源にふれろ

源にふれろ

倉本聰



 初めて手に取ったシナリオ、それがこの『北の国から '87初恋』だった。この作品をTVを見て、シナリオで読んで、こういう作品を自分も書きたいと思った。だから言わば、私の原点とも言える。いま考えてみると、当時、男子校の高校生だったので、レイちゃんみたいな子に憧れていただけかもしれない。遠い日の花火。

『6羽のかもめ』

 『北の国から』シリーズのシナリオを読破した当時10代の私は、次に理論社の倉本聰シナリオ全集30巻を順に買い始めた。今は既に絶版だが、私が大学生だった90年代初頭、大型書店の映画コーナーには倉本聰と山田太一のシナリオ作品集がずらりと並んでいた。倉本聰作品はどれも好きだけど、中でもこの『6羽のかもめ』はプロになってからまた再読したほど。
 NHK大河ドラマ降板事件で揉めた後、開き直ってTVへの批判をこめた作品。しかし、それを声高に訴えるのではなく、きちんとドラマとして消化して書かれている。
 何を書けばいいのか、小難しいテーマが必要なのではないかと悩む時は、「さんまの頭は右か左か」をモチーフとして、上質なドラマに仕立て上げている、この作品(第1話)のことを思い出す。ドラマは日常生活のどこにでもある、という好例。

NHKドラマ『川、いつか海へ』で倉本聰と競作した野沢さんは『北の国から』を、三谷さんは『6羽のかもめ』を自分に影響を与えた作品として挙げていた。



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