萬華鏡-まんげきょう-

苞山伏(つとやまぶし)

◇苞山伏(つとやまぶし)◇



苞とは、藁(わら)に包んだお弁当。納豆なんかを保存食として包んいるのをイメージしたら良いかと思いますが、今はあまり見かけなくなりましたね。


この狂言には三人出てきます。
まず山人。
昼飯を持って現われ、くたびれたと言って眠ってしまいます。
そこに修業から戻ってきた山伏。
鬼と山伏は摺り足ではなく、足を上げて登場します。
「自分の呪術は飛ぶ鳥を落とすほどすごいぞ」と自画自賛しながら現われ、その割にくじけてその場に眠ってしまいます。
さらに、そこへ使い途中の男が現われ、山人に蹴つまずく…と言うところから話が始まるわけです。

使いの者は、山人の枕元にある苞(昼飯)に目をつけ、盗んで食べてしまいます。
山人が起きると使いの者はその場に「狸寝入り」(笑)
当然、山人は自分の昼飯がないことに気付きます。
そして嫌疑をかけられた使いの者があれこれと、その悪行を誤魔化そうとするところに面白さがあります。

この狂言は三人(山人、山伏、使いの者)とも寝てしまうんですね。
お能ではあまり寝ないのですが、狂言ではよく寝ると(笑)

能では…
両手で拳を作り、額に重ねておき、左右にユラリユラリと船を漕ぐ型を実演。

…というふうに、かなり様式化されていますが、狂言では本当に横になって寝ます。

そして、この 「苞山伏」はストーリーが芝居じたてです。
サスペンス劇場 とも言いますか、かなり大げさです。

私が拝見した公演の解説をされた野村萬斎さん曰く・・・
「三人の男が寝ている、山人の昼飯が食われた!犯人は誰だ!」(笑)
と、推理劇のように始まるのですと、とても楽しいユーモアを交えて解説してくださいました。




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