りぃ-子’s SCRAP BOOK

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2022.06.19
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カテゴリ: 読書・漫画・本
読書会の課題図書、「土の中の子供」をざっと読んでみた。

土の中の子供 (新潮文庫 新潮文庫) [ 中村 文則 ]

なんと悲しく苦しい話なのか・・・
でもこの作品を読む人が一定数いて、価値があると評価し、
芥川賞を受賞している。

私も違和感を感じて読み始めたのに、次第に自分とは経験も価値観も違う主人公の痛みや戸惑い、そして気づきを、いつの間にか自分のことのように感じていた。

誰もが・・・?
思い出せば、かすかな虐待や誰かからの暴力の経験があるという事だろうか・・・?

少なくとも、私自身は「わかる、それに似た事を経験したことがあるような気がする」と、埋もれた記憶の断片を掘り起こされたような気がした。

TVで観た人々の日々の生活や、幸せが、多分私には一生縁のない、
手の届かないものなんだろうと、実際諦めていたような記憶。

おそらくは、私の母は倹約家で私と妹は願ってもどれも絶対に手に入らない、何故なら我が家は貧乏だから…と思い込まされていたせいなんだろう。

友達が持っているものを欲しがったら、両親が苦しみ困るのだと。

他人が当たり前に手にしているものを、満足に手に入れられず壊れたもので我慢する日々。
私にはそれが当然で、普通の暮らしなど求めてはいけないと。

私と妹は、ごく普通の生活に飢えて育ったと思う。
その結果、母が爪に火を灯すように貯蓄した金は、妹のブランド買い、子供への異常な教育費、見栄っ張りの生活の為の借金に消えてしまった。

極端な飢えは、感覚をおかしくするのだな…と思う。


もちろん、主人公の生い立ちはそんな生易しい経験とはまるっきり違うのだけど。

それでも、あの将来に対する絶望を思い出した。

それと、「ある感覚の繰り返し」についても、わかる気がした。
何度も、フラッシュバックする辛く恐ろしい経験や、自分がしたことの後悔、これは経験のある人が多いかもしれない。

それをどうやって克服し、生き続けていけるのか。

それがとても難しい場合があるはず。。。


作品はほとんどの場面が辛かったのだけど、でも希望と穏やかな優しさを感じることができる。
主人公は、混乱し理解しがたい毎日を送っているけれど、
私は彼のことが好きなのだと思う。





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最終更新日  2022.06.19 18:30:07
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