★人生はホラー映画★ただいま労災で休職中★投稿すると抹殺人生★人生は運が全て★

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2013年01月14日
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貧乏人しか出てこないワタクシの小説。
下層の私か書くから、下層しか出てきません。
理香ちゃんは、小金持ちの高校生でしたけど。
お金持ちの東京の人には、つまらないかもね。
土壌が関西なので、関西ベースです。泥臭い話が多いと思います。
リッチでスタイリッシュとは程遠い登場人物ばかりです。
この主人公の話は、これで2話目です。まだ2話しか書いていません。
何を書いて投稿したらいいのかわからなかったので、
書きたいものから書いていたら、色々できちゃってね。
トリックものとか書けないし。
投稿するとクライマックスが設定になった話がすぐに発表されちゃうので、
クライマックスには凝らない方がいいです。
適当にね。

業界人の子弟、親類縁者も多いので、
その辺の人は夢と希望は持ちすぎないようにね。

「過剰」2

 熊川真也は今日も、ガタガタという中古の原付バイクでアパートを出てきた。小さな駐車場に止めると、いつものゆったりとした歩調で大帝国警備保障会社へと出社した。
 下町にある会社なので、貧相な築三十年以上のビルで、小さな小さな駐車スペースがある。そこはすぐに、出社してくる社員の車で埋まってしまうので、近所の月極め駐車場も借りている。
 最近、毎朝やっていることがある。それは、ストーカーのように付きまとう女が背後にいないかどうか調べることだ。何度も念入りに、振り返って気配を窺う。これが毎日の儀式になっていた。
 気配がないようだと、ほっと胸をなで下ろした。次の難関は、金属探知機付きの会社の玄関を入ることだ。これも、社長の迷惑なアイディアだ。警備会社が泥棒や暴漢にでも侵入されたら、それこそ名折れだと社長が言った。それは正しいと熊川は思ったが、それよりも最近は、完全に名前負けしている会社の前途が心配になっていた。名は体を表すという諺は、この会社には当てはまらなかったらしい。
 細々と下請けで生き延びている弱小警備会社だ。ワンマン社長が会社を潰す可能性もないことはない。失業するまえに転職先を探してい方がいいらしい。
 この前上司の田村が警告を受けたときには、高血圧症の田村の血圧がさらに上がって、昏倒してしまった。背後で熊川が受けていなければ、頭を打っていたはずだ。高村はそれからこの装置に恨みを持っているが、社長には逆らえないので我慢しているらしい。
 社長が空港並みに感度をよくしたので、カギや小さな金属でも鳴ってしまう。だから、それだけは、特別に作られたポストに先に放りこんでおく。
 Pipipipipipipi!
 慎重に入館してきたのに、なんだと思った。飛び出しそうな心臓を両手で、必死に押さえた。
「あ、これ何?」「成田杏子?」
 振り返ったらあの女がいた。変り者の女。小汚かったが、熊川の前で変身していった女。
 今は熊川のストーカーだ。
「俺についてくるな。ここは俺の職場だぞ」
「お弁当届けにきたの。これ食べて、クマカワさん。女の子は大好きな人に、手作りのお弁当をあげるんだって。恋愛マニュアルに書いてあったの」
「マニュアル、マニュアルって、今時のヤツは教科書がないと何もできないのか。自殺までマニュアルがあるくらいだもんな」
 熊川は思わずオヤジくさいことを口走った。しまったと思い、口を押さえた。
「はい、おべんと。食べて、クマカワさん」
 成田杏子は、大きな包みを熊川に向かって差し出した。それでも高感度な警報機に捕まっているので、一歩も踏み出せないでいた。たしかに社長の装置は、確実に侵入者を防いでいる。
 それに警報が止まらないと、ドアも開けられないシステムになっていた。
「・・・・・・君の作ったものは何もいらない。君は俺の恋愛対象にはなっていないし、これからもならない」
「冷たいのね。ま、そういうクールな所がいいんだけど」
「サヨナラ」
 熊川はクールに言うと、さっさと中へ入ってしまった。成田杏子は、入り口で警報機にまだ捕まっている。
 一歩踏み出すたびに、ピーピーと警備装置に怒鳴られていた。
「人でなし」
 背後で女が、呪いの言葉を吐いている。熊川は、首一つ振らなかった。なんと言われてもあの女には関わらないほうがいい。もう懲り懲りだ。いくら金を積まれても、女の警護は断ろう。
 やはり男が警護するのは、もっとすごいVIPだ。特別な対象がいい。
 総会屋に狙われている取締役やヤクザに脅迫されている経営者など、弱者には違いないが、警護のしがいがある。どこか血なまぐささを嫌いながら、どこかで修羅場を求めている。これは男の性なのだろうか。それとも、それが自分の本性なのだろうかと熊川は思いを巡らしていた。
 たしかにケンカっ早い所はある。しかし血を見るのはもう嫌だ。
 あの女が絶命してたあの場所も、一面赤い色彩で飾り立てられていた。
 血の洗礼だ。裏切り者に対する報復だった。
「おい、熊川」はっとして、我に返った。
「おはようございます」
 背後から、上司の田村が入ってきた。
「あれ、もしかして成田杏子か? お前も可哀想にな。仕事とはいえ、ストーカー対策に警護してやって、その女にストーカーになられるとはな。お前の仕事は報われず、この世にストーカーを一人増やしただけだったな」
「よしてください」
「ほら、弁当。受け取ってきてやったぞ」
「田村さん!」
「男用の大きな弁当箱を胸に抱きしめてさ。わざわざ買ったんだろうな。けなげじゃないか。どうせ、お前は女にもてないんだから、彼女でもいいだろう。意外にうまくいくかもな」
「やめてください」
 熊川は田村の相手をするのをやめて、席についた。田村は弁当を振って、面白そうにしている。若輩者をからかうのは、オヤジたちの唯一の楽しみだ。
「熊川、ちょっと来い」
「は、はい。朝礼が始まりますが」
 熊川はさっそく保安部長に呼ばれてしまった。毎朝の朝礼も始まっていないというのに、応接室に呼び出された。応接室。接客中だ。あの中には依頼人がいるかもしれない。もしかしたら、例の依頼人かもしれないのだ。血の気が引いていった。すでに踝辺りまで干上がっている。





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最終更新日  2013年05月04日 10時51分31秒
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