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2010.07.16

「向日葵の咲かない夏」で引いてしまったが，道尾秀介に再チャレンジをした。

○ストーリー
大学2年生の秋内たち4人は，大学の先生の息子で4年生の陽介と，彼の愛犬オービー出会う。だが数時間後，彼らの目の前でオービーが道路に飛び出し，陽介は車に轢かれてしまった。2週間後，秋内は残りの3人と集まる。この中の誰が陽介を殺したのかを探るために。

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主人公・秋内を助けるのが，大学で動物行動学の教授の間宮だ。これが絵に書いたような変人で学者というキャラクターで，長身で髪の毛がモシャモシャ，ビーカーでお茶を振舞う，という分りやすさだ。

それに比べて秋内は，男友達に対してもあこがれの女性に対しても押しが弱く，きちんと聞き出すべきことを果たせない，という探偵としてはひじょうに頼りの無いキャラクターだ。

こういう人だったら，そもそも犯人探しなんてしないと思うけど，なんとか間宮に助けられつつ，いろいろと思い悩む。

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少年の事故死，あるいは仕組まれた殺人という重いはずのテーマの一方で，秋内たち4人の大学生にしては幼い恋愛ドラマが展開する。さらにこの中に殺人者がいるかも知れない，という状況なので，ヘビー，ライト，ヘビーという，そぐわないカラーをムリヤリ混ぜた印象は強い。

また半分冗談のように，各キャラクターが不自然に怪しい言動を取る。そのため秋内と一緒に読者はあっちこっちへと引っ張り回されるのだが，そのほとんどがムダな動きであるため，読み終えるとちょっとムカッとするのも事実だ。

殺人犬となってしまったオービーの顛末だったり，友人の過去であったり，と，ほろりとされる部分はあるのだけど，全体的なカラーがコロコロと変わるので，どのように感情を移入していいのか悩むところだ。

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終盤に訪れる数回のサプライズにはだまされた。けれども，きちんと理解できる前に次のサプライズとなるのと，どこかアンフェアな印象があるので，「きれいにだまされたっ！」という気持ちにはなれなかった。

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ラストの不思議な明るさばかり印象に残ったが，それでいいのだろうか？

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