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私
: 宅間守
は、 加藤
、 造田
、 上部
など、昨日までふれてきた犯人と、かなり違う生い立ちだね。
1963年
、兵庫県伊丹市の生まれ。
町工場の旋盤工の父と同じ工場に勤めている母
。
7歳年上の兄との4人暮らし。
生活の苦しさからか 母は望まなかった子
であったという。
後に母から「 生まれてこなければよかった
」という存在を否定される言葉まで聞いている。
両親共働きなので、 幼稚園入園まで父方祖母宅で育てられる
。
父親は厳しく、ときには 鉄拳制裁
もあり、母親は喜怒哀楽が激しかった。
A氏 :とても楽しい家庭ではないね。
私
:宅間は学校では 強い子
にはいじめられ、 弱い子
はいじめていた。
中学校進学のときに、 大阪教育大付属池田中学受験
を目指すが、母親に反対されて諦める。
彼が 中学受験
を考えたのは「 将来エリートになりたかった
」からであった。
このエリートへの羨望と嫉妬が事件の背景
にあるね。
A氏 :長い間続く、 欲求不満 だね。
私
:工業高校中退後、彼の 荒れた人生
が展開される。
転職も多い。
彼は 4度も結婚
しているが、最後の4度目以外は、 女性は年上
だね。
2回目の結婚相手
は、 19歳年上
で 宅間の小学校時代の担任教師だった女性
だという。
A氏 : 母性愛 に飢えていたんだろうね。
私
: 宅間
にも「 他責的傾向
」があり、「 自分がエリートになれないのは、遺伝子のせいであり、すべては素質・運・環境のせいである
」としていたという。
「元妻や父親に対する恨みや学歴コンプレックスから、 社会や世間に仕返しをしようと考えた
」という。
宅間の無差別殺人が 特殊
なのは、 エリート校の生徒という特定集団
を狙ったことだ。
それから、宅間が読んでいた本の中に ヒットラー
の「 我が闘争
」があったという。
ここで話をアメリカに移すが、 1999年のコロンバイン高校銃乱射事件
では高校3年生の エリック
と ディラン
が 銃乱射
で 生徒12人と教師1人を殺害
する。
そして2人は 自殺
。
主犯の エリック
は 1981年
生まれで、父は 空軍輸送機のパイロット
。
子分のディランは同じ年で、父は 地球物理学者
だが、 引退後は不動産で成功。
2人とも学校の成績はよかった。
2人とも ヒットラーを崇拝
していた。
A氏 :その彼らに何の欲求不満があったのだろうか。
私
:学校での「 いじめ
」だね。
この高校の運動部は、州の各種大会でチャンピオンをとっており、 選手たちは学校の英雄
だった。
運動部員が2人をいじめても学校は問題にしなかった。
運動部員による2人のイジメはエスカレートした。
それへの 復讐
だね。
そして「 他責的傾向
」も遺書からうかがえるという。
この事件は マイケル・ムーア監督 の「 ボーリング・フォー・コロンバイン 」という映画で扱っているが、アメリカの銃社会を問題にしているね。
ところが、 エリックの死体解剖
で 大量の抗うつ薬ルボックスが検出
された。
ルボックスの副作用である攻撃性
が事件を発生させた1因ではないかという。
背景には アメリカ社会での抗うつ薬使用の拡大
があるね。
A氏
:「能力主義」「成果主義」「自己責任」「自発性」が強調される 欧米型社会
での特徴だね。
スポーツ選手の 筋肉強化剤使用
と似ているね。
私
:銃弾のキズから回復した被害者がルボックスの製造元を告訴し、裁判ではそれが認められ、 2002年にルボックスの販売は中止
された。
日本では販売中止にはなっていないという。
しかし、「能力主義」「成果主義」「自己責任」「自発性」が強調される欧米型社会になりつつある日本も、 うつ病が増加傾向
だね。
「 処方箋に頼った幸福
」も増加するのだろうか。
明日は、 ヴァージニア工科大銃乱射事件 に移ろう。
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