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トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2009年05月19日
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アトランティスの終末。

ひとりになったトールは世界樹の根方に座り、そこに意識をあわせた。世界樹だけのときはエネルギーの奔流にしか見えないが、守人ならば見ようと思えばその世界をそのまま具体的に見ることができる。

大きな、大きな津波が世界を襲っていた。

沈みゆく大陸。泣き叫ぶ人々の声。
トールはカイルを探した。彼のエネルギーなら知っている。・・・・・・いた。


「アエル! アエル!」

悲痛な絶叫が、カイルと重なったトールの脳裏を焼いた。
テレポーテーションで上空に上がっているカイルの頬を、涙が流れている。
必死に手を伸ばし、下に向かおうとするのを周囲の人々が押しとどめていた。

「アエル!」

周囲から羽交い絞めにされたカイルの涙が、伸ばした腕のむこう、ぽろぽろと宙をこぼれてゆく。
しずくはまるい形になって下へ下へと落ちてゆき、まさに津波に襲われ、流された大量の土砂に埋もれようとしているアエルと民衆の元へ落ちた。

(カイル・・・・・)

悲しげな心と息苦しさがかすかに届く。

カイルの胸にいまさらの疑問がわきあがった。
なぜ自分はここにいる。彼女と離れてここに。
彼女はなぜあがってこない?
つないでいた手は、なぜ離れてしまったのだ。

ツインのエネルギーは共振し、彼女の痛みも哀しみも我がことのようにここにある。
彼女もまた、カイルの苦しみも悔しさも同じく抱いているだろう。

なのになぜ、俺達はこんなにも違う場所に離れているのか?

怒涛のようにたくさんの疑問が頭をもたげるが、誰もそれに答えてはくれなかった。
普段彼を導いてくれたマスター達でさえ。
彼らがカイルに答えてくれないのか、それともその声が聞こえないほど自分が取り乱しているのか、カイルにはもうわからなかった。


轟音がとどろく。神殿が崩れてゆく。
あの神殿は昔自分が作ったのだ。だから何とかしたかったのに。
そのための反政府運動だったのに。

教え導いてきたたくさんの弟子たち。
彼らはどこにいる。
助かったのは。助からなかったのは。

彼女は多くの人たちともに殉教し、肉体的な死を選んだ。

……死?

耳をつんざく轟音。襲いかかる津波と土石流。

飲み込まれてゆく。愛するアエルが。俺の魂の片翼が。
大いなる光から生まれ、ひとつの魂をふたつに分けた俺の半身。
二人でひとつの陰陽の完成形。

・・・・・・なのになぜ俺はここに生きている?

陰陽の片方、魂と身体の半分を失って、なぜ俺はここに生きている?



・・・・・・生きて、いるの、か?



カイルは絶叫し、その意識は暗転した。




(・・・・・・記憶の処理はどうなってる?)
(消してあります。あのままでは自我崩壊してしまいますから)
(そうだな・・・・・・これほどのサイキックが崩壊したら手に負えない)
(書き換え処理を?)
(そうしよう。自分が死に、ツインは助かって救出された、と)
(わかりました)

男達のささやきが聞こえる。
眠っているカイルの身体に重なって、トールは意識を目覚めさせた。
わずかに湾曲したメタリックな壁、そう広くはない室内。どこかの母船に救出されたのだろうか。
カイルから抜け出て観察すると、白衣を着た男達が何人も大きな船の中を動き回り、負傷者やカイルのようなサイキックに治療を行っていた。

一般の負傷者は別の部屋でてきぱきと治療され、すぐにどこかへテレポートさせられていた。
してみると、この船は特殊能力者の収容を目的としているのかもしれない。

カイルのいる部屋は個室になっており、廊下に出ると似たような部屋がたくさん並んでいるようだ。
壁には特殊な処理がほどこされ、テレパシーのノイズなどが部屋に入らないようになっている。
今トールの使う世界樹のエネルギーというのは特殊な中立性を持っており、ほとんど誰にも感知されることなく、どんな結界にも影響を受けることはないが、さもなければ中を覗くことはできないと思われた。

廊下から戻ってみると、カイルは一人で寝かされていた。重厚なヒーリングエネルギーが部屋を満たしているのがわかる。ぐっと睡眠意識下にひきこむような、深い眠りを維持するような、そういう性質のものだ。
おそらく、自我崩壊の可能性のあるサイキック達は、みなこうして記憶操作をされたのちに眠らされているのだろう。

もちろん、永久に記憶を変えたままいられるわけがない。
しかし彼らは目覚めてパニックを起こしたが最後、あたりを破壊するような爆発的なエネルギーを放出してしまう。
またその時には、サイキック自身の自我も非常に脆くなっているため、彼らを狙うものがいれば絶好の好機として簡単に捕まえられ、壊されてしまうのだ。

それが一人や二人ではない以上、彼らを護るためにも、はじめの処置としては仕方がない部分があるのだろう。
封じられた、あるいは変換された記憶がいつ戻るかは、サイキック自身の流れによるのだろうと思われた。

(アエ・・・ル・・・・・・)

眠らされた意識の奥底で、カイルがかすかに呟くのが聞こえた。
夢の中でもきっと彼は彼女を探しているのだろう。混乱と喧騒の中でその名を呼び、必死に手を伸ばしているのだろう。

カイルの記憶はすでに書き換えられ、土砂に飲まれて死んだのは自分ということになっている。
アエルは助かり母船に救出された、と。

夢がその場面にきたのだろうか、カイルの表情がほっとやわらいだ。

そうだろう、と思う。
片割れを失うくらいなら、自分が死んだ方がどんなにかいい。
作られた記憶を唯唯と受け入れた彼の気持ちが、痛いほどトールにはわかった。

カイルにとっては、たった一人のアエルなのだ。

替えはきかない。
失うことは耐えられない。

トールにとってのルシオラと同じように。
















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→→ 登場人物紹介(随時更新)

ついにmixiに追いついちゃいました~^^;
ちまちま載せようかとも思いつつ、あえて自分の首をしめてみますた(爆
続き書けますように~!!


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おひとりずつにお返事できず、本当に申し訳ございません。
どれも大切に嬉しく拝見しております♪
続きを書く原動力になるので、ぜひぜひよろしくお願いいたします♪


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最終更新日  2009年05月19日 16時53分23秒
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