ひたすら本を読む少年の小説コミュニティ

2006.02.12
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カテゴリ: 春夏秋冬



朝起きる。

マーガリンとジャムをたっぷりのせた香ばしい匂いのするトーストを食べる。

顔を洗い、歯を磨き、髪を梳かす。

渋谷で買ったハルの体には見合わないくらい大きなTシャツを着て、それとは裏腹にちょっと高めのジーパンを穿き、海に出かける。

日本人と外国人が同じくらいの割合でビーチで寝転んでいる。

あちこちでパラソルが開いている。

ビールやらコーラやらジュースやらがはじける。

サーフボードを持った若い男達が波を掴もうと泳ぎ続けている。

親子連れが多い。

カップルも多い。

何をするにしても、一人でいる奴はほとんどいない。

そんな光景をハルは毎日見る。

海で泳ぐ時もあれば、一日中こうして椰子の木の日陰で海を眺めている時もある。

海が凪ぐ時の風が気持ちよかった。

求めれば彼らは応えてくれた。

太陽は相変わらず強い光線を出し続ける。

昼は近くのレストランで軽く済ませた。

なにしろ体力を使っていないのだから腹は空かない。

体にとってはいい迷惑なんだろう。

とハルは思った。

夕方になると海の見えるカフェに入った。

海を眺めたり、本を読んだり、店内の移り変わる「変化」を見たり。

何が楽しいのだろう。

しかしそれは彼らが考えればいい。

どうだっていいことだ。

日が沈むにつれ沿岸に灯が灯っていく。

何かを待ち続けているのか、あるいは何かを守っているのかは知らないが、それは美しかった。

完全なる夜が訪れると、バーに入ってカクテルを飲んだ。

無性に体が乾き飢える。

飲むたびにカクテルの種類を変え、意識がなくなるまで飲み続けた。

しかしどんなに意識がなくなろうと次の日になれば、マーガリンとジャムをたっぷりのせた香ばしい匂いのするトーストを食べていた。

一週間ほどそれは続いた。





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Last updated  2006.02.12 10:38:23
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