キャリア・デザインに関する文献


著者名:高橋俊介
出版社:PHP研究所
感想:以下の点に共感しました。
・要するに、人がなにかを重要だと感じ、極大化したいかというのは個人が自由に選択できる。つまり、人生には勝ち負けなどないということなどである。
・具体的な現実というのはさまざまな側面を持っているので、その時その時でどのような人事制度がうまく機能するかは、一つ一つ丁寧に検証していかなければわからないのに、それを日本人だからこうで欧米はこう、あるいは農耕民族というのはこうなのだといった文化論や一般論に無理やり当てはめてそれでよしとする姿勢は、知的怠惰であり、そういう人は明らかに思考停止状態に陥っている。
・欧米のコンサルティング会社や法律事務所といったいわゆるプロフェッショナル・サービス・ファームには、「アップ・オア・アオウト」という考え方が伝統的にある。
・上に行った者には破格の報酬が用意されているものの、一定年数以内に結果を出して高い能力を実証できなければ、その人間は組織を去らなければならないという、働く者を遮二無二働かせ短期間で目標達成させるにはもってこいの制度だ。
・私は、キャリアには目標はいらないと考える。私はやはり目標を持つのであれば、キャリアではなく仕事の中で持つべきだと思う。
・それも三ヶ月、六ヶ月、一年という短い単位で目の前の仕事に課題を持って取り組み、そこで新しいスキルを身に付けていく。
・それを繰り返していくことが、いちばん合理的な自律的キャリア形成につながるのではないだろうか。
・目標には期限があるといったが、あまり遠すぎても目標にならないだろう。いまの時代ならせいぜい六ヶ月先が限度といえる。一方夢のほうは、五年、10年という遠い未来に置いてもかまわない。
・以前、私が直接訪れて話を聞いたシリコンバレーのある会社では、予算を三ヶ月単位で決めていた。そこで年間予算はないのかと尋ねると、それは中期経営計画というのだといわれてしまった。ちなみにその会社では、三年先のこのとはドリームと呼んでいた。
・この職種に就けばやりたいことができるという考え方は、いまやあまり現実味がない。それよりもこの職場で、あるいは目の前の仕事を通して、自分のやりたいことができるかどうかを判断すべきである。
・キャリアという山は富士山のように、麓にいるときから頂が見えているわけではないから、あの頂上に立つのは何歳で、そうすると五合目は何歳で通過すればいいなどという計算も、当然成り立たない。
・登山口には木々がうっそうと生い茂り、頂上どころかどちらに行けば、目的の山があるのかすらわからないのがキャリアのスタートだ。しかし、そこでじっとしていても、進む方向はいつまでたってもわからないから、とりあえずこっちだというあたりをつけて歩き出さなければならない。
・道を間違え引き返したり、崖から落ちて怪我をしたり、遭難の危機にあったりしながら、それでも歩みを続けていれば、突然視界が開け、めざす山の頂きが目に飛び込んでくるときが必ずある。
・しかしそれでようやく頂上に辿り着き、やれやれと周囲を見渡した瞬間、その山の後ろにさらに別の山があって、自分が登りたかったのは実はそっちの山だったということに気づくかもしれない。そうしたらまた一からやり直しだ。
・そういう試行錯誤を繰り返しながら、いつの間にか自分のやりたいことに近づいていくのである。
・兎にも角にも、最初の一歩をまず踏み出すことだ。
・スキルというのはいまどれだけのものをその人が持っているかということより、そのスキルを獲得する行動特性、思考特性が彼にあるかということのほうが重要なのであって、現時点でのスキルの量や専門性の高さだけを見て人事政策を行おうとするのは、肝心な能力を見落としていることになる。
・リーダーシップとはなにかといえば、普通は人を動かす能力だと考えられがちだが、実はそれよりも特徴的なのは、仕事を思いつく能力だ。リーダーというのは、まさに仕事を作るのが仕事なのである。
・頭のよさをいちばんのドライブにしている人、つまり自分は頭がいいと思っている人は、人の仕事を評論したり、大所高所から判断するのが仕事だと思いがちだが、自らが何かを生み出さなければ単なる評論家と変わりないことをぜひおぼえておいてほしい。
