エクセレントな経営のための本


著者名:松井道夫
出版社:実業之日本社
紹介:自分が一番損することを考えることが利益につながるという逆転の発想を説きます。
感想:以下の点に共感しました。
・だれが解いても同じ答えが出る数学などとは違い、ある状況のもとで会社や人間がとるべき行動はひとつではない。いくら正しい論理を繰り広げてみても、視点を変えれば別の答えが導き出せる。
・お客が認めるコストで成り立っていない産業は、〝虚業〟として市場から消えていく運命にある。お客が認めるコストで成り立っている〝実業〟のみが生き残れるのだ。それがマーケットの原則というものだろう。
・整理、分析は一番力を入れるべきところだから、1日でも2日でもかければいい。しかし、それを他人に伝えるときには、1分でわかるものにしなければならない。それが仕事というものだ。
・社長とはいえ人間だから、判断を誤ることも、会社に損を与えることもあるだろう。そのとき、それを素直に認めて「ごめんなさい」といえることが大切だ。これができない人は、経営者の資質があるとはいえない。
・「給料をもらって働く」人と、「働いて給料をもらう」人とはまったく違う。前者は会社に従属する奴隷に過ぎないが、後者は主体性をもった〝個〟だ。「働いて給料をもらう」という感覚を持てば、一つひとつの判断が、いわば死ぬか生きるかの分かれ道になる。
―もし、ここで間違えたら俺は収入の道が断たれる―。
 それくらいの覚悟で行動しない限り、主体性は持てないのだ。
 主体性の持てない奴隷には、私は甘んじたくない」
・業務に差し支えないように自分の時間をコントロールする分には、他人にとやかくいわれる筋合いはない。それで会社に悪影響を及ぼすようになっても自業自得なのだ。
・年がら年中机に向かっていても飛び抜けたアイデアは浮かばない。ゴルフをやっている最中にインスピレーションがわくとか、プールで泳いでいるときに画期的なアイデアがひらめくとか、そういう経験はだれしも持っているだろう。
・やはり物事を進めるには全体を見る視点が必要だと思う。それも、複数の視点から眺めることができれば、物事の流れ全体像が把握でき、いい結果を得ることができるはずだ。
・私自身、みなさんはどういう印象をお持ちかわからないが、自分では傷つきやすいと思っている。ある決断をしても、それが正しかったかどうか、実は女々しく悩むタイプなのだ。
・本当は打たれ弱いからこそ慎重になるから、多少の逆風の中でも、なんとかやっていけるのだと思う。これが打たれ強い人間だったら、打たれることを厭わずに突き進むだろうから、完膚無きまでに打ちのめされて、沈没してしまいかねない。創業社長たちは、打たれ弱いからこそ結構うまくいっているのではないだろうか。
・〝個〟が確立した時代には、個人も会社に縛られないし、逆に会社も個人に縛られない。―。会社と社員は、そういう対等な関係であるはずだと思う。「社員」とか「従業員」といった言葉はまもなく死語になり、かわりに「仲間」という概念になるだろう。
・「サラリーマン」とは、なんと格好の悪い言葉なのだろう。「給料をもらう人」「給料をもらって働く人」という意味なのだろうが、これはあまりにも古い考えだ。
・これからは、「働いて給料をもらう」というかたちになる。雇い主が〝主〟で働く人が〝従〟という感覚は、もう捨てなければならない。「サラリーマン」という言葉は、死語になるのだ。
・ビジネスの世界では、時間が進むスピードがますます速くなっている。そんな中でビジネスマンが生き残っていくには、会社にぶらさがっているという感覚を捨てて、経営者と対等な立場で仕事をする契約を結ぶ。これがこれからのビジネスマンの在り方だ。
・もちろん、仕事の仕方も変わってくる。上司から与えられた仕事をこなすだけでは、生き残るビジネスマンになれない。だれかと取り替えの利くような仕事しかできないようでは、しょせん使い捨てられる運命にある。
・他人と軋轢を起こさないということは、ある意味では他人の顔色をうかがいながら、他人のために生きているような感じになってしまう。そういう環境にいれば、何もインスピレーションはわかないだろうし、独自性も発揮できるわけがない。絶えず周りの目を意識しているわけだから、自動的に自分の意見を調整してしまって、当たり障りのないものしか出てこないだろう。
・だから意識して〝ひとりになる〟〝孤独になる〟ことが大切だと思うのだ。映画を観るのでもいいし、お酒を飲みに行くのでもかまわない。会社の看板や肩書きなどを意識せず、ひとりの時間を楽しむのだ。
