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A氏
:俺も見たが、新聞記者がある部長の収賄のスクープをする。
記者は得意になる。
ところが、捕まった部長が自白せず、勾留が長引く。
どうも事実でないらしい。
そのうちに、その 部長が自殺
する。
新聞記者も結局やめてしまう。
それから、 数年たって発生した交換殺人の犯罪の黒幕に、自殺した部長の子どもが登場する というわけだね。
私
:父親の死に対する新聞記者への復讐だね。
その復讐心がすさまじいことを、ある人の体験談から知っていたので、ピンと来たのだ。
その体験談は、10年位前にある中堅企業の重役と夕食をともにしたとき、その 重役の体験談
として語られた。
彼は、今まで、社員には話してないんだがと言って、今までの人生を話した。
彼は大学を出て、ある地方では大手の新聞会社の新聞記者になった。
そして、 若くして、市会議員の汚職をスクープした。
彼は大得意だった。
正義感で鼻高々であった。
ジャーナリストとしての将来は、洋々たるものを感じた。
ところが、 この市議が自殺した。
通夜に彼は出かけた。
そうしたら、 中学生くらいの女の子が、彼を指し「この人が父を殺しました」と叫んだという。
A氏 :それはショックだったろうね。
私
:彼は、ショックで新聞社をやめた。
数年間、気持ちがうつろで、どんな仕事も手につかなかったそうだ。
毎年、その市議の命日には、ご焼香に訪問するが、冷たく扱われる。
しかし、彼の努力で多少のギスギスさは解消されていったようにみえた。
A氏: 彼にしてはつらいものがあったんだろうね。
私
:こうして、十年ほどたった。
その間、彼は、今の社長に救われ、ちゃんと勤めるようになり、才能があるので抜擢されていた。
そんなある日、 その市議の娘さんが結婚するということで、その娘さんから招待状が来た。
A氏 :出席は問題ではないの?
私
:彼は素直に出席した。
しかし、 娘である花嫁は「この人は、父を殺した人です。」と言って彼を出席者に紹介したという。
A氏 :やっぱりな。
私:
彼は、これは、一種の和解であると解釈したようだが、依然として、心の底に残る重いものを感じたであろう。
日常の彼は明るいジェントルマンだがね。
A氏 :今はやりの「 鈍感力 」の問題かね。
私
:もっと深いと思うね。
鈍感力なんかの問題ではないね。
ドラマ「相棒」のほうでは、子どもとこの記者とは分かり合う方向を示唆して終わる。
しかし、現実のドラマのほうがきびしいね。
明日、また、「相棒」がある。 ミステリーファンとして、楽しみにしているよ。