・「自分の人生は自分でコントロールせよ、さもないと他人にコントロールされる」ジャック・ウェルチの言葉
・長期安定を希望する学生は、自らのキャリア派や起業派の学生に比べ、明らかに普段の勉強時間が少なかったそうだ。つまり自ら学ぶという行動・思考特性の低い人ほど、長期安定雇用を求めていたのである。
・ネットワークというのは、自分が投資しなければそこからリターンは得られない。だから私はネットワークづくりのことを投資行動と呼んでいる。
・またネットワークにおいては、一見関係ないと思えるような人にも、自分の問題意識や考えを伝え、共有してもらうことを怠ってはならない。
・たとえばいまの仕事に関し自分はこう思うということは、直属の上司だけに伝えればいいというふうに目的合理的に考えないほうがいいのである。
・よその部署の人間に話しても意味がないなどと決め込まずに、いま自分の職場はこうで、自分はこのように考えているということをできるだけ多くの人に話し、自分の問題意識を広くアピールしておくのだ。それは必ず後になって活きてくる。これを布石行動という。
・ネットワークを構築するには、このような投資行動、布石行動を普段から行っていることが大切だ。
・計画的にキャリアがつくれないのと同様、ネットワークを計画的につくることはできない。
・投資行動や布石行動のように、目的合理的でないネットワーク行動を、無意識的、習慣的にとっている人は、結果的にいいネットワークを構築し、より多くの幸運をつかむのである。
・人脈というネットワークの構築ができる人、責任感や信用、信頼感といった人間力の持ち主。こういった人たちもまた、ネットワークや人間力という自分らしいキャリアで勝負することができる。
・プロフェッショナル(Professional)とは、信仰を告白(Profess)するというのが語源であり、そこから転じて現代では、聖職者のように自分の欲望には蓋をして、クライアントの利益のために自身の高い専門性を発揮する職業という意味になった。
・ここで忘れてならないのは、プロフェッショナルには、常に高潔な職業倫理と自己管理能力が要求されるという点だ。
・キャリアチェンジを考えるときは、過去の経験を活かせるものを無理に探そうとせず、インスピレーションを大事にして、それがいままでとまったく別の仕事であっても、これまでやってきたことはなにかの形でいずれ活用できるくらいに思っていたほうがいい。
・アメリカでも最近は「キャリアは100%自分の意志によって決められるわけではなく、多くの場合、偶然の出来事によって左右される。ただし、同じ偶然でも、好ましい偶然が起こる人は、日ごろから好ましい偶然が起こるような能動的な行動をしている」という説が注目を集めています。
・(金井) ある大企業の部長クラスの人たちに、「自分のポータブル・スキルを列挙してください」とお願いしたことがあるんです。すると、「リーダーシップをとれる」「戦略的な意志決定ができる」といった答は返ってこなくて、「英語が話せる」とか「エクセルを使いこなせる」とか書いてくる。そんなのよくできる二十代のほうが上手をいきます。
・(金井) 結婚とキャリアは共通したところがあって、誰を選ぶか、どんな仕事を選ぶかも大事ですが、選んだあとをいかに充実させていくかのほうが、はるかに大切。
・(高橋) 日本の場合、「仕事で苦労してこそ一人前」のような言い方をして、苦労を美化させる傾向がありますが、これは間違いです。仕事を楽しくできるようにプロセスをどんどん変えていって、自分流のフロー経験をつくり上げる必要がありますね。(以上)

 神戸大学大学院経営学研究科の金井壽宏教授と白井真澄さんと
の04/1/23の日経新聞での「個と組織の新しい関係」というタイ
トルでの対談で共感した点と私の意見

・キャリアを日本語で言い換えるとしたら「長い目で見た仕事生
活」という意味合いが妥当。陸上競技で例えるなら、100m競争
ではなくてマラソン。瞬発力で頑張る勝負ではない。
・モチベーションは、ご褒美を目指して瞬発力で頑張ることだが、
キャリアはそれと違い持続力にかかわる。キャリアの語源は「車
