全12件 (12件中 1-12件目)
1
「題名のない音楽会」の公開録画に行きました。2回分まとめての収録です。1回目は中村紘子さんの公開レッスンです。コンサートピアニストを目指している将来有望な中学生、高校生、音大生が演奏し、中村紘子さんがアドバイスします。まだ放送していないので、詳しくは書きませんが、指の角度で音色が違うので、使い分けることや、コンチェルトでオーケストラとあわせるときのコツなど、ピアニスト志望でなくても興味深いお話が聞けました。 未熟でも、「皆さん聞いて頂戴、こんなすてきな曲なのよ、泣けるでしょう?」という気持ちで弾くと、聴衆にもオーケストラにも伝わるけれど、それがないと、どんなに完璧でも「お上手でしたね」で終わってしまう、という言葉が印象に残りました。音楽の演奏だけでなく、スピーチやいろいろなことに共通なように思えます。 2回目分はベートーベンのピアノ協奏曲「皇帝」のすばらしさについて、中村紘子さんと指揮者の大友さんが論じ、実際に演奏しました。1楽章だけなのが残念。 中村紘子さんが、ここはカットしてね、とおっしゃる場面もあったりして、どんなふうに編集するのかも興味があります。10月7日と14日午前9時から放送予定です。BSは13日、20日の土曜日18時30分からです。
September 21, 2007
コメント(4)
リサイタルには昨日行ったのですが、CDも買ってきて今日も聞いたので「今日聞いた音楽」のテーマを選びました。 ゆうべ紀尾井ホールにて「舘野泉ピアノリサイタル2007 吉松隆の風景」を聴きました。共演は平原あゆみさんです。 最初の曲アイノラ抒情曲集が始まると、済んだ空気、澄んだ水、森を感じました。開演前にプログラムを読んでおけばよかったと思ったのですが、後で見たら、アイノラとは、シベリウスの愛妻アイノの名にちなんでつけられたシベリウスの山荘の名だそうです。ご存知のように舘野さんは2002年脳溢血で倒れ右半身不随になり、2004年左手による演奏会で復帰を果たされ、以来さまざまな作曲家が舘野さんのために左手によるピアノのための曲を書いています。今回のプログラムはこの後札幌、福岡、鹿児島他でも演奏されます。八ヶ岳高原音楽堂でも11月にありますが、そんな環境で聴いてみたいものです。(詳しくは公式ホームページのコンサート情報へ)2.「四つの小さな夢の歌」(平原あゆみさんとの三手連弾による)3.平原あゆみさん演奏の「プレイアデス舞曲集4 op.50」休憩後4.タピオラ幻想 op.92 タピオラとは、北欧神話の森の神タピオラが住むところ、吉松隆さんにとって魂の原風景というべきイメージのひとつなのだそうです。5.ゴーシュ舞曲集 ゴーシュとはフランス語で左の意味です。ロック、ブルース、タンゴ、ブギウギからなる曲集です。 舘野さんが左手に集中して奏でる吉松さんが舘野さんに捧げた曲には透明感と広がりがあり、人間性、自然、宇宙が現れていました。とても心地よく心洗われ、生命力が与えられるようなリサイタルでした。 アンコールは吉松さん編曲のカッチーニ「アベマリア」(スラーヴァが歌っていました)と、平原さんとの連弾で吉松さん作曲「子守唄」でした。 節約しなくてはと思っていたのに、CDを2枚買ってしまいました。「アイノラ抒情曲集」がはいっているのと、前に共謀罪反対コンサートで聞いていいと思った林光作曲「花の図鑑」がはいっているもの。ロビーの販売コーナーもCDを買いたい人たちで押すな押すなの盛況でした。 才能はあるけれど左手しか使えない若い人からの相談も受けるそうで、左手のための曲を充実させ、演奏の機会を作るために「左手の文庫」をたちあげたとのこど、賛同者(募金)を募集しています。舘野泉公式サイト
September 15, 2007
コメント(4)
