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May 11, 2008
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カテゴリ: ホラー映画
 “ミスト”と聞けば、「ゴジラ対ヘドラ(1971)」の公害怪獣ヘドラが武器とする“硫酸ミスト”を思い出すくらいの怪獣映画好きです。だから、20年くらい前に「闇の展覧会1(ハヤカワ文庫NV1982)」と「スティーヴン・キング短編傑作全集 1 骸骨乗組員(サンケイ文庫 1987)」で「霧」を読んだときから、映画化されるのを願っていました。
 なんとなれば、「霧」には、様々なモンスターが登場するのです。怪獣映画好きとしては、文章だけでなく、大スクリーンで見たいと思ったわけです。けれど、当時の映像技術では、映画化不可能というような言われ方をしていたのではなかったか。だから、小説が発表されてから(1980年)、映画になるまでに時間がかかったのでしょう。

 とにかく、25年以上も待ったわけだから、もう封切り初日に行きましたよ。
 けれど、見る前に、不安がなかったわけではありません。というのは、監督がフランク・ダラボンであるところ。
 同監督の、やっぱりキングを原作とする「ショーシャンクの空に(1994)」も「グリーン・マイル(1999)」も大好きな映画です。両作とも、とても感動しました。それに、映画を見てから、もう一度原作を読み直しました。「ショーシャンクの空に」は、“必見の一本!”と映画を人に薦めるくらいです
 けれど、監督のダラボンは怪獣映画としての「霧」を撮ることができるのか、それが心配でした。こちらが期待しているのは、B級テイストあふれる「霧」なんです。
 だから、できれば同じ“霧”を意味する「ザ・フォッグ(1979)」の監督であるジョン・カーペンターあたりにつくってもらいたかった。それは、石頭を誇るプロレスラー同士のボボ・ブラジルと大木金太郎の“頭突き”合戦みたいに、ここではふたつの“霧”で張り合ってもらおう(ちょっとちがうか?)というのではありません。B級テイストという意味においては、ジョン・カーペンターの演出で見てみたかったのです(「ミスト」と「ザ・フォッグ」は、タイトルだけでなく、設定も似ている)。
 カーペンター、最近不調のようですが、彼の撮影した「ハロウィン(1978)」「ニューヨーク1997(1981)」「遊星からの物体X(1982)」などは、何度も繰り返し見てきました。
 これは、単に好みの問題です。 「ショーシャンクの空に」「グリーン・マイル」は、相手が誰であれ、「いい映画ですよ」とお薦めします。でも、カーペンターの映画は、そのよさが分かる人でないと、話題にはしません。(なお、mistとfogのちがいは、fogの方が濃いとのことです。語感からもそんな印象がありますね) 。

 結果的には、「ミスト」は、モンスター映画好きの当方の期待に応えてくれるものではありませんでした。最初に、歯の生えた触手が襲ってきたときには、この後どんなモンスターが出てくるのかと、期待したのですがね。巨大羽虫や巨大コウモリや、そんな程度でした。もっと刺激的なモンスターのオンパレードを見たかったぞ。原作はどうだったかな。もう20年以上前に読んだきりだから、忘れてしまいました。
 あるいは、モンスターの登場は少なくとも、映画のストーリーや人間ドラマ、テーマから得られる感動というのもあります。でも、残念ながらそれも感じなかった。

 霧に覆われ、モンスターが跋扈する異世界となりはてた街。原作は、最後に“希望”という言葉で締めくくられます。これは、“パンドラの箱”の神話をなぞったものです。しかし、映画版のラストは異なります。言葉にすれば“皮肉”ではないでしょうか。
 このラストから遡れば、伏線なり、展開なりがわかります。
霧によってスーパーマーケットに閉じこめられた人達。その中で女性(二児の母)は、家に残した子供達が心配で、危険を顧みず最初に飛び出していきました。その女性がどうなったかは最後まで分からなかった。
 考えてみれば、霧の中に飛び込んだ人は、必ず役割をもっていなければなりません。つぎにスーパーマーケットから出て行った人は、モンスターに食われます。彼は、モンスターが存在することとその恐ろしさを知らしめる役割を担っていました。二児の母が何の役割も果たさずに行方不明のままというのは、あり得ないことでした。
 さらに、主人公が、タフなヒーローに見えて、意外にそうではなかった。スーパーマーケットに人々を置いて脱出しようと計画するとき、情けないような卑怯者のような、または先走ったような印象をもちました。もし、主人公の行動が、切羽詰まったギリギリの選択として描かれていたら、こういうラストはなかっただろうと思います(ラストは明かさないけど)。

 今回のラストは、ちょっと類を見ない衝撃的なラストです。「猿の惑星(1968)」もかなり衝撃的なラストでしたが、そこには何かしら快感がありました。それと比べると、「ミスト」のラストは、最善と思われる選択も、実を結ぶことがなく、“皮肉”な結果となってしまうことがあると感じざるをえません。

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Last updated  May 11, 2008 06:23:30 AM
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