知的漫遊紀行

Ａ氏 ：小学生と中学生の全国一斉テストが実施されたね。　昨日の新聞にそのテスト問題と回答例が出たね。
　俺も少しやってみたが、この年では結構、手ごわいね。

私 ：俺も 前回の高校テスト みたいにチャレンジしようと思ったんだが、最初の 小学生の国語Ａの問題 でぶつかって、ついに、放り出したよ。

Ａ氏 ：えっ？
　小学生ではそんなに問題になる難しい問題はなかったと思うがね。

私 ：いや、問題というより、 日本文 のことが気になったんだ。
　この国語問題の３番に次の文が出ていて、「 これ 」は前の文の何を指すかという問題 なんだ。

　もちろん、「 これ 」は「本」をうけているので、正解は「 本 」だ。
　俺が気になったのは、 この文が何か英語的な日本文 のような気がしたんだ。

Ａ氏 ：君が ブログ でとりあげていた問題かね。
　何がひっかかったのかね。

私 ：最初の「 今日、わたしは 」の「 は 」は「 吾輩 は 猫である 」の「 は 」と同じで、「わたし」が文を越えて「前からほしかったものです」にまでかかる スーパー助詞 だね。

Ａ氏 ：「ほしかった」のは「わたし」だからね。
　主語はないけれど分かるね。

私 ：「それ」というのは代名詞だね。
日本語には本来、 代名詞、人称代名詞、関係代名詞がない。
だから、 気になったんだね。

Ａ氏 ：では、「これ」を使わないとどうなるね。

私 ：「 これは前からほしかったものです 」ではなく「 前からほしかった本です 」となるね。
　この方が分かりやすいと思うんだがね。
　日本語らしいしね。

Ａ氏 ：なるほど。
　この文章は英語の影響を受けていると君は考えているわけか。
　そういえば、 英文和訳の「itは何を指すか」と問題形式が似ているね。

私 ：「これ」が 関係代名詞 を意識しているなら、その意識をカットすると「 今日、父はわたしが前からほしかった本を買ってきてくれました 」になるね。

Ａ氏 ：でも、父が買ってきた本が、 たまたま 、「わたし」がほしかった本という意味が「わたしは」の「は」にあるのかもしれないね。

私 ：それなら、問題文を「 これはたまたま、前からほしかったものだった 」とすべきだよ。
　これも「これは」を削除すると、「 たまたま、前からほしかった本です 」でいいよ。

　だから、この問題は国語問題としては 「『これ』を使わない文にしなさい」 とすべきではないの？
本当の日本語 を教えるのであればね。
　出題者はそこまで考えてほしいね。

Ａ氏 ：-----。