・客観的になるということは、しがらみを忘れることだと私は思っている。独りよがりになってしまうように感じるかもしれないが、普段は常に人に囲まれて生きているのだから、そんな心配はない。1日に1時間でも、1週間のうちに半日でもいいから自分だけの時間をつくって、自分を客観視するクセをつけることだ。
・台湾の林悟堂という作家は、「中国人はひとりきりのときは龍だが、集団になると豚になる。日本人はひとりきりのときは豚だが、集団になると龍になる」といったらしい。
・〝業界〟という言葉で、同じような業種をひとくくりにするが、もうこの言葉は死語になりつつある。金融やゼネコンなどは、〝業界〟そのものが崩壊しようとしているし、ひとつの〝業界〟の中で生き残る企業、敗れ去る企業がはっきりしてきたいま、業種が似ているからといって十把一絡げにするのは、ちょっと乱暴すぎるだろう。生き残りのために、従来の枠から抜け出して、いわゆる〝業際〟(業界と業界の境界)に挑む企業も増えている。
・物事を考えるとき、私は社員に、「自分が最も損をすることを考えろ」といっている。「自分たちが損をするということは、お客が得をする、喜ぶということだ。すると、お客はうちに集まるから、結局はうちが得をするだろう。これが差別化戦略なんだ」と。つまり、〝損して得取れ〟という、いにしえからの商品の知恵を活かせといっているわけだ。
・〝損して得取れ〟というのは、非常に含蓄に富んだ言葉だと思う。お客から支持されなければ、商売は成り立たない。お客に来てもらうには、こちらが損をしてでもお客に喜んでもらわなければならない―。これが商売の原点だ。
・組織を何よりも大事にする官僚の、一番の関心事は人事だ。これも昔の軍隊と同じである。だから、各省庁の官房から人事権を奪い、内閣府人事院に一元化すればいい。人事院は民間と公務員の給料を調整するとなどという、くだらない仕事をするのではなくて、官僚組織を根本から変えるための重要な部署となるわけだ。
・平等社会といわれている日本は、税に関していえば、世界でも希なほどの不平等社会でることが、実は問題なのである。
・世の中には本当の弱者がいる。それは競争したくても競争できない人たちだ。こういう人たちを社会全体がサポートするのは当然だろう。しかし、競争したうえで負けた敗者を救えば、勝者の立場は一体どうなるのか。あえてリスクを取ってまで勝とうと思うだろうか。勝者も敗者もない社会を平等社会と勘違いしたところに、戦後日本の問題点のルーツがあると思う。
・日本のトップたちのあいだには、いまだに〝民は愚かに保て〟といった思想があるようだ。
・人間は、何か行動するときにはエクスキューズを求めるものだ。いい換えると、自分を正当化したがるのである。「俺はこんなにカネを求めているけど、それはカネが欲しくてやっているのではなくて、結果に過ぎないんだ・・・」といった具合だ。
・「デジタルの時代」といわれて久しいが、人間のアタマはアナログの塊。むしろこれから、そのアナログの真価が問われる時代が来るような気がしてならない。
・いまの日本の社会は、ひとつの物差しですべてのものを測ろうとする風潮がある。一人ひとりの〝感性〟を重んじるのではなく、何か「社会としての答え」がすでに用意されていて、そこに合わない人はのけ者にされていくような感じだ。

書籍名:経営の極意
著者名:田原総一郎
出版社:幻冬社
紹介:田原総一朗が元気な会社の経営者の極意を引き出します。
感想:以下の点に共感しました。
○キヤノン社長 御手洗冨士夫
・「宴会や接待が多いのは金融機関なんですよ。銀行。証券会社、損保に生保、多いです。なぜだかわかりますか?それは商品に差がないからですよ」
・商品に差がないと、どこで他社との差をつけるか。宴会の数で差をつけるしかないのだ。人間関係を濃密にするといってもいい。
・「社外役員なんて、大体そのときのトップの友人や仲のいい人たちを社外役員にするのです。そんなのは、社内の役員と同じですよ。やはり会社に対していかに責任を持つかが重要で、それには社外ではなく社内の役員の方が責任を持ちます。それに、社員を大事にしなければならない、と私は何度も申し上げています」
○日産自動車カルロス・ゴーン社長
・ゴーンは他責の文化を、自責の文化に変えた。これが彼がやった一番大きな改革だった。
・「リーダーであること、とりわけ10万人以上の人に努力を要求するような立場にある人は、当然ながら覚悟と信念が必要です。そして大事なのは、結果を出すことです結果を出すことが私の会社と社員に対する貢献なのですから」
・「やり方はいくつもありますが、結果はひとつです。そのために、パフォーマンスに集中すること。感情は二次的なものであって、大事なのは結果なのです」
○イトーヨーカドー鈴木敏文代表取締役会長