のわだち」だが、そのように誰でも自分が入社以来、こう歩んで
きたということを振り返り、物語ることによって必ず意味づけがで
きる。
・正しいキャリアを歩むためには、ずっと流されているばかりでは
もちろん駄目だが、常にデザインするのも無理がある。実は50年
や60年という長い期間全体のキャリアについて計画し、設計する
のは非常に難しい。その意味でも、ターンニングポイントになるで
あろう大きな節目だけを選び取ってデザインするという意識があ
ればいい。
・今、時代に要請されるキャリアのモデルになっているのは、スペ
シャリストや専門性を持っている人だ。彼らは市場において売れる
人材で、高い値段がつく。他社にも通用するポータブルスキルも
持っているし、雇用の可能性も高い。しかし、それは「冷たいキャ
リア」なんです。今この時代でサバイバルするなら、一面的には
正しいかもしれない。でも彼らのような人材だけ増えるのがいい
社会かといえば、私は疑問。実際、各企業の人事部長が集まる
会合などでも、社会全体は市場主義に向かっているが、それを
心の底からうれしいと思っている人は少ない。
・市場価値をある程度、気にするのは仕方ない。しかし一番大切
なのは、自分が本当は何がやりたいのかを問うことである。自分
のやりたいことや目標に突き進んだ結果、自然にキャリアがついた
というように、肩書きや資格がなくてもいいキャリアを歩む人はたく
さんいる。
・キャリアの転換点を表す言葉に、釧路公立大学講師の加藤一郎
氏が名づけた「キャリアミスト」と「キャリアホーオプ」がある。若い時
は、将来が見えにくい分、霧が深いけれども、無理して霧を吹いて
しまえば希望も吹き飛ぶ可能性がある。
・今、出世するとか偉くなるという言葉が悪い意味でとらえられている。
しかし、かつてのそういった人たちは世の中を良くするとか、従来に
はなかった知識を生み出して繁栄に役立てようと本気で大志を抱い
てきたはずだ。誰かが素晴らしいリーダーシップを発揮するというキ
ャリアを歩んでいかなかれば、国全体でリーダーシップをとる人が大
きく不足していくという状況が起こるはずだ。その意味でも、やはり大
志を抱いて欲しいと思う。
<山路意見>
 我々自治体職員も地域の格を向上させ、内発的発展に寄与する
という志を抱いて連携し、その高位平準化で日本の発展につなげ
ていきたいものです。

書籍名:こうすれば伸ばせる!人間の賞味期限
著者名:木村政雄著
出版社:祥伝社
紹介:吉本興業の発展を担ってきた木村さんが自分の商品価値を高め、伸ばす知恵と戦略を伝授します。
感想:以下の点に共感しました。
・大事なのは、自分は「何ができるか」であって、「どこに所属しているか」ではないのです。キャリアというものは、その人が何をしてきたかで決まるのであって、「入社何年目で部長に昇進」といったことはキャリアではないのです。
・名刺に刷る肩書きにちょっと差がついたとしても、そんなものは「誤差」の範囲にすぎません。「自分はもうダメだ」などと自信を失っていたら、伸びるはずの賞味期限も伸びなくなってしまいます。
・むしろ逆境は自分の賞味期限を伸ばすチャンスぐらいに考えるタフさこそが求められているのです。苦しい状況をプラスに受け止めるのもマイナスに受け止めるのも、結局は自分の気持ちしかないのですから。
・新聞記事にも匿名記事と署名記事があります。客観的な事実だけの記事なら匿名でもいいのでしょうが、価値判断を含んだ「インテリジェンス」としての記事には署名が必要になる。
・同じように、これからはビジネスマンの仕事にも「これは自分の仕事だ」という署名性が求められるようになると思います。名前がクレジットされると、失敗したときに逃げ隠れはできません。その責任に耐えられるよう、自分自身を磨くことが必要な時代なのです。
・私が「仕事ができる」と感じたのは、結論から必ず報告する人間です。「あの件はうまくいきませんでした。なぜなら・・・」という順で話す部下には、失敗したにもかかわらず、次の仕事も任せてみようと思いました。そこには、逃げ道を作らず、責任を自分で引き受けようという覚悟を感じるからです。これが「自分がある」ということにほかならないのです。
