りぶらりだいあり

りぶらりだいあり

PR

Profile

りぶらり

りぶらり

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

新千円札と新一万円札 なすび0901さん

Are there health be… 恵子421さん

読書とジャンプ むらきかずはさん
片手に吊革・片手に… もりのゆきさん
From おおさか mayu0208さん

Calendar

Comments

おきま@ Re:「PRIDE 池袋ウェストゲートパークX」石田衣良を読んだ(07/30) 約32年前に池袋のウェイターに騙されて風…
深青6205 @ Re:「恩讐の鎮魂曲」中山七里を読んだ(08/16) こんにちは。御子柴シリーズはお気に入り…
りぶらり @ Re:「我が家のヒミツ」奥田英朗を読んだ(06/18) なすびさん,お久しぶりです。僕が本を買…
なすび0901 @ Re:「我が家のヒミツ」奥田英朗を読んだ(06/18) 好きな作家の一人 図書館で借りないでア…
2005.02.09
XML
ジュブナイルミステリーの佳作「今夜は眠れない」の続編だ。

○ストーリー
僕は憧れのクドウさんと出会えることを期待して,お祭の公園に出かけた。ところがそこで起きたのはクドウさんの従姉の殺人事件だった。彼女は少女売春組織の一員だったらしい。悪い噂からクドウさんを守るために立ち上がる僕と島崎だったが,逆に明らかになったのは?

------------------------

「夢にも思わない」は前作「今夜は眠れない」の完全な続編だけど,今作から前作の順番で読む人は少ないのではないだろうか?

前作はジュブナイル・ミステリーの伝統にのっとった展開で,ちらっと両親のフシギな姿を見せるというオマケ付きのなかなかの作品だった。主人公を中学生に設定して,それゆえのもどかしさもある一方で,少年らしい大胆な行動も取らせていて成功していたように思う。

主人公が中学生だけに,前作でも全ての謎がきっちりと解けたわけではない。でもそれは,「いつかきっとわかる大人の心の動き」的な部分であり,切なさと憧れが混じりあい,さわやかな読後感につながっていた。

この続編は,ある意味前作で良かった部分を一つ一つぶち壊して成り立っている。どこか飄々とした性格の主人公,ホームズ役の島崎との関係,大人の世界への憧れ・・・続編なのに,読後感がここまでウツウツと暗くなってしまうとはオドロキだ。

------------------------

読者の中で意見の分かれているのは,結末での主人公の行動だ。少なくとも作品としてはここがキーポイントになっていて,ある事実が判明して,初めて各登場人物の行動に説明がつくようになっている。ということは,宮部みゆきは確信的にこの部分を描いたということだ。

主人公の行動は,繰り返し「大人の世界の理不尽さ」に接してきたキャラクターとしては,潔癖すぎてそぐわないような気がする。前作や前半で,マスコミに踊らされる興味本位の大衆にいじめられてきた主人公なのに,このシーンでは,「自分が知りたがって,自分で裁きたがる」というワイドショーのレポーターみたいなことをしている,と思った。

僕は十分大人だし,常に正しい行動を取ってきたわけではないので,この主人公の行動には反感をおぼえた。潔癖な主人公を描くのもジュブナイル小説の魅力の一つだけど,だとしたら前作で主人公が学んだことはなんだったんだろう?なんかチグハグだ。

この主人公たちで,これ以上のシリーズ化がされなかった理由は,ここいらヘンだろうな。

------------------------
(蛇足)
さて,ではなぜ,せっかくに魅力的なキャラクター造形を捨ててまで,宮部みゆきはこうした作品に仕上げてしまったのか?

「下町の公園で若い女性の死体が発見され,世間は大騒ぎとなる。被害者の親族はマスコミ報道にさらされ,より深い心の傷を負う。事件の背景には,様々な理由で行き場を失い,闇に飲まれていく少女たちがいた。」

この設定と,「夢にも思わない」が発表された年が1995年であることを考え合わせると,一つの推論に至らないだろうか?この作品は,別の作品のタマゴ,習作だったのではないだろうか?

1996年に宮部みゆきは,よく似た設定の作品の連載を始めた。その作品は,それから5年後に単行本化された「模倣犯」という題名だった。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.02.12 00:57:22
コメント(0) | コメントを書く
[きらきらポストモダン推理] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: