成果主義について


 三重県では「管理職員勤務評価制度」に続いて、一般職員にも勤務評価制度が導入されようとしています。
 日本能率協会コンサルティングが今年2月に発表した調査によると、過去5年間に、一般社員を対象にした成果主義導入などの人事制度改革を実施した企業は54%に達するが、現在の人事制度について「成果が得られている」と評価している企業は、全体の28%にすぎないということです。
 評価される側の社員は常に結果を求められ、頑張ったはずなのに賃金は上がらない。評価結果への不満や不信も重なって、やる気を失う。人事担当者も成果をどう見るべきか、どうすれば組織全体のモラール(士気)が向上するかと悩み、人事部への不信感に疲弊しているようです。 
 成果主義人事制度について識者や経営者は次のように語っています。
●「成果主義は単なる賃金制度改革ではないのに、そこにだけ焦点を当てて制度をいじろうとする企業が多い」
 (武田薬品工業元専務 人事コンサルタントの柳下公一氏)
●「多くの企業の成果主義は、体を縛って海に飛び込ませ、『泳いでみろ』という
 ようなものだ」(UFJ総合研究所のアナリスト 森永卓郎氏)
●「誰もが満足する評価制度というのはいつまでたっても生まれないだろう。だか
 らこそ、様々な尺度を準備して、より公平な評価に近づけていくことが重要だ」
 (日清食品の安藤宏基社長)
●「人事部が社員一人ひとりの能力や現状を分かったうえで、異動させるなんてことは現実には無理だ。人事部という組織を作ってしまった瞬間、訳のわからないまま人を動かすガラガラポン式の人事がまかり通るようになる」
 (プルデンシャル生命保険椎名政一執行役員常務)
●「官僚が腐敗したのは外部からチェックされることがなかったから。同じことは
 企業の人事部についても言える。人事部を評価するシステムが今後は不可欠になる」
「万人が納得できる、どこから見ても100点満点の評価制度など存在しない。どんな制度を作っても文句を言う社員は出てくる。従って、平等で誰もが納得する制度を追求しても無駄だ。大切なのは、当社の評価の座標軸はこうだと、明確な評価の基準を示すことだ。企業ごとに欲しい人材と独自の評価基準を打ち出すことで、社員への説明責任を果すべきなのだ」(作家・経営評論家江坂彰氏)
 (以上「日経ビジネス2002年9月16日号」より)
○社員や従業員に成果を求めるならば、そのための環境というか、活躍できる場」の提供が必要です。つまり企業という組織も成果のための投資をしなければなりません。
○また、それぞれの会社によって望む人材は異なるわけですから、その企業のトップがどのような人材を求めているのかという、社員にとって目標となるような明確な意思表示が必要です。
○そして、努力した者が報われるという、分かりやすく透明性の高い評価の仕組みも構築されなければなりません。
 これらがなければ「成果の出ない成果主義」に陥ることになるのではないでしょ
うか。
 (02/10/23 メルマガ47号より)



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