・組織と個人は五分の立場だと私は思っています。組織人であるかぎり、組織の所属している一面もありますが、一方で、自分が会社という道具を使って自己実現を図っているのだという気持ちも忘れてはいけないと思います。
・よく日本の組織の特徴として「出る杭は打たれる」などといいますが、実のところ、打たれるのを恐れて我慢しているというよりも、自ら出ないように頭を押さえているうちに「出たい」とも思わなくなってしまったという人が大半なのではないでしょうか。
・スキルアップにつながるヒントは、自分が所属する世界にだけ転がっているわけではないということ。むしろ、その世界の専門家でもうまく説明できないことが、かえって外部の人には説明できることもあるわけです。
・大事なのは「安定したポジション」を得ることではなく、「自分ならではのポジション」を確立することなのです。
・自分の賞味期限を自分自身で客観的に見極めるためにも、組織や業界からは「片足」を出しておくべきでしょう。会社の看板や肩書きを外した状態、つまり名刺を持たない状態で、自分が個人としてどれだけ通用するのか。それを確かめるのはそう簡単ではありませんが、わが身をそういう状態に置いて、その感覚を味わうことぐらいは誰にもできると思います。
・食品と違って、人間の賞味期限は自らの努力と工夫によって伸ばすことができるのです。
・歴史や伝統があるがゆえに、誰もがなんとなく、自分たちの組織が明日も昨日と同じように続いているだろうと思い込んでいる。典型的なのはお役所で、変わる必要がないと思っているから、前例踏襲主義がはびこるのです。
・しかし、前例というのは、それが始まったときは通用したとしても、世の中が変われば時代遅れになっている可能性があります。
・それを検証せず、前例を踏襲することが自己目的化してしまうと、組織と世間の
あいだのギャップが広がっていく。そして最終的には、その溝が埋めがたいものになって世間から愛想を尽かされる、つまり組織の賞味期限が切れてしまうわけです。
・組織と言うのは、あまりルールを厳しく設定してしまうと、個人を生かすことができません。個人が生きなければ、組織そのものも活性化しないでしょう。
・組織のメンバーは、将棋やチェスの駒とは違います。一から十まで動き方を決められていたのでは、自分の頭でものを考える人間は育たない。ルールを緩やかにしたほうが、かえって人間集団としての組織のキャパシティは広がるのです。
・「プロ」とは自分の顔と名前でもって仕事をする人のことです。組織の判断基準で動くのは匿名の人間のすることであり、それはプロフェッショナルではありません。
・国全体の賞味期限を伸ばすために、いまの日本人に求められるものは何か。それは、社会を縦割りにしている「枠」を飛び越えるだけのジャンプ力のようなものです。
・所属部署の枠、会社の枠、業界の枠、年齢や性別という枠など、私たちの周囲には目に見えない枠組みがたくさんある。
・その境界線を意に介さず、ひらりと飛び越えてしまう軽快さを持った人材が、この国の賞味期限を伸ばすような仕事をするのではないでしょうか。同時にそういう跳躍力を持つことが、個人の賞味期限を伸ばすことに身つながるだろうと私は思います。
・みなさんも、試しに一度、自分のキャッチフレーズを考えてみたらどうでしょうか。「これだ」というものが見つからなくても、それを真剣に考えること自体がいい経験になると思います。会社で与えられた肩書きが「自分」だと思い込んでいては、賞味期限を伸ばすことなどできません。

書籍名:キャリア・コンピタンシー
著者名:小杉俊哉
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
紹介:満足すべきキャリアと人生をつくっていくための考え方や行動の手引きにな
  る本です。
感想:以下の点に共感しました。
・従来型中間管理職は、管理だけして部下に仕事をやらせ、自分は働かない、というのが典型的なあり方でした。
・今では、部下をマネージし自分もそれ以上に働く、というプレイング・マネジャーでなければ機能しない、ということがいえます。
