≪2016年2月10日の記事≫
2009年4月上旬、東京都町田市の歌人、OFさん(64)は子宮がんの疑いが強いと指摘された。支えてくれたのは、大学教員の夫(70)と、短歌だった。
夫は、子宮がんの化学療法や副作用に関する資料をネット上で集め、不安を取り除こうとしてくれた。そして、こう繰り返した。
「僕は当事者じゃないから気楽に言えるのかもしれないけど、人にはきっと運命があるんだよ。2人で受け入れるしかない」
OFさんは、夫もショックを受けていることがわかった。食欲もなく、夜もあまり眠れないようだった。しかし、「2人で落ち込んでいるわけにはいかない」と気を取り直した。これから、がんとの闘いが始まるかもしれないのだ。
OFさんの短歌づくりは、暮らしの中でのひらめきを、心にとめておくことから始まる。そして気持ちが高まったときに、鉛筆を持ってノートに向かう。一気に5、6首できることが多く、「歌が向こうからやってくる」という。
この時期、どうしても「死」が心を離れなかった。暗く深い穴に吸い込まれていくようで、たびたび無力感に襲われ、苦しかった。ただ「死」そのものも歌にしてしまえると、平常心が取り戻せるような気がした。
《死はしづかだらう しかし 正面にはだかる恐怖に貌(かほ)はない》
がんを告知されたのは、初診から8日目の4月中旬。「子宮体がん」だった。医師に「初期のステージ1か2の段階と思われます。がんの顔つきからして予後のよいがんでしょう」と説明された。
医師の言葉にほっとしたが、やはり手術は怖かった。排尿障害や腸閉塞(へいそく)など手術の後遺症の恐れも胸をよぎった。数字で示される「再発率」は、「私にとっては、再発するか、しないか、だけではないか」と感じた。
《ひとりには零と百しかないけれど再発率を全身で聴く》
「悩んでもなるようにしかならない」「がんに弱気を見せられない」と気持ちが揺れた。
《流れにまかす日があり必死に漕(こ)ぐ日もありて生(せい)は一艘(さう)》
ノートに、がんにまつわる歌が並んだ。そのことに充実感を覚える自分もいて、不思議だった。
がんの短歌が並ぶOFさんのノート
私は2014年8月から抗がん剤治療を始め、2クールを終えた10月に治療開始後初のCT検査を受けました。効く見込みは2割から3割と言われていたのですが、11センチあった腫瘍が7センチと大幅に小さくなっていることが分かりました。生きる望みが出てきました。
京都検定1級の受検日は12月14日でした。順調にいけば第5クールと第6クールの間の自宅療養期間です。この受検勉強に励むことが、治療を前向きに進める一つの要因になったのは間違いありません。
しかし、それは腫瘍が小さくなって希望が持てるようになったから。腫瘍が大きくなっていたら、果たしてどういう気持ちになっていたか、自信がありません。そんなに強くはない人間ですから。
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