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政・官の在り方(平成14年)

平成14年7月16日
閣僚懇談会申合せ


政・官の在り方

適切な「政」と「官」の在り方については、今、厳しく問われているところである。
もとより、「政」、「官」ともに、よって立つ基本は、「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」、「政治倫理綱領」、「国家公務員倫理規程」において示されているとおり、公益の実現に全力をあげることである。こうした基本的考え方に立って、「政」と「官」の適正な役割分担と協力関係を目指し、以下のとおり、当面、内閣が取り組むべき方針をとりまとめたものである。

各府省における具体的な対応は、この方針を踏まえ各大臣の判断と指示のもとに行うものとする。

1 基本認識

〔1〕「政」は、行政が公正かつ中立的に行われるよう国民を代表する立法権者として監視責任を果たし、また、国務大臣、副大臣、大臣政務官として行政を担う。「官」は、国民全体の奉仕者として中立性、専門性を踏まえて法令に基づき、主に政策の実施、個別の行政執行にあたる。

〔2〕政策の決定は、「政」が責任をもって行い、「官」は、職務遂行上把握した国民のニーズを踏まえ、「政」に対し、政策の基礎データや情報の提供、複数の選択肢の提示等、政策の立案・決定を補佐する。

〔3〕「政」と「官」は、役割分担の関係。それぞれの役割分担に基づき一体として国家国民のために職務を遂行する。

〔4〕「政」と「官」は、それぞれが担っている役割を尊重し、信頼を基本とする関係の構築に常に努める必要がある。

2 対応方針

政府の政策決定における内閣主導を徹底する観点に立ち、以下の措置をとるものとする。その際、副大臣、大臣政務官は、「政」と「官」の関係について、大臣の指示に基づき、「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」に定める役割を適時適切に果たす。

〔1〕「官」は、国会議員又はその秘書から、個別の行政執行(不利益処分、補助金交付決定、許認可、契約等)に関する要請、働きかけであって、政府の方針と著しく異なる等のため、施策の推進における公正中立性が確保されないおそれがあり、対応が極めて困難なものについては、大臣等に報告するものとする。報告を受けた大臣等は、要請、働きかけを行った国会議員に対し、内容の確認を行うとともに、政.官の関係について適正を確保するなど、自らの責任で、適切に対処する。

〔2〕法律案の作成等、政策立案の過程における「官」から「政」への働きかけは、大臣等の指揮監督下にあって、その示した方針に沿ってこれを行わなければならない。

〔3〕「官」は、大臣等に報告すべき情報を秘匿したり偏った情報提供を行うことのないよう、報告責任を全うし、国家公務員法の精神に則り、国民全体の奉仕者として、「基本認識」で明らかにした「官」の役割を誠実に果たすものとする。

〔4〕「官」は、上記〔1〕により大臣等に報告するものについては、日時・経過、内容等、当該案件の処理経過を記録し、大臣等の確認を経た上で保存する。この場合及び上記〔2〕で記録を保存する場合、記録の正確性を十分確保することとし、詳細な発言内容を保存する場合には、改めて本人の確認を求める。

〔5〕各府省幹部は、政・官関係の不適切な問題が生じないよう、部下を指導監督する。また、必要に応じて、大臣等と解決に向けた協議を行う。一府省の問題といえども問題の性質によっては、内閣として対応する。

3 遵守事項

〔1〕大臣等は、「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」に定める「1 (1)服務の根本基準」、「1 (8)秘密を守る義務」、「1 (10)公務員との関係」、「2 (1)適切な職務分担」等の遵守を徹底する。

〔2〕「官」は、「国家公務員倫理規程」を遵守する。また、政治家との懇談等は、節度を持って対応する。

(参考)
●国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範(平成13年1月6日閣議決定)(抄)

前文

今般、中央省庁再編が行われるとともに、新たに、副大臣及び大臣政務官の制度が導入された。こうした状況を踏まえ、政治家であって国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保するとともに、国家公務員の政治的中立性を確保し、副大臣等の役割分担を明確化するため、下記のとおり国務大臣、副大臣及び大臣政務官に関する規範を定める。

1 国務大臣、副大臣及び大臣政務官の服務等

(1) 服務の根本基準
国務大臣等(内閣総理大臣その他の国務大臣、副大臣(内閣官房副長官及び副長官を含む。以下同じ。)及び大臣政務官(長官政務官を含む。以下同じ。)をいうo以下同じ。)は、国民全体の奉仕者として公共の利益のためにその職務を行い、公私混清を断ち、聴務に関して廉潔性を保持することとする。

(8) 秘密を守る義務
職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。
法令による証人、鑑定人等となり、聴務上の秘密に属する事項を発表するには、国務大臣にあっては内閣の、副大臣等にあってはその上司である国務大臣の許可を要する。
これらについては、国務大臣等の職を退任した後も同様とする。

(10) 公務員との関係
国家公務員法等の趣旨を踏まえ、国民全体の奉仕者として政治的中立性が求められている職員に対し、一部の利益のために、その影響力を行使してはならない。国務大臣は、職員の任命権を一部の政治的目的のために濫用してはならない。

2 府省の大臣、副大臣及び大臣政務官の職務等

(1) 適切な職務分担

5 副大臣は、国会において答弁を行うとともに、必要に応じ国会等との連絡調整を行うものとする。国会提出法案については、副大臣が担当する法案を府省の大臣があらかじめ定め、副大臣は、その担当する法案に関し、責任を持って職務を遂行するものとする。
大臣政務官は、国会等との連絡調整を行うとともに、必要に応じ国会において答弁を行うものとする。

(2) 所管行政の的確な把握と密接な連絡

1 府省の大臣等は、行政運営上の重要事項について適時適切な報告を求めるなど必要な措置を講ずるものとする。

●政治倫理綱領(昭和60年6月25日衆議院議決、昭和60年10月14日参議院制定)(抄)

一、われわれは、国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、政治不信を招く公私混清を断ち、清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない。

一、われわれは、全国民の代表として、全体の利益の実現をめざして行動することを本旨とし、特定の利益の実現を求めて公共の利益をそこなうことがないよう努めなければならない。

●国家公務員倫理規程(平成12年3月28日政令第101号)(抄)

(倫理行動規準)
第一条 職員(国家公務員倫理法(以下「法」という。)第二条第一項に規定する職員をいう。以下同じ。)は、国家公務員としての誇りを持ち、かつ、その使命を自覚し、第-号から第三号までに掲げる法第三条b)倫理原則とともに第四号及び第五号に掲げる事項をその職務に係る倫理の保持を図るために遵守すべき規準として、行動しなければならない。
一 職員は、国民全体の奉仕者であり、国民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について国民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等国民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならないこと。
二 職員は、常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならないこと。
三 職員は、法律により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならないこと。
四 聴員は、職務の遂行に当たっては、公共の利益の増進を目指し、全力を挙げてこれに取り組まなければならないこと。
五 職員は、勤務時間外においても、自らの行動が公務の信用に影響を与えることを常に認識して行動しなければならないこと。


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