・プロフェッショナルは常に価値を提供する人、と私は定義しています。高校野球の世界ではないので、ベストを尽くすだけでは不十分で、必ず成果に結びつけることが必要です。
・多くの人たちは、入社すると企業の価値観に自らを合わせようとし、多くの場合はそれに成功しますが、どうしても合わせることができない場合は、あなたにも会社にも雇用・被雇用の関係を続けることは不幸であるといえます。
・ただし、日本企業の場合、価値観は明示してあるとは限りません。むしろ暗黙のものとして存在している場合が大多数ですから、それは自分で感じとるしかありません。
・これだけ環境、テクノロジーが激しく変化している時代では、いったん身に付けたスキル・知識もどんどん陳腐化してしまいます。
・企業は戦略を立てます。そして、その戦略に基づく事業計画や、実行するための戦略(tactics)を立てます。そして具体的なアクション・プランにまで落とします。それに基づいて会社や社員は動いているわけです。
・ところで、最初に立てた戦略は何に基づいているか、ということです。そのもとになっているのがビジョンです。ビジョンがなければ戦略はあり得ないのです。
・これを間違っていたのが多くの日本企業です。戦略の前にあるのは、中期計画では決してありません。また、競合に対する牽制だったり、横並び意識だったりということでもありません。しかし、実際にはそうやってきました。
・同じ業界では、会社名がなければ区別がつかないほどどの会社も同じ戦略をとってきたのです。その結果、景気がよいときはどこもよいが、悪くなると総崩れになるという結果を招いています。
・私は、今まで自分や多くのビジネスパーソンをみてきた経験から、「人間は自分が描いた以上の人間にはなれない」と考えています。
・なる前に、どれだけそのときのためのビジョンをもち、それに向かって準備、努力してきたかどうかが、いざそのポジションに座ったときに成功するかどうかの鍵なのです。
・一方で、「人間は、自分が描いたところまではいける」ということも真実です。
・楽観的な人は同時に柔軟であることが多いのです。柔軟に考えるということは、一見悲観的な状況の中にも一縷の光明を見出していく、ということです。
・すなわちポジティブ・シンキングです。また、楽観的であるということは、一つのことにこだわりすぎず、見方を変えてよい面をみようとすることにつながるからです。
・何かで成功するためには、とにかくやり切ってしまうということが肝要です。目標に向かってスムーズに一直線に進んでいく、などということはまずありません。
・いろいろな人の意見を聞いてみる、人の意見を最初から値踏みしないで、素直に聞いてみる、それがよければすぐに取り入れてみる、ということは柔軟を活かすためのひじょうに重要なエッセンスになります。
・取り入れてみて、役に立たないことがわかれば捨てればいいだけです。これが素直と柔軟の複合技です。
・一度立てた目標や計画でも、そうすることでより精度を上げたり、成功の確率を高くすることができます。同時に自己成長につながります。
・相手のいうことをすべて受け入れる必要はないですが、うまくいかないのを相手のせいにせず、なるほど、と少しでも思ったことは素直に取り入れてみる、ということが自己成長に欠かせないと思っています。
・最近はほとんど死語かもしれませんが、「謙譲の美徳」、「あうんの呼吸」、「沈黙は金」などという「男は黙って○○ビール」の文化はどこかで日本人のDNAに刷り込まれているのだと思います。
・新聞で知った事件、社内で起こった動き、何でもよいのですが、自分ならどう考えるかどうするかと考えることです。実際には、紙に書いてみる、口に出してみる。もっと有効なのは、人に言ってみることです。
・あなたは、ひょっとすると間違った思い込みをしていないでしょうか?常に、相手に合わせようとしていたり、相手のいっていることがよくわからなくても聞き返すのは失礼ではないかと思っていたり、少々理不尽でもお互い様だから相手の要求を受け入れようとしたり、ということに心当たりはないでしょうか。
・喜び、前向きな感情はかまわず出すことです。また、怒り、憤り、を強く感じたらそれも素直にいってしまうことです。
