萬華鏡-まんげきょう-

清水座頭(きよみずざとう)

◇清水座頭(きよみずざとう)◇



この狂言には目の不自由な女、瞽女(ごぜ)と男、座頭(ざとう)が登場する。
この瞽女は3年前に病気が原因で盲目となってしまった。
行く末を案じた瞽女が良い夫を持ちたいと清水観音に詣で、お籠もり(通夜)をする。
そこに同じように妻乞いのために座頭がやってくる。
目が見えないため、座頭は女にけつまずき、そこで口論となる。

「目が見えているんなら気をつけなさいよっ!」
「そっちこそ見えてるんじゃないの?」

でも、話をしているうちにお互い盲目の身であることが分かり和解する。

それではと、座頭が持参してきた酒を酌み交わしながら、楽しく謡を謡う。
ここで座頭が謡うのは、狂言謡特有という 「平家」
それから、瞽女が謡うのは 「地主」

節回しが難しい難曲だという。

「平家」(へいけ)の詞章

そもそも一の谷の合戦破れしかば 源平たがいに入り乱れ
向かう者の顎を切らるる者もあり 逃ぐる者の踵を切らるる者もあり
忙はしき時の事なれば 踵を取って頭につけ
顎を取って踵に附けたれば 生へふず事とて
踵に髭がむつくりむつくりと生えたりけり
冬にもなれば 切れうず事とて
顎に皸がほかりほかりと切れたりけり


「地主」(じしゅ)

地主の桜は ちるかちらぬか
見たか水汲 ちるやらちらぬやら
嵐こそ知れ


すっかり楽しくなった二人。夜も更けて、それぞれ眠りにつく。
すると二人は夢の中で西門にて結婚に相応しい相手が現われるというお告げを聞くことになる。

それぞれに西門へ急ぐが、互いに盲目。
その相手が本当に来ているのか、また探し出せるのか、見つけてもらえるのか不安になりながら、ついに運命の相手に出会うこととなる。

その相手とはまさに、昨夜楽しく一緒に話をした座頭と瞽女だった。
二人は手に手を取り合い、共に帰っていく。



この狂言謡の「平家」は平家物語の詞章を琵琶の伴奏で弾き語りする平曲の節のこと。
意味は・・・
源平が互いに入り乱れた一の谷の合戦では、かかとを切られた人と顎を切られた人がいたが、急いでいたので、かかとを顎に、顎をかかとにつけてしまった。すると、かかとに髭が生え、冬になると顎にあかぎれが出来てしまった。 というもの。
※参考:新宿狂言パンフレット


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