<残業しないための言葉>



「『残業ゼロ』の仕事術」吉越浩一郎著 JMAM

(■本からの引用 ○私の意見)


■それにしても、近年はIT化も進み、以前よりも確実に効率的に仕事ができる
環境が整っているはずなのに、なぜ日本の企業はこんなに残業が多いのでし
ょうか。
 それは、働く人が、「残業は会社にとっていいことだ」と思い込んでいるからに
ほかなりません。だから、夜遅くまでオフィスにいるだけで、「自分は会社の役
に立っている」という高揚感がわいてくる。逆に、終業のベルと同時に帰ったり
すると、どこか肩身の狭さを感じてしまうのです。

○労働の価値を測る目安が「量」から「質」へ転換できていないのです。同じ
成果を出すならだらだらと残るより時間内に短時間で仕上げた方がコストの
面でも、健康管理の面でもいいに決まっています。


■仕事をしていれば、毎日のように大小さまざまな問題が発生します。逆に、
「何も問題が起こらない会社や職場」というのは、きわめて危険な状態にある
と思ったほうがいいでしょう。
 もっとよくなりたい、現実に満足せず、今より上を目指したいという目標や
理想を持って働いているならば、問題というのはあって然るべきものなので
す。

○問題がないと思うことが自体が問題なのではないでしょうか。問題がある
からこそ、それを克服するために進歩するのです。


■覚えておいてください。問題解決のみならず。あらゆる仕事をするうえで、
デッドラインほど重要なものはほかにないのです。デッドラインは延長が当た
り前の「締め切り」などとはまったく異質なものです。

○最近評価が分かれていますが、カルロス・ゴーンが絶賛したのは日本の
ビジネスマンのデッドラインを何としても守るという美学です。
 会議でコンセンサスが得られたことについては、「いつまでに」「誰が」「何
をする」を決めないと意味がありません。


■優先順位を考えたり、スケジュール表を作ったりするひまがあるなら、その
間に仕事の一つも片づけたほうがいい。効率的な仕事の組み合わせに、ああ
でもない、こうでもないと頭を悩ませるというのは、まだ自分と時間に余裕があ
るからなのです。

○例えば朝一番の大量のメールのチェックでも、優先順位を考えるより来た順
番から処理していった方が早く片付きます。


■なんでもそうですが、できない理由を用意しようと思ったら、それこそ百や
二百はすぐに見つかるものです。だからといって、何もせずにあきらめてし
まえば、正しいことは永遠に実現しないのです。

○できない理由を説く人は、できない理由がなくなったら、次々と「新規のでき
ない理由」を見つけるものです。


■会議なんか役に立たないというのなら、それは役に立たない会議をやって
いることが問題なのであって会議そのものが必要ない、ということでは決して
ないはずです。

○メールや電話で済まない案件があるから会議をしているのです。そうであ
るなら顔を会わさないとできないことをしないとわざわざ人を集めて会議をや
る意味がありません。


■「KY=空気を読めない」という他人を批判する言葉があるようですが、
重要な仕事の決断まで空気を読んで決めているような会社では、この先
生き残っていくのは難しい、といわざるをえません。

○私はKYという言葉を好みません。「空気を読む」という消極的な姿勢では
なく、必要であれば自ら「空気を創っていく」べきです。


■残業があるかどうかは、仕事の内容ではなく組織の風土による、というの
がいろいろな環境で働いてきた私の実感です。

○組織の風土は個々の人間がつくっているものですから変えることは可能
です。それにはトップの意識が大事です。


■「変化を恐れてはならない」「変わらなくちゃ」などと、人は変化を歓迎する
言葉をしばしば口にしますが、心の底から変わりたいと望んでいる人はそう
はいません。なぜなら、人は基本的に変化が嫌いだからです。

○自ら変わるか、変らなくてもいいことを証明するかの選択を迫られたら大抵
の人が後者を取るようです。
 「過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる」といいますが、
これにしても過去や他人そのものは変えられませんが、過去に対する考え方
や他人への接し方は変えることができるのです。


■会社は「なかよしクラブ」ではないのです。みんなの意見を尊重し、多数決
で決めるようなことをしていたら、時間ばかりかかります。しかも結論はたいて
い、「会社にとって正しい」というより、「今すでに忙しい社員にとってより楽」と
いう方向に流れていくと相場は決まっています。これでは、現状をよりよくする
のは不可能です。

○職場は同窓会でも、仲良しクラブでもないので、八方美人的で無難な誰も
痛みを生じないことばかりを求めていたら組織は持ちません。


■組織を変えられるか否かは、ひとえにリーダーの決断にかかっていると思
ってください。その際、部下との軋轢を恐れてはいけません。リーダーがやる
といったら絶対やる、それでいいのです。

○リーダーに一番求められる資質は不退転の決意と実行ですね。


■「失敗する」のは途中であきらめるから失敗するのです。成功するまで続け
れば失敗のしようがないでしょう。部下が協力してくれないのなら、協力したく
なるまでこちらも踏ん張る覚悟が必要です。

○絶対に雨を降らすことができる祈祷師は、雨が降るまで祈りの踊りをやめ
ない祈祷師です。


■正しいことを前に豹変を恐れなければ、君子になれる。私はそう思ってやっ
てきました。

○私たちが恐れなければならないものはただ一つ恐怖そのものである。
 The only thing we need to fear is fear itself.(フランクリン・ルーズベルト)
 「君子豹変」とは「君子が豹変することを責める言葉ではなく、必要な時は
豹変できるのが君子という意味だと思います。


■英語には「ボーン・リーダー」という言葉があります。リーダーは生まれながら
にしてリーダーである、という意味ですが、特に階層組織の上部で求められる
高度なリーダーシップには人間的資質に負うところが大きい、という事実は否定
できません。

○「ノーブリス・オブリージュ」(社会的に高い地位にある人に求められる高貴な
義務)という精神もリーダーには必須だと思います。


■オーストラリアにも「トール・ポピー・シンドローム」という言葉がある、という話
になりました。要するに「出る杭は打たれる」という意味らしいのですが、そういう
「トール・ポピー」になりたがらない若者がやはり、ここ数年目立つようになった、
というのです。

○出る杭は打たれますが、それは中途半端に打たれやすい高さにあるからで
す。打てないくらい出過ぎることや、あるいは打たれにくい場所に出ることで
打たれることを防げます。


■「人事を尽くして天命を待っている」と思っているのは本人だけで、実際は人事
を尽くさずに、ただ天命を待っている人が多い、それが日本の会社の実情なの
です。

○実際には「人事を尽くす」というのは到底無理だと思うほど、あきらめたり、神
頼みする前に自分がやれること、やるべきことが山ほどあります。


■仕事は人生そのものではなく、人生の一部です。私にとっての働く意味は「生
きていくために必要なお金を稼ぐため」であって、それ以上ではありません。そ
のうえで、「どうせ働かなければならないなら、面白くやったほうがいい」と考え
ます。
 自己実現とか、人生そのものとか、夢とか、仕事に余計な意味を持たせると、
それがときとして、仕事の足枷にもなりかねないのです。

○よく「楽しむこと」や「楽しんでやること」を否定する人がいますが、しかつめら
しい顔をしてやってもいい結果にはつながりません。どうせやらなければならな
いことなら自分なりの方法で楽しみを見つけたいものです。
 それに第一「楽しむこと」と「楽をすること」は全く違うのですから。


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