ribonさんが米良美一さんとカウンターテナーについて書いていらしたので、書きたくなりました。 私もはまっていました。他の人のCDを探しに行ったお店にバロックのアリアが流れていました。外国の人かと思っていたら、なんと日本人でした。さっそく買って帰り、それから次々、ヨーロッパの名曲を集めた「ロマンス」、少しレトロな歌謡曲などの「かれん」日本の歌を集めた「母の歌」「うぐいす」等買って聞きました。しばらく聞かなくなっていましたが(落ち着いてCDを聞く気分ではなくてあまりCD自体聞かなかった)、その間声が出なくなったりなどということがあったのですね。 カウンターテナーというと、昔アルヒーフというドイツのレーベルのバッハかなにかにカウンターテナーの歌手が加わっていて、もろに裏声という感じのその声にはあまり惹かれなかったのですが、アルフレッド・デラーを聞いてちょっと興味が湧き、聖金曜日にラジオで放送していた「スターバト・マーテル/悲しみの聖母」のルネ・ヤーコプスの天空に溶けていくようなトリルの虜になり、ヤーコプス指揮のバロックのオペラを見に行って女性歌手だと思ったのがかぶりものを脱いだら男性でドミニク・ヴィスだった、と、だんだんと興味が広がっていったのでした。オペレッタ「こうもり」のコヴァルスキーも、他の人(メゾソプラノ)が演じたときは、脇役の変な人だと思っていた役が実はそうではなく、大金持ちで退屈している退廃的な貴族という少女漫画に出てきそうなキャラクターで決して小さな役ではないと気付かせてくれました。フォルクスオーパーの演出はミーハー好みでしたし(何年前になるのかしら?)。 秋になったら何かコンサートに行きたくなりました。YouTubeで見られる米良さんOmbla mai fuヨイトマケの唄コヴァルスキーヘンデル「ジュスティーノ」グルック「オルフェとユーリディーチェ」現代の衣装と小物という演出です。
August 25, 2007
コメント(6)
川崎にチャリティーコンサートを聞きに行きました。永山子ども基金主催、神奈川ユニオン、NATSOP基金、アムネスティ、東京シューレ共催です。 永山子ども基金というのは、印税を貧しい子どものために、特にペルーの働く子どもたちのために使って欲しいという永山死刑囚の遺言により設立されました。ペルーの働く子どもたちは言っているそうです。「永山は、罪を犯した人も学んで、反省し、人は変われることを証明した。だから、私達は永山を尊敬する。だけど、私達は永山のような殺人者にはならない」。神奈川ユニオンはひとりでも入れる労働組合だそうで、外国人も多く、なかでもペルー人が多いそうです。NATSOP(ペルーの働く子ども・若者の全国運動)には1万3千人が加盟し、大統領選では、候補者全員に、政治に子供達の意見を取り入れることや、教育に予算をとることなど、いくつかの項目を書いた誓約書にサインさせたそうです。南米は少数の富裕層と貧困層との格差がすごくて、学校に行きたくても働かなくてはならない子どもたちがたくさんいるのです。現地で活動しているカメラマン義井豊さんの報告によると、NATSOPの子どもたちは政治の話など議論していたかと思うと、終わればまたゲームをして遊んだりして、日本の子どもたちとはずいぶん違うそうです。東京シューレについてはこちら コンサートの前半は津軽三味線の梁川トシヒロさん、サックスの藤田淳之介さん、ピアノの堀内なつみさんのジョイントコンサートでした。梁川さんはエレキ三味線(私は初めて見聞きしました)も使っていろいろな可能性を追及しています。ちょっと甘えたような歌唱が私は苦手なんですが、17歳だから許しましょう。不思議な感じなのはどちらかというと邦楽の発声のせいかしら。 さきほど触れた義井さんの報告、休憩のあとは長谷川きよしさんの弾き語りでした。私ぐらいから上の年代のかたならご存知の「別れのサンバ」「黒の船唄」、中原中也の詩による「湖上」、谷川俊太郎作詞・武満徹作曲「死んだ男の残したものは」原詩の内容に近い「愛の讃歌」など。昔からサングラスをかけていらしたし、遠目から見る分には全然変っていないみたい。そうそう、司会は「フランシーヌの場合は」がヒットした新谷のり子さんでした。新谷のり子さんは永山子ども基金の協同代表なのですね。長谷川きよしさんは世界を少しでも良くしたいと思って活動してきたけれど、ちっともよくなったように思えない。