きっとどこかの物語

雪。2005.02.25


なんとも思わなかった。




私も大人になったと思いながら、家を出た。
すると、あの独特な雪を踏む感触が足から伝わった。
一瞬、走馬灯のように、昔の記憶が蘇る。
この感触が面白くて雪を踏み歩いた、あの幼い日の思い出。
雪を待ち望んでなどいなかったはずなのに、ずっと外を歩いていた子供時代。
何故か冬にだけ降る、この冷たい氷に、感動できたあの頃。
はっと気付いたとき、私は一人で道の上に立っていた。
懐かしい。いとおしい。
雪は空で凍った水が落ちてきているだけのことだと知った今、
雪に感動することを忘れた。
どうしてか落ちてくる雪が不思議でたまらなくて、
ずっと空から落ちてくる雪を眺めていた幼いころが、
たまらなくいとしかった。

「変っていく」
最近よく口にする言葉が脳裏をかすめる。
そう、変っていく。
生まれて十七年、もう今現在、不思議と思えるものはなくなってしまった。
全ては数学で答えが算出され、その答えの情報は瞬時に世界をかけめぐる。
いつでもどこでも、答えはでてくる。
数字は狂わない。
今、解明されていない謎も、いつか人間が解き明かすであろうものへと変っていった。
「つまらないな」
解けない問題がなかったように、これからも未知は解き明かされる。
「つまらなすぎる」
不思議と言って感動できるものがなくなっていった。

綺麗すぎる景色。
人々が感動する中、あの景色は三色の色からなりたっていると頭の中で思考する。
実につまらないものだった。
人の目は三色の色をとらえ、その色が混ざり合い違う色に見えている。
綺麗な景色とは、そこから成り立った「ちょうどいい具合の色のあつまり」につぎない。

本当に、つまらない。
全部未知でよかった。
少しばかり、生きていく上での知恵があるだけでよかった。
それなのに知ってしまった。
もともと論理的だった自分のこの頭では、全てが「知識」で解き明かされると。

幼い頃がいとおしい。
全てのものに激しい感受性と興奮を持って興味を示すことができたあの頃に。
大人になっていって忘れてしまうのは、そういうものなのではないか。
そう思っている。

何故夕日はあれほどまでに紅く美しいのか。
星はどうして夜にしか顔をあらわさないのか。
何故風は吹くのか。
何故雨は降るのか。
何故雷は空気に踊る。
地震の恐怖。
火の暖かさ。
光の眩しさ。
人の優しさ。
地球とは、自分とは、全てとは、一体何なのか。
あの頃の疑問が脳裏に浮かびあがっても、答えはもう手のうちにあった。
もともと答えがないもの。すでにあるもの。
それ以外は、もう何もない。
そう思い込んでいるだけなのかもしれない自分を恥じるが、
どうしても、思い出せはしないのだ。
あの幼い頃の、感動を。

雪は、独特な感触を通して私に投げかける。
「取り戻せはしないのか」
私は足をつっ立たせていた地から振りほどき、
「取り戻せはしない」
あの頃よりも、大きくなった背中で、冷たく返答を返した。







今日は、あれですね。
書くことがないんですね(´ー`)b
だからまた駄文ですね(´ー`)b
でも今日思ったことだから日記でいいのかな。これ。
雪を踏んだときにね、懐かしいなって思ったんですよ。
そういや、よく昔踏んだっけか。って。
俺、子供ながらに雪は待ち望むタイプじゃなかったんです。
どうしてこんな冷たいモンを空から降らすのか、
その冷たさが、ある人の冷たさと、
泣いたとき手の甲に降ってくる涙に似ていたような気がしたんです。
ただそれだけだったのに、小さい頃にしてはすごくトラウマを感じていたんだと思います。
だけど、それだけれども、雪が降るのは不思議でならなかった。
どうして自分は勉強なんてしちゃったんだろう、
って今となっては本当に後悔してる。
なんでも飲み込みが早い方だって言われたけど、
勉強の面だと更にそれがひどかった。
最初のうちは、ただどんどん知れることが面白くて、どんどん勉強したんです。
で、中学の頃の塾の先生に、俺の成績の伸びは異常だから、
っつってIQテストをやらされたんですが、
その結果が165.(一般的に120で秀才です)
結果出たときは嬉しくて飛び上がりました。
自分が「特別」だと思ったから。
だけど違った。
その「特別」に身を乗り出したせいで、自分に見返りが待ってた。
知りすぎて、全てが「どうでもいい」で終わるようになった。
「答え」は必ず出ることを知っている。
人が「正しいかそうでないかの答えはでない」といっていたけれど、
「正しいかそうでないかの答えはでない」というのが答えだと思った。
それ以外追求はしない。
そしてそうしていくうちに、何に関しての感心も薄れていく。
そうしていくうちに残っていったのは、新しい物語を生み出してくれる
「本」だけになっていった。
全てに無関心になっていった。
自分がどういう経緯でこうなったかというのもはっきりしている。

だから俺が一般的に「善良」だといわれない人と一緒にいはじめたのも
今なら頷ける。
興味があったから。
はじめはそれだけだった。
今は違うけど。

ああ、時間ないや。
んー・・・。
面倒だし今日はここらへんにしておこう。




                                 2005.02.25


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