・「成功体験を忘れなければならないのです。高度成長期の成功体験、7割の人が買ってくれる、というのはあり得ない。成功体験が今では全然通用しない。なまじっかの成功体験がむしろ邪魔になっている」
・お客さんに納得してもらっているという点では、かつては斜陽産業といわれたデパートが注目され、業績も良くなってきている。逆にスーパーの不振が目立っている。スーパーがダメになってきたのは、かつてのデパートの真似をしてきたからだと、鈴木はいう。
○伊藤忠商事丹羽宇一郎代表取締役社長
・丹羽は、エリートの3つの条件というものを大隈塾の学生たちの前で披露した。
 一つは、自分で企画を立てることができること。つまり創造力が必要である。
 二つ目は、その企画を実現できること。企画を実現するためには上司を含めた周りの人間を説得できること。
 三つ目に、企画を実現し、実行して成功したときにはもちろん問題はないが、失敗したときに責任を取らなければならない。失敗したときには逃げる人が多い。経営者の中にも失敗した責任を取らない経営者が少なくない。これはエリートではない。
○セコム創業者 飯田亮
・「僕は、企業というものは三つの条件を備えてさえいれば必ず成功すると考えていました。三つの条件は何かというと、一つは、社会にとって絶対に必要であること。二つ目は、大企業に成長し得る企業であること。三つ目は、現金もしくは前金で代金を取れる商売であること。警備会社はこの三つの条件に見事に合致します。だから絶対にイケる、と僕は確信したわけです」
・「何か重大なことをやるかどうか決めるときには、一人になるのです。一人になって瞑想にふける。神経を集中する。すると、いろんな思いがどんどん出てくる。しかし、結局は決断を下さなければならない。やるか、やらないか。意思を決める。大事なことは、やるならやると決断することです」稲盛は強い語調でいった。
・ソニーの出井伸之は、「学者、研究者はサイエンスをやっている。サイエンスというのは、割り切れるものだ。ところが経営者はサイエンスのほかに、アートも必要なのだ」
・飯田「自分でデザインすると、とてつもなくいいデザインに見えるものです。冷静になれない。エンジニアもそうですよね。だから、水をかけて酔いから醒ましていないとダメなのです」
○京セラ創業者 稲盛和夫
・「リスクに挑戦しながら失敗しない秘訣は、秘訣とか計算といったものではなくて、まったく子供的なのですが、私には『動機善なりや』というのと、『私心なかりしか』という、この二つがありましてね。私はこれが正しい、正義だ、やらなきゃいけないと思っても、実はそれは間違い、ニセモノかもしれない。だから必ず自問自答して、『動機善なりや』『私心なかりしか』ということを何回も問うてみるわけです。そして行動を起こす」
・競争相手よりも条件が悪いとき、他社と同じことをやっていては確実に会社は潰れる。悪条件をどうやって跳ね返すか、一人ひとりが経営者のつもりになって考え、頑張らなくてはならない。主役は従業員である君たちだ、と、稲盛は実戦の中でこの哲学を見出したのだった。
○新生銀行代表取締役会長兼社長 八城政基
・「頭取というと、社長よりも偉そうに見えるのですよ。だからみんな、挨拶のときの頭の下げ方が違う。これは間違っているから、まず頭取という呼び方から廃止」
・「利益を出さない会社は、社会的にネガティブなこと、マイナスなことをやっているのです」
○松下電器産業創業者 松下幸之助
・近江商人たちの間で理念のようになっていた有名な言葉がある。商売で成功する秘訣は「運・鈍・根」だといい伝えられている。
・稲盛は、「失敗とは何か。失敗とはチャレンジを諦めたとき、それを失敗という」と私に語った。
○京セラ創業者 稲盛和夫
・「人が事をなし得るのは、外的条件に恵まれているためではなく、それを実現しようとする熱意と努力によってだ」という教えを受け、受験の失敗と結核の罹病という挫折に打ちひしがれた彼の気力を回復させる強力なバネとなった。

書籍名:ならば私が黒字にしよう
著者名:高塚猛
出版社:ダイヤモンド社
紹介:わずか1年半で42億円の営業赤字を33億円の営業黒字にした、会社再建人・高塚猛の経営哲学を紹介します。
感想:以下の点に共感しました。
・組織を変えるためには、まずリーダーが「こうありたい」という夢を持たなければいけません。夢は、「実感」と言い換えてもいいでしょう。その夢や「実感」を繰り返し語っているうちに、いつの間にか理想の組織に近づいていくのです。このことを、私は「未来からの贈り物を受け取る」と言っています。「事実」をいくら並べても、それによって組織や未来を変えることはできません。