これからも、少しでもよくするために努力したいとおっしゃっていました。選挙は本当は先週済んでいたはずで、今日も本当はこんなところにいる場合じゃない人たちもいらっしゃるでしょう、とも。 長谷川きよしさんは声も良く歌唱力があって内容もよいので、ロビーで販売していたCD(1割が寄付)を買いたかったのですが、完売してしまって買えませんでした。お店で探してみます。デビュー当時はなんでもフォークに分類されてしまったけれど、本当はシャンソンから入られたのだそうです。ライブにも行ってみたくなりました。 コンサート終了後、有楽町にちょっと行ったのですが、いくつもの政党がいましたが、共産党の宣伝カーが盛り上がっているところでした。まわりで拍手しているのは党のかたたちとしても、道行く人たちもいつになく?共感しているように思えました。田村智子さんが演説しているところでした。私は川田さんや杉浦ひとみさんを人間的に尊敬していますが、田村さんもよくは存じ上げないのですが見た感じ品格があってなんだか好きです。 近くにたけみなんとかさんの宣伝カーがありました。「メタボ対策」などという能天気なのぼりをたてていて、無性に腹が立ちました。アメリカの要求により医療を改悪されつつあって、貧しい人が医療にアクセスできなくなるのを心ある医師たちは憂慮しているというのに、どういうつもりで自民党から立候補するのですか?と詰め寄りたくなりましたが、ビラを配っているおじさんに言ってもしかたないので通り過ぎましたけれど。 腹が立つといえば公明党のポスター「困りごと相談」とかいうの。自民党と一緒になって格差をつくり、困りごとの原因を作っておきながら、マッチポンプじゃないですか!ついでに宗教に勧誘するのではないかと疑ってしまいます。 せっかっくさわやかなコンサートの話題だったはずが今日も怒ってしまったのでした。 ついでに、丸川さん、本当に住民税払っていたのでしょうか?都や区は住民として登録していない人からでもくれるものは貰うってことですか?住民税は1月1日に居住している人にかかることになっているのを利用して、竹中平蔵氏が数年間にわたり、年末にアメリカに住民票を移して住民税逃れをしていたのを連想するのですが…
July 29, 2007
コメント(1)
もうだいぶ前に、若桑みどりさんがジョルダーノのオペラ「アンドレア・シェニエ」のアリア「ある日青空を眺めて」の、青く澄んだ空を眺め、太陽が金色の光を降り注いでいる、という歌詞を聞いたとき、心が解放された、というようなことをおっしゃっていたのを思い出し、聞きたくなりました。歌詞を見直してみると、貧しい男が身を粉にして働いても国のふところにとられてしまって神をののしっている、などというところがあって、こんなことを言っていたのか、とあらためて思いました。フランス革命期の話なのでした。 アンドレ・シェニエ(イタリア語のオペラなのでアンドレアになっています)は、実在の詩人で、断頭台の露と消えた人だそうです。オペラのストーリーはどこまでが本当がわかりませんがこちらに書いてあります。ウィキペディアYou Tubeにマリオ・デル・モナコの映像がありました。マリオ・デル・モナコ「アンドレア・シェニエ」 日本でも従米自民レジームからの脱却のために、選挙に行きましょう。安倍さんたちの望むアンシャン・レジームはごめんです。
July 13, 2007
コメント(5)
メールの最後などに、こんな画像があったと、YouTubeでの掘り出し物のURLを書くものだから、「YouTubeにはまっているんですか?」と聞かれてしまいました。はまっているというほどでもないのですが、ずっと昔少女時代に好きだったバンドを見つけたり、20年以上ファンでいるピアニストの若かりし頃の映像を発見したり、楽しんでいます。 昨日偶然出合ったのは、なんとも不思議な声の持ち主。男声ソプラノのラドゥ・マリアンという人です。ご存知でした?一時カウンターテナーはよく聞いていたのですが、たいていは声域もアルトで、こんな少女のような声の人は初めて聞きました。天使か悪魔か?この世のものならぬ感じがして、正直少し恐い。Amarilli by Radu MarianRadu Marian, Male Sopranoさて、現実に戻ると、この件はじめ、強行採決が続々。いいかげんにして!とどなりたい気持ちを参院選で発散しましょう!!!この流れを止めないと大変なことになります。
