるべく行動する。
・我々が今日問うべきなのは、政府が大きすぎるか小さすぎるかでは
なく、機能するか否かだ。
・我々の共通の防衛については、安全と理想とを天秤にかけるという
誤りを拒否する。
・多様な我々の伝統は強みであり、弱点ではない。
・自国の社会の問題を西側諸国の責任とする世界各地の指導者よ、
国民は、何を築くことができるかであなた方を判断するのであって、
何を破壊するかではないことを知るべきだ。
・政府ができることやしなければならないことはあるが、詰まるところ、
我が国がよって立つのは国民の信念と決意である。堤防が決壊した
時、見知らぬ人をも助ける親切心や、友人が職を失うのを傍観する
より、自らの労働時間を削る無私の心が、暗黒の時に苦難を乗り切
らせてくれる。我々の運命を最終的に決めるのは、煙に覆われた階
段を突進する消防士の勇気であり、子どもを育てる親の意思である。
・我々の挑戦は新しいものかもしれない。我々がそれに立ち向かう
手段も新しいものかもしれない。しかし、我々の成功の土台である、
誠実や勤勉、勇気、公正、寛容、好奇心、忠誠心、愛国心といった
価値観は古いものだ。これらは、不変の真実である。これらは、歴史
を通じて進歩を遂げるための静かな力となってきた。必要とされるの
は、そうした真実に立ち返ることだ。
・いま我々に求められているのは、新しい責任の時代に入ることだ。
米国人一人ひとりが自身と自国、世界に義務を負うことを認識し、そ
の義務をいやいや引き受けるのではなく喜んで機会をとらえることだ。
困難な任務に自らのすべてをかけることほど、我々の心を満たし、
我々を我々たらしめることはないという確信だ。
・これが市民であることの対価であり、約束なのだ。これが我々の自信
の源なのだ。すなわち神が、不確定な運命を形作るよう我々に求めて
いるという確信だ。
・これが我々の自由と信条の意味なのだ。なぜ、あらゆ人種や信条の
男女、子どもたちが、この立派なモールの至る所で祝典のため集える
のか。そして、なぜ60年足らず前に地元の食堂で食事することも許され
なかったかもしれない父親を持つ男が今、最も神聖な宣誓を行うため
にあなた方の前に立つことができるのか。
・我々の革命の結末が最も疑わしくなった時、建国の父は、この言葉を
人々に読むように命じた。
・「酷寒の中、希望と美徳しか生き残ることができない時、共通の脅威に
気づいた町も田舎もそれに立ち向かうために進み出た、と未来の世界
で語られるようにしよう」
・米国よ、我々自身が共通の脅威に直面している時に、我々自身の苦難
の冬に、時を超えたこれらの言葉を思い出そう。希望と美徳を抱き、この
いてつく流れに再び立ち向かい、どんな嵐が訪れようとも耐えよう。
・そして、我々の子孫に言い伝えるようにしようではないか。試練の時、
我々は旅を終わらせることを拒み、後戻りすることも、くじけることもなか
った、と。そして地平線と神の慈しみをしっかりと見つめ、自由という偉大
な贈り物を運び、未来の世代に無事届けた、と。
・ありがとう。神の祝福が皆さんにあらんことを。そして、神の祝福がアメ
リカ合衆国にあらんことを。
（09/1/22 読売新聞「オバマ大統領就任演説全文」より）
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