アグリッピナ2世(AGRIPPINA MINORE)
は
兄であるローマ皇帝 カリグラ(CALIGOLA)
に夫を殺され、
息子 ネロ(NERONE)
と引き裂かれた挙句に幽閉されてしまう。
カリグラ帝が部下に暗殺され、
アグリッピナ、カリグラの叔父である クラウディウス(CLAUDIO)
がローマ皇帝の地位に就くと、
アグリッピナは彼の妻 メッサリーナ(MESSALINA)
を死に追いやってクラウディウスの妃となり、
宮廷に返り咲く。
息子ネロにはストア哲学者 セネカ(SENECA)
という強力な家庭教師をつけ、
彼を皇帝にすべく教育した。
そしてついには夫であり叔父でもあるクラウディウスを暗殺してしまう。
54年、母の念願どおりローマ皇帝となったネロは、
就任当初はセネカの教えもあって善政を行っている。
しかし64年のローマ大火以降、後世にその名をとどろかせる暴君ネロの暴政が始まるのだ。
68年の自殺までに義理の弟 ブリタニクス(BRITANNICO)
、母アグリッピナ、
妻 オッタウィア(OTTAVIA)
、哲学者セネカなど近親の者たちを次々と殺し、
キリスト教信者を虐げていたネロ帝。
5月に二夜にわたって放映されたRAIのドラマ “NERONE"
は、
PAUL MARCUSを監督に迎え、
主役のスコットランド人俳優HANS MATHESONをはじめとする多国籍なキャストで目を引いた。
主要キャストの多くをイタリア人が占めたが、中でもアグリッピナを演じたラウラ・モランテは近年
鬼気迫る演技でわたしたちの目を驚かせてくれる。
女優の中の女優と言えよう。
ドラマ自体は2000年前の出来事ということもあってもちろんほとんどがフィクションであるし、
ネロの恋愛に重点を置いたりして観る側の興をそそろうとしているから
陳腐な出来にはなっているが、
それでも2000年前のローマでどんなことが起きていたか、
それを想像する助けにはなる。
こういった「時代物ドラマ」がもっとあればいいのにな、と思う。
ちなみに現在コロッセオの近くにあるネロの黄金宮殿(見学は要予約。
建設された64~68年当時はコロッセオはもちろん無く、その辺りは宮殿の庭園の池だったという)
DOMUS AUREA(ドムス・アウレア)
は、わたしがほぼ毎日口にする言葉である。
というのは、わたしが働くホテルのツアー客(ドイツ、ベルギー人が多い)のパッケージに
ドムス・アウレアのチケットが含まれており、
それを予約するのがわたしの仕事だからである。 何かの縁
だ。
そして、もうすぐ引越ししてしまうのだが、
友人ひとみちゃん&わかさんの家がドムス・アウレアのすぐ裏である。 何かの縁
だ。
参考文献成瀬治監修『カラー世界史百科』平凡社(1978)
(2004年6月3日)