勝手に最遊記Ⅱ

勝手に最遊記Ⅱ

Pain―3





――――――――――――「やぁ。結構、遅かったんじゃない?」




軽口を含ませた、男の声。



「女の足ならしょうがないか。退屈しちゃってさ。」―――――――コツコツと。足音も軽やかに



「マサカ、迎えをやるわけにも行かないかしね。」―――――――小脇に抱えたウサギが揺れる



「ああ、妖怪とかには出会(でくわ)さなかっただろ?邪魔者は排除しといたからね。」――――――いかにも楽しそうな・・・・・



「・・・・・・ハ  カセ・・・・・?」 後ろを振り向かず、掠れるような声で、桃花が呟いた。




「初めまして、お嬢さん。ニィ健一・・・・・・博士、だよ。」

小馬鹿にしたような風体で、紳士がするような会釈をして見せた。



「――――――・・・・っん、たがぁっ!!」 立ち上がり、振り向きざま――――桃花が、隠し持っていたナイフで斬りかかった。

パシッ】・・・・容易く眼前で手首を捕らえ、「ナイフ持ってる何て、聞いてなかったなぁ。危ない危ない。」
のんびりした口調で、ギリギリと桃花の手首を締め上げる。

「いっ・・・つぅっ・・・!」痛みに耐えきれず、桃花の手からナイフが滑り落ち、無機質な音を響かせた。

そのまま腕をねじ上げて、グルリと桃花の体を回転させた。暴れようとする桃花の体を押さえ込み、
振り回した左手も右手と共にねじ上げた。


「・・・・・手荒な事、させたい?そう言うのが趣味なんだ?」

背後から耳に囁いて


「さっすが、玩具として仕込まれただけはあるねぇ~。」


「なに・・言って・・・・・・・?!」



くくく・・・・・嫌な含み笑いが耳に注ぎ込まれて、肌が粟立った。



「だって、キミ。」








                                  「百眼魔王の、・・・だったよね。」



―――――――――――――――――――――――桃花の体から、力が抜け落ちた。













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