・その際に攻撃的にならないコツがあります。主語を相手ではなく、自分にして感情を表現するのです。どういうことかというと、「あなたのそういうやり方は許せない」となるとこれは攻撃です。しかし、「私はあなたのやり方には大変がっかりしました」といえば、これは自分の感情をあらわにしている、という大きな差があります。相手ががっかりしている、と聞いて、それだけで怒り出す人はいません。
・ビジョンをもっている人は自己の動機付けができるのですが、相手への動機付けのためにはストロークが極めて有効です。相手にストロークを与えることができる人間のみが、影響力をもつといっていいでしょう。
・ストロークは、相手の存在そのものや価値を認める働きかけです。一方、相手の存在を無視したり、軽視したりすることをディスカウントといいます。ストロークをされた相手は、動機付けられ、嬉しく思い、それをしてくれたあなたに、好意をもち、感謝します。
・よく、人間関係をGive and Takeだといいますが、常にエネルギーを発している人は、相手から何かをとろうなどとはハナから考えていません。結果的にはGive and Giveになっていると思います。
・それでも、そのエネルギーは枯渇することはありません。めぐりめぐってそのエネルギーを発信する人のところへ再び何倍にもなって返ってくるからです。直接相手からではなくも、ちゃんとGetしているのです。
・イギリスの劇作家ジョージ・バーナード・ショーはこういっています。
Some men see things as they are and ask why 
 I dream of things that never were and ask why not 
「多くの人は現状をみて、なぜこうなのかと問う」
「私はあるべき姿を夢みて、なぜそうではないのだろうと問う」
・もし、キャリアにおける成功が、同期より早く出世する、という相対的な基準に置かれていると、何かのときに逆転され追い抜かれると、今度はどん底を味わうわけです。
・つまり、周りに状況に振り回されることになり、とても自律的にみずからのキャリアを開発するということにならないからです。
・アメリカでは、太った人は自己管理能力がないとみなされて、エグゼクティブに登用されない、というのは周知の事実ですが、最近では、プライベート・ライフをうまくマネージできない人は、仕事でもマネージできないとみなされるようになりました。
・スキルも人脈も前の会社で得たものは、2年程度で陳腐化するといわれます。近頃はもっと早く腐ってしまうことをひしひしと感じます。
・アウトプットし続けるためには、それ以上にインプット、すなわち絶えず時間を使って「投資」し続けなければならないのです。
・ビジョンや目標を描いたのに、何をやってもうまくいかない不調のとき、「これは成功のために必要な試練なのだ」と自分に言い聞かせます。そして、それでもあきらめずにやり続けることです。
・シアトル・マリナーズのイチロー選手は、チャレンジすることの重要性を次のように表現しています。「初めがなければ、2回目はない」

書籍名:これから知識社会で何が起こるのか
著者名:田坂広志
出版社:東洋経済新報社
紹介:「世に溢れる常識に惑わされず、時代のその先を読め」と説きます。
感想:以下の点に共感しました。
・「情報」というものには、次の「三つのレベル」があることを理解する必要があります。
(1)「データ」のレベル/言葉で表せて、定型化できる情報
(2)「ナレッジ」のレベル/言葉で表せるが、定型化できない情報
(3)「ノウハウ」のレベル/言葉で表すことも、定型化もできない情報
・「情報の囲い込み」要するに、大切なナレッジやノウハウを他のメンバーに教えたくないという組織的な心理が生まれてしまっているのです。
 これに対して「情報ボランティア」の文化は、企業や職場のメンバーが、自発的(ボランタリー)に、自分の持っているナレッジを他のメンバーに教え、身につけたノウハウを他のメンバーに伝えようとする文化です。
