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2006.04.11

「ほうかご探偵隊」倉知淳を読んだ

テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24298)

カテゴリ：ミステリーランドへようこそ

読者に対するフェアな対決姿勢と寡作で有名な倉知淳が，ミステリーランド向けに作品を書き下ろした。これは読まないわけにいかない。

○ストーリー
僕が5年3組の教室に登校すると，机の上に真ん中の部品が抜き取られたたて笛が置いてあった。これはひょっとして最近クラスで起きている謎の消失事件の4番目なのだろうか？教室の絵，クラスで飼育しているニワトリ，募金箱の招き猫，に続くたて笛の意味は何なのか？僕は，クラスメート4人で，”ほうかご探偵隊”を組織して，謎を解こうとする。次々と明らかになる事実の中で，たどり着く真相は？

－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－

軽妙な味と評判の”猫丸先輩”シリーズの流れを汲んでいる（らしい）作品だ。とは言え，ミステリーランドが本来想定していたターゲットの中心となる小学校高学年を主人公に据え，怪人二十面相にあこがれる少年が探偵役を演じる，といういろんな年代の読者を想定した作品になっている。

今の小学生が江戸川乱歩を読むかどうかはちょっと設定的にアヤシイのだけど，それ以外はすんなりと楽しめる作品だ。事件の真相は二転三転し，途中ちょっとシリアスな展開もあるのだけど，ぐいぐいと読者を引っ張る，というかケムに巻く。

同じ推理結果から，ここまでチガウ解決が出るのか！とびっくりすること間違いない。それでもすべての情報はきちんと読者に提示されているあたり，さすがは倉知淳だ。

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さまざまな可能性を追求した後は，日常に戻って一件落着，というカンジで結末を迎えるのだけど，この主人公たちは「ひょっとして，途中のどれかが真相だったのでは？」と思えてしまう時もあるハズだ。日常の裏に隠れているかもしれない，アヤシイ世界を想像するだけで，つまらない日常も楽しくなる。若い読者たちにも，そう言った楽しみ方を，この作品を通じておぼえてもらいたい。

まあ，ほとんどの場合，世の中は見た目通りなんだけどね。

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