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Ryu-chan6708

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2006.08.05
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カテゴリ: 読書感想
A氏 :レイモンド・チャンドラーの街道の知的出発点は、 作家大沢在昌氏が新聞で愛読書としてチャンドラーの短編「待っている」をあげたこと だが、それ以来、チャンドラーの知的街道をたどってきたね。
 お江戸日本橋を7月16日に出発したわけだ。

:弥次喜多道中ありがとう。
 ところで7 月20日の日記 で書いたように、アメリカのアマゾン・コムで古本を頼んだら、 昨日、郵送でフィラデルフィアの古本屋から古本がアメリカから到着したよ。2週間くらいかかったね

A氏 :すごいもんだね。本の状態はどうだった?

1957年の発行 だから、約50年たつが、保存はいいね。
 紙は褐色に変質していたが、気になるほどのことはない。
 8人の作家の短編を集めている。その中で、 エラリー・クイーン は俺も聞いたことのある作家だが、他はチャンドラー以外知らない。
 他の作家のものもこれからゆっくり読んでみるよ。まあ、短編だから、負荷にならない。
 原書は120頁ほどの薄い新書版。
 チャンドラーの「待っている:I’ll be waiting」は30頁くらいだ。

A氏 :英語と言えば、 こないだの日記 の後半で気にしていたlipの上のヒゲは、原文ではどうだった?

:「 その唇の上に生えた桃色のやつでも剃ってりゃいいじゃないか 」という訳の部分だね。
 次のような英語だ。
You could shave that pink fuzz off your lip
 could は仮定法。fuzzは「うぶ毛」だね。lip がやはり登場する。
 実は、これはホテルのclerkに対する言葉だが、このclerkが口ひげをはやしている文がその伏線として、この先にあるんだ。それは原書では次のようだ。
A small neat man with a wispy reddish mustashe
 mustasheは、文字通り「口ひげ」だ。wispyは「(髪などが)ほんのすこしの、かすかな」の意味だから、fuzzに対応するね。ここではピンクでなく赤だ。

A氏 :なるほど。すると 唇が英語と日本語で言っている範囲が違うんだ。

私: オックスフォードの英英辞典で mustashe をひくと面白いよ。
A line of hair that a man allows to grow on his upper lip
 直訳すると、「 上唇にはやした髪 」となる。「 欧米人は唇に髪が生えるのか 」ということになる。
 しかし、この辞典では、 hairの項目の絵を参照のこととあるので 、それを見ると、mustasheは絵では日本的には唇でなく、 唇の上の鼻の下部分に生えている
 面白いね。なお、mustasheはアメリカ英語で英語ではoが入りmoustasheとなる。チャンドラーはもちろん、アメリカ英語だ。

A氏 :そうなるといよいよ、原文読みだね。

:短編だし、和訳もあるからね。

A氏: 和訳では稲葉氏と清水氏の訳があるというが、清水氏のものが絶版でないのだね。

:うれしいことに、チャンドラーの強烈なファンの加藤氏が、私が氏のホームページの「 レイモンド・チャンドラーの世界 」にアクセスして、いろいろお聞きしたら親切に教えていただいた。
 このホームページによるチャンドラー街道の良きガイドのおかげで、すぐに「 大なる眠り 」「 長いお別れ 」「 さらば愛しきひとよ 」の チャンドラーの3大長編 にすぐにたどりつけたんだ。
 その後、私のブログを読んでいただいたようで、清水氏の訳が余分に手元にあるので、提供していただけるということなんだ。感謝感激だね。

A氏 :原書の到着と、訳者2人の本の入手と、まさに両手に花だね。

:短いけれど壮大な知的街道となりそうだね。短編だから集中できそうだ。





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Last updated  2006.08.05 10:33:36
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