June 20, 2007
コメント(12)
前回と曲目が違うポゴレリチのリサイタルに行ってきました。15日サントリーホール7時開演。 やはりライトを落として暗い会場にて。(専門的なことは言えないので感じたままにメモ程度に)1曲目 ブラームスのカプリッチョ嬰へ短調op.76-1 何光年もかなたをただひとり旅しているような孤独。客席は身じろぎもせず、近くの席でたまに動く人がいると指一本動かしても聞こえる。2曲目 ブラームス 間奏曲イ長調op.118-2(三つの間奏曲のうちの2番目)曲想が最初の曲より幾分明るいものの、やはり孤高な始まり。核戦争で地球の生物が死に絶えて長い時間がたった後、最初の生命が生まれつつある光景が頭に浮かぶ。力がないと出せない華やかな音色の部分では、いろいろな色や形が炸裂するよう。他の人の演奏が具象画なら、ポゴレリチのは抽象画。3曲目 ショパン ソナタ2番「葬送」雪の朝 葬送の鐘の音が低く響く。エアコンのせいだけでなく、寒くなった。終曲はCDやLDと違う。休憩後ラフマニノフ 楽興の時 op.16一曲目の「アンダンティーノ」はメロディーがなくなるくらい遅いテンポで一音一音じっくりと弾くので瞑想のための音楽のよう。 全体にゆっくりな時は、これ以上ありえないほどゆっくり弾き、華やかな輝きのある音色、かそけきため息のような音色、低く深い音色、曖昧模糊ととけあってしまう音色など、多彩な音色を駆使し、人によっては音楽が解体されてしまったと感じるのではないかと思うような独特な演奏です。けれども、前日軽井沢で行われたマスタークラスでは、譜面をよく読むことの重要性を説いていたということで、やはりポゴレリチの演奏は究極までとことん追求した結果なのでしょう。だから、レパートリーはあまり増えません。アンコールはショパン ノクターンop.55-2 (16番) 以前聞いたときは不吉なほどの美しさでした。ちょうどクロアチアの自宅が内戦の爆弾で一部破壊されたという頃で、顔がむくんでいるように見えました。今回も美しいのですが、テンポが遅くなり、さらに内省的になっていました。バラキレフ イスラメイ 十数年前に聴いたときは、はじめて聴く曲だと思ってしまったのですが、今回はメロディーがわかるようになっていました。途中でテンポをうんと落としてじっくりと弾き、その後テンポが速くなってからはただただ圧倒されるばかりでした。 ポゴレリチのリサイタルの後は疲れてしまうのですが、それでもまた聴きたくなってしまうのです。今回、あの緊張感に耐えられないといって来なかった友人は、以前、翌日仕事をしていても頭の仲でイスラメイが鳴っている、と言っていました。翌日はなんだかぼーっとしてしまいます。 ポゴレリチは父はクロアチア人の音楽家、母はセルビア人、旧ユーゴスラビア・ベオグラード生まれ、11歳でモスクワに単身留学。最初の先生は「普通」だったそうですが、アリス・ケジュラッゼに師事してから個性を発揮するようになり、後に14歳年長の彼女と結婚。1996年師匠でもありよき理解者、同志でもあった妻が癌で亡くなり(壮絶だったようです)、公演をキャンセルした時期もあったようですが、昨年6年ぶりに来日しました。ユニセフ大使を勤めたこともあり、年齢制限のないコンクールを主催したり、クロアチアの自宅が爆撃にあったり、ホテル火災で間一髪で脱出したり、波乱のある半生を送ってきました。最近再婚したようです。<蛇足> ホゴレリチはゆうべも自らピアノの蓋を閉めて退場しました。(そういえば、12日は足で椅子を下げていました)それが何を意味するのかはなんともいえませんが、演奏家はカーテンコールやアンコールが何度かあったあと、これでもう帰ります、という意思表示を見せることが時にあるようで、私は見たのはミケランジェリ 腕時計を持って現れ、時間がないと指差してみせました(一度キャンセルしたあと急遽決まったウィークデーの昼という公演で、サントリーホールでは夜別の人の演奏会がはいっていました)カラヤン コートを着て出てきましたシュライアー(声楽) アンコールに応える意思がある間は退場するときも花束をピアノの上に置いておき、これで終わりというときに持って退場誰だったか、手で合図をしてライトをつけさせた人もいます。
