知的漫遊紀行

Ａ氏 ：マイケル・ムーアは有名な ドキュメンタリー映画の監督 で、最近、「 シッコ 」という アメリカ健康保険制度 を批判した映画を作ったね。
　これも アメリカ政府の海外放映の妨害 という噂があったが、日本では公開されているようだね。

私 ： ２０００年の大統領選挙 で フロリダ州の知事はブッシュの弟 だし、この投票の問題を裁いた 裁判官も父ブッシュの息 がかかっているという。
投票名簿の作成ソフトを作った業者 もブッシュと関係があるという。
　それだけでなく、 ブッシュ本人に対する批判 もすごいね。
失読症 で初歩の語学教材が必要だといったり、 飲酒運転 で捕まったことがあり、それを隠していたり、その他に 逮捕歴が３回 あると言ったり、 イェール大学もカネ で入ったと言う。
　その後、 テキサス空軍州兵 として務めるが、 一年半も逃亡 したと言う。

Ａ氏 ：まさに厳しい個人批判だね。

私 ：面白かったのは、 アメリカの子どもたちの教育レベルが低く 何も知らないという問題だ。
　この問題で、右翼雑誌の編集者でもある フレッド・バーンズ が、あるテレビで 教育の質がこれだけ落ちたのは、教師とその組合のせいだ と言っていたという。

Ａ氏 ：日本の教育再生会議のメンバーのワタミの渡辺社長が似たことを言っていたね。

私 ：そのバーンズはそのＴＶで、「 今の子供たちは、『イリアス』や『オデッサ』すら知らんのです！」 と吼えたという。
　同席していた他のパネリスト はその高尚な嘆きに感じ入っているといた という。
 そこでムーアは、バーンズのオフィスを訪ね、「 教えてくれ。『イリアス』と『オデッサ』てのは何なんだ ？ 」と聞く。
　彼は何やらごにょごにょ言い始め、結局「 何も知らねえょ 」となったという。

Ａ氏 ： 評論家の方の学力や教養が問題 とは皮肉だね。
教育時事放談会議 といわれている 日本の教育再生会議 と似ているね。
　今度の 安倍首相退陣 で存在がおかしくなったようだがね。

私 ： パパ・ブッシュ の時の 教育次官 は「 もしも、アメリカの教育をダメにした十人の戦犯の名をあげるとしたら、そのリストの上位に教職員組合がある 」と言っていたというね。
　しかし、 ムーア は安月給で教員はよくやっていると言っているね。
　それと、 アメリカの学校と民間企業のタイアップ が多い。
　ある学校では ナイキは自社広告をあしらったブックカバー を生徒に配布している。
ピザハット は子供たちが 一定量の読書 をすると 特別のパンピザ を与える。
　などなどなど。

Ａ氏 ：アメリカらしいね。

私 ：面白かったのは、 狂牛病 の問題だね。
ムーアは絶対に牛肉は食わない と言っているね。
アメリカ国民でも不安 なんだね。

　しかし、ブッシュの共和党だけでなく 民主党も批判 しているね。
　ブッシュの前は 民主党のクリントン だが、 彼はリベラルの振りをして保守政策をとったとしてブッシュとあまり変わらない としているね。
ブッシュ は 堂々と保守政策 をやるからまだ、タチがいいとしているね。
　彼は、 共和党と違う民主党を期待していて、そういう二大政党が望ましい としているようだね。

Ａ氏 ：日本で 二大政党制 ということを言っているが、同じような政策だとあまり効果は期待できないのではないのかね。
　アメリカのように、 ごっそり主要官僚が交代 すると日本では効果があるのかもね。

私 ： ２００１年６月 、 アルツハイマー病となったレーガン元大統領夫人ナンシー が、 レーンガンの治療 のため、 ブッシュ に中絶した胎児から ヒトＥＳ細胞の研究支援 を要求した。
　それまでは、 ブッシュは受精したときから人間であるとして中絶に反対し、ヒトＥＳ細胞の研究支援していなかった 。
このナンシー夫人の手紙でコロッと態度が変わり、人間の胎児は人間だという発言はしなくなったという。
だから、 アメリカの偉い人間がもっと病気になれば、もっと、そういう研究は進むだろうとムーアは皮肉 を言っているね。