・世の中には、他部門や他の社員・会社との「違う」点ばかり探しては、それを理由にして「だからできない」「だから難しい」と嘆いている人があまりに多いと思います。そうではなく、「同じだよ」「簡単だよ」と繰り返しながら、仲間が共通の思いを持てるように仕向けていく。その道筋を探すのが経営者やリーダーの役割なのです。
・「目標設定」とは何か。企業経営でも球団経営でも同じですが、「本当に大切にしなければいけないものを決めること」だと思います。別の言い方をすると「夢を見る」ということです。設定した目標、つまり夢を具体化するために、夢に数字や事実を入れていくことが経営にとって大切なことになってきたのです。
・「人生に失敗はない」と思っています。あるのは「思い通りにいかないこと」だけなのです。思い通りにいかなかったことをバネにして成長することを、私は大いに期待しているのです。
・コミュニケーションの原則は一対一です。一対一のコミュニケーションがきっちりできるからこそ一対多数、多数対多数、一対無限大、無限大対無限大のコミュニケーションができるのです。
・これまでの時代は、貧しいことよりも等しくないことを憂えてきたので、人事は公平であることに何よりも気を配っていました。しかし、このやり方では、やる気のある人は馬鹿馬鹿しくなってしまうのです。やる気のある人が逃げてしまうのは、組織全体にとっての大きな損失です。これからの時代は、「評価にあえて差をつけるけれども、それは恒常的なことではない」ということを理解してもらった上で実行することです。
・私の座右の銘は、「学んだことのたった一つの証し。それは変わるということである」ということです。
・いったん組織をつくってしまうと、組織の存続が目的になり、本来の目的を忘れがちです。ですから、組合の幹部の人たちにも、本来組合が大切にしなければいけないことを大切にして欲しいとお願いしています。
・経営者にとって一番つらいのは、仕事を任せることです。自分が元気なうちは、つい口を出したくなるものです。それを我慢する。間違いなく数字が落ちることがわかっていても、口を挟まずに見ているのですから、これは死ぬよりも難しいことです。
・リーダーとして、あらゆることを指示するタイプの経営はラクです。逆に、一番難しいのは、全部丸投げして責任だけ取るという経営です。
・私は日頃から、一番が社員で二番が取引先、三番がお客様だと言っています。社員の理解がなければ、お客様に良いサービスなどできるはずがありません。「お客様第一主義」などというスローガンでは、お題目倒れになってしまいます。
・「人生は努力した人に〝運〟という橋を架けてくれる」ということを。私はこれまでの数々の挑戦から、身をもって実感しました。

書籍名:社長が戦わなければ会社は変わらない
著者名:金川千尋
出版社:東洋経済新報社
紹介:深刻な不況が続く業界にあって、7年連続で最高益を更新、世界トップシェアのメーカーを米国で経営するなど、国際的に評価の高い金川流経営のすべてを紹介します。
感想:私にとって重要なのは、昨日よりも今日と明日のことです。過去はもう歴史なのですから、決して変えられません。事実として正確に書き留めておけばそれでよいことです。それよりも現在の厳しい経済状況にどう挑戦するかについて、日々、考えなければなりません。
 経営理論の本や経営書などが流行っているようですが、私はほとんど読んでいませんし、これからも多分読まないでしょう。
 なぜなら経営は実践のなかから学ぶしかないものだというのが私の持論で、経営の実績もない人の説く経営論には、どうしても興味が持てないからです。
 という著者の姿勢や考えに共感します。

書籍名:二十一世紀、残る経営、消える経営
著者名:大久保寛司
出版社:中央公論新社
紹介:日本IBM出身の著者は、経営品質に関する有名な講師で、そのわかりやすい話には定評があります。この本には、そのエッセンスがたっぷり盛り込まれています。著者の大久保さんには、私もいつもご指導いただいています。
感想:自治体の仕事はいわば独占企業が支配しているマーケットといえます。そこへの参入が自由であるならば、サービスや効率の悪い自治体は淘汰されていくでしょう。
 今のところそうなっていないからといって、安穏としていると住民がどこの自治体のサービスを選択してもよく、対価である税金もサービスに納得したところに払うことになった場合には結果は明らかです。
 北川知事が就任当初、第二県庁を向かいに作ると幹部職員を前にして言ったのはそこまで考えていたのでしょうか。



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