January 16, 2007
コメント(2)
ゆうべサントリーホールにてイーヴォ・ポゴレリチのリサイタルを聴きました。サントリーホールに行くのは1年ちょっとぶりです。 今回もライトを落としてステージの上だけが薄明るく、そこに登場したポゴレリチは薄暗いのと私の目が最近悪くなってきてよく見えませんがスキンヘッドかそれに近い状態で燕尾服姿。ますます恰幅がよくなっていました。(中村紘子さんはピアニストはプロレスラーみたいなもの、とおっしゃっていますが…汗)曲目は後半が変更になりベートーヴェン ソナタ32番エリーゼのためにベートーヴェンソナタ24番「テレーゼ」休憩グラナドス スペイン舞曲集op.37から5番、10番、12番 リスト 超絶技巧練習曲「5番鬼火」「8番狩」「10番へ短調」バラキレフ「イスラメイ(東洋風幻想曲)」 ベートーヴェンのソナタはそんな弾き方があるものか、そんなところにアクセントをつけるなんて、などと言う人がいるに違いない個性的な弾き方なのにもかかわらず、なぜかベートーヴェンの生きていた空間とか想いが目に見えてくるように感じました。32番もゆっくりでしたが以前ウゴルスキーの人の倍遅いテンポながら集中力のとぎれない演奏を聴いたことがあったせいか、思ったほど遅くなく?、24番は出だしからとてもゆっくりしたテンポでした。 ポゴレリチの演奏は常識を打ち破っているのですが、最初反発を感じても説得されてしまうというか、一旦壊して構築しなおして真髄を見せるとこうなるのかと思わせるものです。癒しとか、慰めとかいう甘えを許さず緊張を強いられます。 「エリーゼのために」は女の子のために書いたというわりにはちょっと恐いような曲のように思っていたのですが、ポゴレリチの演奏だと意外と心優しげで、そういうことだったのか、と思います。 グラナドスも以前に増して個性的でしたが、それでもスペインの光と影、木漏れ日、匂いを感じました。拍手を受けて座りなおすや否や、リストの超絶技巧をさらっと弾き始めました。「鬼火」は私の頭の中でやんちゃな少年か少女みたいな姿をした鬼火がちろちろと踊るように動いているうちに、たくさんの鬼火が現れて…続く超絶技巧の2曲も怪演(よい意味のつもりです。怪童なんていうときの快)。 「イスラメイ」は以前は私の記憶では曲を通して速いテンポで息もつかせず、新聞の評に「ポゴレリチがふたりいるみたい」と書かれ、食いしばった歯の間から聞こえる呼吸する音が、出産経験のある友人の友人に「ラマーズ法みたい」と言わしめたのですが、今回は途中で極端にゆっくりなテンポで音を噛み締めるように弾く部分がありました。 アンコールはショパンのノクターン18番。瞑想するような、追憶するような。曲の終わり近く、ピアニッシモで上昇して行ってそのまま彼岸か別世界に消えてゆくかに思われたところで現実に引き戻された心地。 地下鉄の駅について時計を見たら9時半になっていました。7時開演でしたから、ひとりのリサイタルにしては長かったのですが、時間がそんなにたっていることに気付きませんでした。アンコール1曲で自らピアノの蓋を閉じたのも、時間が押していたからだったのかもしれません。 デビュー当時から思っているのですが、とんでもないフェルマータの話や、主人公がオーケストラの演奏に憤慨していると現れてピアノを聞かせてくれたのがグルックの霊だった話など音楽小説を書いたE.T.A.ホフマンならどう描写するでしょう。そういえば、ホフマンはモーツァルトの大ファンで自分の名にもアマーデウスを加えただけでなく、当時あまり評価されていなかったベートーヴェンを支持していた人でした。ゆうべのベートーヴェンを聴いたらどんなふうに評したかしら?
