青藍（せいらん）な日々

第８９話　それで、どんなヨットがいいの？

ところで、太平洋を横断するに、俗に言う外洋ヨットでなければできないのか、というとそうではありません。でも、そうでないヨットの場合、歪が出たりといろいろ不具合が出てきます。でも外洋ヨットならそういう歪が出てこないという事です。

５０フィートの外洋艇でデイセーリングができないのかと言うとそうでは無い。ただ、取りまわしが大変だという事です。

それぞれには、相応しいヨットのコンセプトがある。それに合っていればいる程、楽に楽しめるという事ですから、ここはじっくり考えた方が良い。そして、いくつかあるコンセプトの合ったヨットの中から、感性を持って決めるのが良かろうと思うのです。一方、感性で選んで、コンセプトに従うという方法もあると思います。自分の乗り方は解らない。でも、このヨットが気に入ってしまった。そういう場合は、乗り方をそれにあわせてみる。どちらにしても、決定付けるのは感性です。感性こそが自分自身であり、理屈は世間です。そして、遊ぶのは世間では無く、自分だから。

ヨットは値段がはります。ですから、失敗しないようにとじっくり考える。ああいう場合、こういう場合、価格、仕様、様々な事を考えます。でも、最後は感性で選ばないと、失敗しないようにして失敗してしまう。今、マリーナに係留されている、動かないヨット、これを失敗と呼ばないなら、それでも良い。でも、動かないヨットが、使われずに高い係留料を払うだけが、成功とは思えない。もちろん、これも見方によっては、学ぶ為のステップと見れば、成功であります。という事はこれを見て、同じ事を繰り返す事が失敗と言えます。理屈で遊ぶわけではありません。感性で遊ぶのですから、感性で選ぶのが当然と言えます。

感性で選ぶというのは、ちょっとわかりにくいですね。どうしたら、そんな事ができるのか。これを理屈で考えても解らない事になる。特に、何でも理論で考える人の方が解りずらいかもしれません。
理屈を超えて、感ずるしか無いのです。これじゃ、答えにならない。何も考えずに、見る事ができれば良いのですが。でも、誰でもよくよくさぐって見れば、解ると思うのです。何となくこっちに引かれる、でもあっちの方が安いとか、広いとか、収納がたくさんあるとか、ラットだからとか、或いはその逆とか、感性VS理屈です。そこに想像力が入りこんできます。たいてい、想像は理屈を元にした場合が多い。
何故なら、まだ乗っていないからです。それで想像力が理屈を後押ししてしまう。でも、感性を取った方が良いと考えます。味わった事があるものは、想像できます。でも味わったもので無いものは、理屈がベースとなって想像するしかない。理屈は目で見た物をベースとしますから、造船所は目で見て解りやすい物として造る。目で見た物は想像しやすく、お金を払いやすいからです。目で見えない物は想像しにくいですから、体験が無いと想像できませんから、お金をだしにくい。でも、感性は目で見えないものをも含んでいますから、完成度が高いのです。これで失敗したと思うことが無いとも言えない。でも、理屈で選んだ物よりベターです。感性で選べば、必ず心に響いてくる。

洋服を自分で選ぶ。洋服は寒さをしのぐという仕事をしますから、そういう意味では何でも無駄にはなら無い。でも、気に入った洋服であれば、気持ちもうきうきしてきます。これと同じなのです。遊びは仕事では無いのですから、心がうきうきしてこなければ嘘です。タバコを止める人は多いですが、止める時に苦しいのは、体験があるから、その吸った心地良さが想像できるから、止めるのは苦しい。たいてい、想像が理屈に勝つ。でも、体験していないものは想像すらできませんから、理屈をベースにすると失敗してしまう。車でも、服でも、家でも、たいがい物は失敗しても、仕事として役に立つ。だから、目立たない。
何とか、理屈をこねて、仕方無かったとか、自分を納得させようとします。納得する理由を自然に探してしまう。でも、ヨットがもし失敗だったら、仕事しませんから、何の役にも立たない。それらが、マリーナにたくさんころがっている。だから、失敗してほしくないのです。

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