書籍名:キャリア・コンピタンシー 著者名:小杉俊哉 出版社:日本能率協会マネジメントセンター 紹介:満足すべきキャリアと人生をつくっていくための考え方や行動の手引きにな る本です。 感想:以下の点に共感しました。 ・従来型中間管理職は、管理だけして部下に仕事をやらせ、自分は働かない、というのが典型的なあり方でした。 ・今では、部下をマネージし自分もそれ以上に働く、というプレイング・マネジャーでなければ機能しない、ということがいえます。 ・プロフェッショナルは常に価値を提供する人、と私は定義しています。高校野球の世界ではないので、ベストを尽くすだけでは不十分で、必ず成果に結びつけることが必要です。 ・多くの人たちは、入社すると企業の価値観に自らを合わせようとし、多くの場合はそれに成功しますが、どうしても合わせることができない場合は、あなたにも会社にも雇用・被雇用の関係を続けることは不幸であるといえます。 ・ただし、日本企業の場合、価値観は明示してあるとは限りません。むしろ暗黙のものとして存在している場合が大多数ですから、それは自分で感じとるしかありません。 ・これだけ環境、テクノロジーが激しく変化している時代では、いったん身に付けたスキル・知識もどんどん陳腐化してしまいます。 ・企業は戦略を立てます。そして、その戦略に基づく事業計画や、実行するための戦略(tactics)を立てます。そして具体的なアクション・プランにまで落とします。それに基づいて会社や社員は動いているわけです。 ・ところで、最初に立てた戦略は何に基づいているか、ということです。そのもとになっているのがビジョンです。ビジョンがなければ戦略はあり得ないのです。 ・これを間違っていたのが多くの日本企業です。戦略の前にあるのは、中期計画では決してありません。また、競合に対する牽制だったり、横並び意識だったりということでもありません。しかし、実際にはそうやってきました。 ・同じ業界では、会社名がなければ区別がつかないほどどの会社も同じ戦略をとってきたのです。その結果、景気がよいときはどこもよいが、悪くなると総崩れになるという結果を招いています。 ・私は、今まで自分や多くのビジネスパーソンをみてきた経験から、「人間は自分が描いた以上の人間にはなれない」と考えています。 ・なる前に、どれだけそのときのためのビジョンをもち、それに向かって準備、努力してきたかどうかが、いざそのポジションに座ったときに成功するかどうかの鍵なのです。 ・一方で、「人間は、自分が描いたところまではいける」ということも真実です。 ・楽観的な人は同時に柔軟であることが多いのです。柔軟に考えるということは、一見悲観的な状況の中にも一縷の光明を見出していく、ということです。 ・すなわちポジティブ・シンキングです。また、楽観的であるということは、一つのことにこだわりすぎず、見方を変えてよい面をみようとすることにつながるからです。 ・何かで成功するためには、とにかくやり切ってしまうということが肝要です。目標に向かってスムーズに一直線に進んでいく、などということはまずありません。 ・いろいろな人の意見を聞いてみる、人の意見を最初から値踏みしないで、素直に聞いてみる、それがよければすぐに取り入れてみる、ということは柔軟を活かすためのひじょうに重要なエッセンスになります。 ・取り入れてみて、役に立たないことがわかれば捨てればいいだけです。これが素直と柔軟の複合技です。 ・一度立てた目標や計画でも、そうすることでより精度を上げたり、成功の確率を高くすることができます。同時に自己成長につながります。 ・相手のいうことをすべて受け入れる必要はないですが、うまくいかないのを相手のせいにせず、なるほど、と少しでも思ったことは素直に取り入れてみる、ということが自己成長に欠かせないと思っています。 ・最近はほとんど死語かもしれませんが、「謙譲の美徳」、「あうんの呼吸」、「沈黙は金」などという「男は黙って○○ビール」の文化はどこかで日本人のDNAに刷り込まれているのだと思います。 ・新聞で知った事件、社内で起こった動き、何でもよいのですが、自分ならどう考えるかどうするかと考えることです。実際には、紙に書いてみる、口に出してみる。もっと有効なのは、人に言ってみることです。 ・あなたは、ひょっとすると間違った思い込みをしていないでしょうか?常に、相手に合わせようとしていたり、相手のいっていることがよくわからなくても聞き返すのは失礼ではないかと思っていたり、少々理不尽でもお互い様だから相手の要求を受け入れようとしたり、ということに心当たりはないでしょうか。 ・喜び、前向きな感情はかまわず出すことです。また、怒り、憤り、を強く感じたらそれも素直にいってしまうことです。 ・その際に攻撃的にならないコツがあります。主語を相手ではなく、自分にして感情を表現するのです。どういうことかというと、「あなたのそういうやり方は許せない」となるとこれは攻撃です。しかし、「私はあなたのやり方には大変がっかりしました」といえば、これは自分の感情をあらわにしている、という大きな差があります。相手ががっかりしている、と聞いて、それだけで怒り出す人はいません。 ・ビジョンをもっている人は自己の動機付けができるのですが、相手への動機付けのためにはストロークが極めて有効です。相手にストロークを与えることができる人間のみが、影響力をもつといっていいでしょう。 ・ストロークは、相手の存在そのものや価値を認める働きかけです。一方、相手の存在を無視したり、軽視したりすることをディスカウントといいます。ストロークをされた相手は、動機付けられ、嬉しく思い、それをしてくれたあなたに、好意をもち、感謝します。 ・よく、人間関係をGive and Takeだといいますが、常にエネルギーを発している人は、相手から何かをとろうなどとはハナから考えていません。結果的にはGive and Giveになっていると思います。 ・それでも、そのエネルギーは枯渇することはありません。めぐりめぐってそのエネルギーを発信する人のところへ再び何倍にもなって返ってくるからです。直接相手からではなくも、ちゃんとGetしているのです。 ・イギリスの劇作家ジョージ・バーナード・ショーはこういっています。 Some men see things as they are and ask why I dream of things that never were and ask why not 「多くの人は現状をみて、なぜこうなのかと問う」 「私はあるべき姿を夢みて、なぜそうではないのだろうと問う」 ・もし、キャリアにおける成功が、同期より早く出世する、という相対的な基準に置かれていると、何かのときに逆転され追い抜かれると、今度はどん底を味わうわけです。 ・つまり、周りに状況に振り回されることになり、とても自律的にみずからのキャリアを開発するということにならないからです。 ・アメリカでは、太った人は自己管理能力がないとみなされて、エグゼクティブに登用されない、というのは周知の事実ですが、最近では、プライベート・ライフをうまくマネージできない人は、仕事でもマネージできないとみなされるようになりました。 ・スキルも人脈も前の会社で得たものは、2年程度で陳腐化するといわれます。近頃はもっと早く腐ってしまうことをひしひしと感じます。 ・アウトプットし続けるためには、それ以上にインプット、すなわち絶えず時間を使って「投資」し続けなければならないのです。 ・ビジョンや目標を描いたのに、何をやってもうまくいかない不調のとき、「これは成功のために必要な試練なのだ」と自分に言い聞かせます。そして、それでもあきらめずにやり続けることです。 ・シアトル・マリナーズのイチロー選手は、チャレンジすることの重要性を次のように表現しています。「初めがなければ、2回目はない」