January 13, 2007
コメント(3)
ゆうべ東京カテドラル(文京区関口)のコンサートに行きました。いくつもの合唱団がグレゴリアン、バロック、ルネサンス、現代の聖歌、キリシタンの聖歌、ロシア、ポーランド、ハンガリー民謡のクリスマスの歌を歌いました。 カテドラルは外観がジェラルミンみたいな感じで、写真で見た内部はコンクリートで寒々しいようでしたが、実際に入ってみると、上の方に向かって壁が斜めに狭くなっていくので、包み込まれているような感じがしました。同時にピラミッドパワーではないけれど、なにか、インスピレーションが降ってきそう。たしか上から見ると十字架の形になっていたと思います。寒いと聞いていましたが、めいっぱい人がいたので冷えませんでした。残響が合唱には効果的です。 オルガンなど使っている曲もありましたが、ほとんどがアカペラでした。心が洗われる歌の数々でしたが、中でもキリシタンの歌は、キリシタン弾圧の時代に命の危険を冒しながら信仰を守った人たちはどんな気持ちでいたのだろうと思うと涙が出そうでした。「キリシタン・マリア典礼書写本(野蘇教写経)」をイベリア系楽譜資料をもとに皆川達夫氏が復元した「Memento Salutis Auetor」 と千原英喜氏が資料をもとに作曲した世界初演の「さんた丸や御かんなんの事」でした。 司祭のお話は、『今は暗い時代になっている。この暗さの原因は17世紀に端を発する科学と理性が真実のすべてだとする考えにある。自分に見えることしか真実だと思わない、五木宏之氏のことばを借りれば「神の蝕」ともいうべき現代。キリストは12月生まれではないが、一番暗い冬至に近い時期にクリスマスは祝われるようになった。今、この時期にクリスマスを祝う意味は、これから明るくなっていくようにとの願いをこめることである』というような内容でした。 宗教教育などと言っている、国の教育改革に係わっている人たちが必ずしも畏敬の念や謙遜の美徳を持っているように見受けられないのが心配です。 池田香代子さんがおっしゃっていましたが、明治憲法も民主主義と書いてあったけれど、「法の定めるところ」ということばがあったために、自由と民主主義を縛る法律ができてしまったのだそうです。同じようなことばのある、先日可決された教育基本法も、これからどんな法律ができるかよく見なくてはいけません。それについて健全な批判精神で分析して国民に知らせるようマスコミにメールを出しました。
December 20, 2006
コメント(2)
「放送禁止」はキャッチコピーかと思っていたら、本当に某FM放送局で拒否されたのだそうです。「戦争はもうやめよう」という歌詞がストレートな表現だからだそうです!それでアルバムのタイトルをCensored(検閲された)にしたそうです。 この歌については、少し前にご紹介しましたが、Jamzipというアコースティックバンドの「Article9」です。「誰にも奪えない、明日また二人が、会えることを」という歌い出しです。タワーレコード限定発売。ネットでも買えます。こちら 5曲はいったミニアルバムですが、心地よく包み込むような音と声、共感できるメッセージ、どの歌もとてもよくて、老若男女多くの人に聞いてもらいたいと思います。特に生きづらいと感じている若い人たちに。 Article9の「戦争はもういらない…」「NO WAR手をつなごう、ぼくらのやりかたで」を口ずさむ人の輪が、さざ波のように静かに広がり、日本から世界へ発信できるように努力してゆきましょう。
November 10, 2006
コメント(8)
