ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル 




 ゴールドラッシュは二度あった。砂金が出たときと、IT革命が勃発した現在と。

 どちらのときも途方もない富を築いた人がいた。

 特筆すべきは、砂金のゴールドラッシュで富を築いた人が次のゴールドラッシュの種を蒔いたということです。

 スタンフオード氏ですね。

 目次にしたがってこの本のご案内をしてみます。

 私ごときが、この強靭な頭脳を持った野口氏の本を、かいつまんで紹介するということが可能ではないことは承知の上ですが、素晴らしい著作であるだけに、皆様に知っていただき、ご一読を薦めるのです。

 プロローグ 黄金の州

 第一部 地表に金がころがっていたー19世紀のゴールドラッシュ

 第二部 鉄道王、大学を作る

 第三部 ゴールドラッシュの再来ーシリコンバレーの起業家たち

冒頭に筆者撮影の現在のシリコンバレーのカラー写真が、7ページに渡って収録されています。美しいシリコンバレーの平原がうかがわれます。

 気候がよく毎日快晴のシリコンバレーでは誰が撮っても、天が高い美しい写真となるのですが、筆者の撮るアングルが良いのです。

 この写真だけでも1785円の価値はあります。「文庫版になったら買う」ではだめですよ、大きな写真で見なければ価値はありません。


 筆者野口氏は凡百の、「シリコンバレーの俄か(にわか)英雄譚」(それはそれでそれぞれ興味深いものですが)から大きく抜け出ています。

 二つの時代を歴史的に語りながら現在に至り、「日本の道を考える」という串で、シリコンバレー情報を貫き通しています。

 この串は鋭利でもあり、鉈(なた)の如き強靭さもある超骨太の串です。

 いわく、「本書が直接の対象としているのはアメリカの歴史だが、私の念頭につねにあるのは、日本経済の未来だ。」

 「世界経済の大きな変化の中で、日本は未来を切り開けるのだろうか?私は、この問いに対する答えを見出すために、ゴールドラッシュの歴史を紐解き、シリコンバレーの企業家たちが行なったことを調べたのである。」

 本書は「週刊新潮」に2004年4月から05年6月まで連載された「21世紀のゴールドラッシュ」をまとめたものです。

 連載中は毎週楽しみにわくわくして読んだものです。なぜなら、幾多の書で読んで知っているシリコンバレー物語に対する、はっとする新たな視点が毎週の如く提示されたからです。

 私も大好きなカリフォルニヤ・シリコンバレーの雰囲気が、さりげなく描写されているのも、いつもながらの野口氏の芸でもあります。

 私がかつてシリコンバレーのサン・マイクロシステムズを訪れた際、見学の途中こう申しました。

 ”We have 4 workstasins of Sun Micro Systems"

 一瞬の短い沈黙の後、”ヒャー!、グレート!"と4人ほどの案内者が一斉に叫びました。いっぺんに態度がフレンドリーになり、もっと買うべきだと語りかけてきました。

 弊社も使っているサン・マイクロシステムズのワークステーションです。

 なんと申しますか、アメリカ人らしさが出ていました。率直で飾らないのです。

 ちなみにあれから5年、我われのワークステーションは8台稼動しています。


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