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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2009年05月25日
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トールは母船内に立ったまま、目を閉じて一度視覚を世界樹のものに戻した。
色とりどりの流れ動くエネルギーの中に、小さなエメラルドの輝きをみつける。
ルースの魂はすでにこの船の中にあるようだった。

そこはカイルの寝かされている病室とは違い、ラボのような雰囲気に思われた。
壁際に一抱えもあるような大きな水晶のポイントがいくつも立てられている。その一本一本に、ひとつずつの魂が保存されているようだ。
ルシオラの魂はすぐにみつけられた。
扉を入って左の、壁際から三番目だ。そのとなりの水色の輝きが、肉体をなくしたアエルの魂だろうと思われた。

かつてカイルとは長く同僚として働いたが、アエルとはあまり会ったことがない。
生まれながらのツインであれば、転生ごとに違いは出るだろうが、双子のようにまったく同じ形質を持つか、もしくは相手を補完する形になっているはずだ。元々ひとつのものを二つに分けているのだから。

クリスタルに入っている魂を見る限りでは、今生のアエルは後者のようだった。
輝きの強さよりも穏やかさが、無邪気さよりも冷静さが見て取れる。反政府運動をカイルが表に立って進めたなら、その裏方をうまく担っていたのだろう。

しかしなぜ、アエルの魂の輝きがこんなにも薄いのだろうと、トールは不思議に思った。
弱い、のではない。大きさとしてはルシオラよりも大きいのに、「薄い」。
強い生命力を持ちながら、自らの意思によって背景にまわり、薄くなろうとしているかのようだ。
永い永い間世界樹で過ごし、魂としては若いままのルースに対し、アエルの魂はすでに何度も転生を重ね、とても多くの経験を積んでいる。

水色の輝きは、角度を変えるとぐっと濃さを増し、宵闇の黒い光ともなった。ルシオラの中にもあるそれは、辛い経験による哀しみの色か。
哀しみを学ぶために分離したのか。

アトランティスの地中に飲み込まれてゆくアエルは、息苦しさと別離の悲哀はあったものの、自らの意思で殉教することを選んでいた。

ツインという繋がった状態でそれをするとどうなるか。
二つの魂は内側で繋がったまま別れを経験する。別れは別れでありながら、引き裂かれる痛みをともに感じながら、同じ闇に哀しみに共振してゆく。

ルシオラの手術のときがそうだった。
あのときトールは同時に施術される側の心を体験し、ルシオラはトールの心を体験していた。
二人は物理的にコードを切断しつつありながらも内側で共振し、お互いのすべてを自分のこととして心に映し、そして絡み合うように闇に落ちていった。
トールの痛みも苦しみも悔恨もルシオラのものであり、彼女の辛さも痛みも心の喪失もトールのものだった。
喜びも哀しみもすべてエネルギーとして同時に体験する。それを倍にするか半分にするかは、それぞれの選択だ。ツインとはそういうものだ。

喜びは倍に、哀しみは半分に。そうできれば一番いい。
けれどそのためには、少なくともどちらかが哀しみの淵で理性を持って踏み止まり、片割れを引き上げなければならない。
感じてはいけないのではなく、怒り、哀しみ、泣いて……そしてしなやかに立ち上がること。

トールはアエルの魂を見つめた。
哀しみの黒を持つ青い輝き。
これからルシオラとひとつになる光。


やがてラボの職員達がやってきた。
アエルとルシオラの水晶ポイントを大事そうに抱えてゆく。ゆらめく影のように、トールは後を追った。

厳重にセキュリティのかかった部屋で、精密な魔法陣とも装置ともとれる場所の中央に、二つのポイントが安置される。

魂の誕生も融合も、目にするのは初めてではない。

二つの輝きが融合していくのをじっと見つめながら、トールはルシオラの魂が生まれたときのことを思い出していた。
あれほどに輝ける光は、他の誰と融合したとて簡単に消えることはあるまい。

水底のように揺れるエネルギーフィールドの中で、二人の根底に流れる哀しみの黒が同調する。黒は背景にまわろうとする薄い青と溶けあい、モリオン(黒水晶)のように輝きはじめた。
エメラルドとモリオンをともに包含する魂が生まれる。

・・・・・・そう、生まれるのだ、とトールは思った。

新しい魂の誕生。

それぞれのかけらにはそれぞれの過去の記憶と特質を宿しながら、全体として新しい魂として生まれ出でる。
これがもっとたくさんのかけら、人格の残らないようなかけらを合わせた場合には、ほぼまっさらの魂と同じになる場合もある。

けれどアエルとルシオラは、おそらく上の計画でもあるのだろう、その過去世を引き継いだままの融合となった。陰陽の完成形としての知識と経験、生まれ持った、そして添加された特質。それらを併せ持つ魂が必要とされているのかもしれない。

そのかすがいが喪色の哀しみであろうとは。


トールは重く深い息をついた。

これでは彼女は転生のたびに苦しみを引き寄せる。魂に眠る癒されぬ哀しみが、そういう事態そのものを引き寄せてしまう。
それすらも上は計画に入れているというのか。

彼の脳裏を、実験体に志願したときのルシオラの顔がよぎった。誇りに満ちて自らの道をえらんだ、輝けるエメラルドの瞳。殉教を決めたアエルも同じだったのだろう。

(あなたは・・・・・・これからもそうして生きていくんだね?)

黒と緑のきらめきを前に、ひとりごとのようにトールは呟いた。

アエル=ルシオラとなったこの新しい魂は、きっと同じように自らの生を選ぶのだ。
別離を知り、味わい、味わわせ・・・・・・そしてきっと、その奥に隠れる愛に気づくために。
たとえ三次元の生でそのたびにどれほど苦しもうとも、時々の色の瞳を輝かせ、何度でも志願するに違いない。
そのために生まれてきたんだ、と。


・・・・・・なんという愛しき輝きよ。

なんという愛すべき強さよ。


ならば自分は踏み止まる者であろう。
ツインのコードはすでにないが、遠く見守り、彼女の休める止まり木であろう。
不幸よりも幸せを数え、哀しみよりも祝福をたずさえて。

見えない長い指が、そっと水晶の表面を撫でる。

(さよなら、ルース)

トールはささやいた。
彼のルースはもういない、けれど。

(はじめまして、黒と緑の子。・・・・・・この誕生に祝福を)

しばし目を閉じ、ルシオラ誕生のときと同じ祝福をトールは捧げた。


これからいくつの転生で、あなたがどんな人格でも、どんな外見でも、どんな人生を歩もうとも。

変わらずに愛しているよ・・・・・・ずっと。
























*************

この【銀の月のものがたり】シリーズは、現在カテゴリを images から  銀の月のものがたり  へと移行中です。
移行期間中はご迷惑をおかけいたしますが、どうぞ両方をごらん下さいませm(_ _)m

→→ 登場人物紹介(随時更新)


「退院した緑ちゃんは、トールさんにはどう見えてるんですか?」と聞かれますが
前の緑ちゃんとあんまり変わりません(笑)
羽を出すようになって、髪の色がちょっと薄くなったくらいかな。
基本、こんな感じです→ http://plaza.rakuten.co.jp/californiajade/diary/200806050000/

呼び方とか詳しくは、mixiに書いたのを じぇいど♪さんが転載 してくださったのでここでは繰り返しませんがw
前の通りでーす♪


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最終更新日  2009年05月25日 12時41分21秒
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