舘野泉、水月恵美子、平原あゆみ出演「秋のピアノの夕べ」に行きました。 舘野泉さんは2002年脳溢血で倒れ右半身が不自由になられましたが、不屈の精神で左手のピアニストとして復帰され活躍されています。 最初の曲は、バッハ(ブラームス編曲) シャコンヌニ短調。心に沁みました。次はプログラムに載っていなかった曲で、吉松隆作曲「子守唄」。お弟子さんの平原あゆみさんとの3手の連弾です。美智子皇后が続きを作ってくださいと所望されたそうですが、本当に優しい慈愛に満ちた心安らぐ音楽でした。そして作られた曲が次に演奏された「4つの小さな夢の歌」、吉松さんが若い頃に作った曲をもとに、3手の連弾用に去年書かれたばかりだそうです。 そして、平原あゆみさんの「吉松隆作曲 プレイアデス舞曲集」。プレイアデスとは日本名ではすばるです。洋の東西を問わず親しまれてきた星団なのですね。星たちのきらめきが遠い空のかなたから語りかけるともなく語りかけてくる… 休憩後水月恵美子さんによるシベリウス作曲ロマンス作品101、即興曲、フィンランドの作曲家メリカントのロマンス、ショパンの幻想即興曲。シベリウスはフィンランディア以外あまり聞いていなかったのですが、もっと聞いてみたくなりました。メリカントは「赤とんぼ」を思い起こさせるような親しみやすい曲でした。 プログラム最後は舘野泉さんの演奏で、林光作曲「花の図鑑・前奏曲集 ピアノ(左手)のために 舘野泉に贈る」プログラムの曲目紹介には『古今の詩人たちにうたわれて光を浴びた花々をめぐる、八つの音のエッセイ集』とあります。 1 ヒメエゾコザクラ 秋山清「白い花」 2 イヌタデ(あかまんま)中野重治「歌」 3 イヌノフグリ すずきみちこ「いぬふぐり」 4 サンザシ ピエール・ド・ロンサール「さんざし」 5 ハス 与謝野晶子 6 ツリフネソウ 沖縄歌謡「てぃんぐざぬ花」 7 フキ 宮沢賢治「林と思想」 8 ノイバラ 「梁塵秘抄」 アンコールはスクリャービンの左手のためのノクターンでした。透明な美しい音色でした。嫌なことを忘れる心温まるよいコンサートでした。世の中がもっと殺伐としてしまっても、芸術家はこんな暖かく美しいものを創り出すことが可能だろうか、可能なら、まだ人間にも望みがあるのだけれど、と思いました。 このコンサートは「共謀罪新設反対 一億二千万共謀の日記念」に開かれたものですので、演奏の前に共謀罪についての説明がありました。共謀罪については前にも書きましたし、こちらをごらんください。共謀罪ができたりしたら、市民団体が悪いことをしている企業の前でビラを配ったり、迷惑な建物が町内にできるからと座り込みをしようと話し合っただけで、威力業務妨害の共謀罪を問われてしまいます。相談している人たちが悪いことをするどころか、いいことをしているつもりでも、警察や権力に恣意的に判断されるところにこの法案の問題がある、ということでした。 同席していただけでも罪になる、考え直しても罪になる、諌めてとめても通報しなければ罪になる、めくばせでも罪になる、めちゃくちゃだと思いませんか?それに、テロや暴力団の犯罪を未然に防ぐための法律はすでにあります。政府や法務省は犯罪を目的とする集団に適用すると言いますが、それならテロリストやカルトだって犯罪そのものが目的ではないから、使えません。 今日の強行採決は流れたそうです(実際計画していた!)。まだまだ油断できませんが、今日強行採決しなかったことを評価するメールを送りましょうか。教育基本法も教育問題にかぎらず、国民を縛るものですので、白紙委任したわけではないことを意思表示しなくてはなりませんね。
October 24, 2006
コメント(15)
yohkoさんのブログ「幸せになるために」で教えていただいたルイ・アームストロングの歌です。WHAT A WONDERFUL WORLDyohkoさんが歌詞も載せてくださっていますので、ご覧になってください。Over the Rainbow もすてきです。
October 3, 2006
コメント(6)
全12件 (12件中 1-12件目)
1