RiSu*が飛ぶ♪

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息子を地元の幼稚園に放り込むっ!2



 では本当に幼稚園が嫌なのかといえば、そうでもない。幼稚園に行けば行ったで、実に楽しく、のびのびと遊んでいるらしかった。幼稚園は楽しいのだけれど、問題は当然のことながら言葉で、意志の疎通がはかれないことが最大の苦痛なのだった。これは主人にしても同じで、異国の地で仕事をすることの大変さを身にしみて感じていた。こうして家の中で、男2人は朝から「早く日本に帰りたいなぁ」とつぶやき、ため息まじりに朝食をとった。そして私ひとり、朝から「ドイツっていいわねぇ~」などと言ってヒンシュクを買うのだった。

 話は幼稚園に戻るが、幼稚園のほかの子供達はドイツ語を全く話せない、日本人の子供をどのように受け止めてくれるのだろうかと、さすがにわたしも少し心配だった。いじめられないだろうか、乱暴されないだろうかと最初は心配だった。けれど数日息子を送りに行ったついでに様子を見ていたら、そんな心配は吹き飛んでしまった。彼らはごく自然に息子を受け入れてくれたようだった。日本人であることは、やはりものめずらしかったようで、最初は色々なことを息子に聞きに来ていたようだったが、とにかく息子はドイツ語は全然わからないから、答えようがない。そのうちにむこうも、“もういいや、遊ぼう!”みたいな感じになっていった。彼らはよく息子の名前を呼んで手招きしてくれた。息子もそれを拒むことなく喜んでホイホイ付いて行った。言葉がなくても遊びは十分に成立していた。 

 クラスにいろいろな年齢の子供達がいることも、息子にとってはラッキーだった。私達が幼稚園に行くと、年齢の大きい世話好きのお姉ちゃんたちが「ハローッ」と言って2,3人で来たかと思うと、みんなで寄ってたかって息子のヤッケを脱がせ、手を取り遊びの中に引っ張っていった。そのうちにお姉ちゃんたちによる“ドイツ語講座”が始まったりする。でもよく見るとお姉ちゃん達は他の小さい子供達の面倒もよく見ている。靴紐を上手に結べない子の紐を結んであげたり、ヤッケのジッパーをはめてあげたり…なにより
よく“待って”くれていた。こうして息子は少しずつドイツ語も覚えてゆき、仲の良いお友達も何人か持つ事ができた。


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