青藍(せいらん)な日々

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第88話 燃料タンク


古いヨット、ボートの殆どにみられるトラブルです。車のように毎日使うものではありません。従って、燃料タンクには古い軽油が残っている。こういう状態が長く続いて、やがてはタンクを汚染してしまいます。ヨットでもボートでも同じです。

通常はそれ程長くエンジンを掛けて走る事がなかった。タンクのゴミはフィルターで止まり、それもフィルターを目詰まりさせる程ではなかった。だから長い間トラブル無しで乗れた。ところが、久々に遠出を計画して、目的地に明るい内に着きたいので、必然的にエンジンが長時間稼動することになる。これまで2,3時間走っても何も問題なかったにもかかわらず、5時間も走リ続ける。海が凪の状態なら、燃料パイプの周辺だけのゴミで済んだものが、時化たりするとタンクは攪拌され、次から次に燃料パイプからゴミが吸い込まれていく。フィルターはあっという間に目詰まりし、エンジンの回転が燃料不足で下がってくる。やがて、停止。しばらくしてエンジンをかけてみるとかかる。が、しかし、再び停止。これの繰り返しとなる。

こういうトラブルは古いヨット、ボートには殆どの艇に発生するトラブルです。しかも、時化た時にこそ起こる。それで必要な事は燃料タンクの掃除です。でも、これがやっかいですね。まず、 燃料タンクを洗う為の大きな穴が無い。取り出す事もできないばかりか、艇によっては燃料タンクの上面にさえ手が入らない。こういう艇は非常に多い。しかも、タンクは内部で仕切り板があります。これは時化た時に燃料が暴れる為、その衝撃を軽減する為です。ですから、1箇所の穴からでは完全にタンクを洗うことができない。こうなったら、各部屋毎に穴をあけて洗う意外方法が無いのです。

さて、次善の策としてはフィルターの追加でしょう。タンクのゴミは洗いきれない。それならフィルターでゴミをストップしてエンジンに行かないようにする。でも、すぐに目詰まりしては困るので、燃料流量の最低3倍、或いはそれ以上大きな燃料フィルター/水分離器をつけます。流量の最低3倍というのは、多少目詰まりしてもまだ充分という流量を確保する為です。汚れがひどい場合はもっとでかいのをつけた方が無難でしょう。特に時化た時に発生するトラブル、充分以上の対策をしておいた方が良い。後で後悔しない為にも。繰り返しますが、この種のトラブルは古い艇の殆どで発生します。どのくらい古いかというのは、どれだけ長い間古い燃料が残っているかによります。毎日使う車は常に新しい燃料が入ってきます。でも、ヨット、ボートはそうは行かない。それに常にスペアーのフィルターを持っておくべきです。そしてこういう症状が出たら、すぐにフルターを交換する。


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