・「顧客のニーズ」を「予測」できなとすれば、あの「パーソナル・コンピュータの父」、アラン・ケイの言葉を思い起こすべきでしょう。
 「未来を予測する最良の方法は、それを「発明」することである。
・「敗北した軍隊は良く学ぶ」という言葉があります。その言葉どおり、我々は、失敗や敗北の経験からこそ、多くを学びます。
 そういう意味で、事業活動の本質とは、ある意味で、「事業活動の経験から学び続けること」であると言えます。

書籍名:成果主義は怖くない
著者名:高橋俊介
出版社:プレジデント社
紹介:自分の会社の成果主義が大丈夫か、自分のキャリアをどうやってつくっていけばよいのかについての答えやヒントがあります。
感想:以下の点が重要だと感じました。
・終身雇用年功序列のもとで、その社員を支配しやすいかどうかが最も大きな人材評価となると、顧客に対して何ら付加価値を生み出さないのに、会社にとって支配しやすい人間が上へ上へと出世していく。
・評価の客観性を重視すると、なるべく目標を数値化しようとする動きが出てくる。数値目標として使われるのは、ほとんどが結果指標である財務指標系のものだ。売り上げや利益の達成目標を重視するとどうなるか。結果主義を招き、短期志向を助長することになってしまう。
・人間が仕事をしていくために必要な要因には、衛生要因と動機づけ要因がある。衛星要因は、それが不足すると不満を抱いてやる気をなくしたり、行動を起こさなくなるが、一定以上あるからといって、やる気やモチベーションが上がるわけでもないというものだ。
・いまは競争原理の時代であり、したがって、社員同士を競争させ、貪欲に仕事に取り組ませるのが成果主義であるという認識が一般的に広まっているが、これも方向違いの典型の一つだ。
 現代は競争の時代というよりも、本質的には変化の時代である。環境が変化するなかで自己変革し続けることのできない企業は取り残される。競争に負けて負け組になるのではなく、変化についていけず淘汰されるのだ。
 自己変革を続ける組織をつくれるかどうかは、個人として自己変革し続けることのできる社員をどれだけ確保できるかにかかっている。つまり個人にとっても、いまは、競争の時代というより変化の時代であり、社員間の競争に負けて負け組になるのではなく、自己変革できない人間が淘汰されていくのだ。したがって、成果主義は、社員同士を同じ評価軸で競争させるためのものではなく、変化に対応するため、社員に対し常に自己変革を迫る仕組みであると考えるべきである。

書籍名:働くひとのためのキャリア・デザイン
著者名:金井壽宏
出版社:PHP新書
紹介:働く人に節目を活かすキャリア・デザインを説きます。
感想:単にいかにしてキャリアをデザインするかという方法論ではなく、働くことの意味と関連させてキャリアデザインを展開されていたので、いままで読んだキャリアに関する本の中でも最も奥深い内容でした。
 同じ仕事をし、同じ職業に就いているしてもスピリッツというか、志の持ち方で崇高なものに近づくたり、単なる作業で終わったりすることがあるということを再認識したところです。
 著者の金井先生には、神戸都市問題研究所で講義を聞く機会に名刺交換し、その後、メールでもやりとりさせていただきました。

書籍名:朝2時起きで、なんでもできる!、朝2時起きで、なんでもできる!2
著者名:枝廣 淳子
出版社:サンマーク出版
紹介:目覚まし時計を2時にセットしてフツーの主婦が同時通訳者になった実話
感想:書店でタイトルに惹かれていましたが、買わずにいたところ、著者が日経新聞に環境ジャーナリストとして紹介されていて、その姿勢に共感したので、すぐに買い求めました。続編ももちろん買いました。
 著者がキャリア・カウンセリングの通訳をしたときに知った理論として「ホランドとスーパーの理論」が紹介されています。それによると、「人が仕事に満足する三つの要素」には、1自分の好きなことをやっている(興味)2自分にそのスキルがある(能力)3それが大切だと信じている(価値観)があるそうです。
 この三つはすべて著者に当てはまるという気がします。



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