始めはブログにお雛様を乗せたいなぁと写真を撮っていたのですが、撮っているうちに
だんだん物語が浮かんできたので・・・急きょ物語風にしてみました(笑)
一応、「ひな祭り」にちなんで創作しましたので、よろしかったら読んでやって下さい。
春のあたたかい陽だまりの中、幸せそうなお内裏様とお雛様がおりました。
でも、本当は少し違ったのです。幸せは曇り空だったのです。
お雛様はいつも華やかでぬくぬくとあたたかい屏風の前の自分の席から抜け出して、新しい世界に飛び出したかったのです。
ある日お雛様は屏風の前から姿を
消し去りました。
いつも隣にいらしたお内裏様の心配のしようは並大抵のものではありませんでした。
それどころか、今まであんなにやさしい春色のお花畑みたいに明るい場所が
陽射しの差し込まない、冷たい風の吹きすさぶ空間へと変わっていたのです。
その様子をこっそり見ていた猫のダンダンとポカポカはたいそう心配して、何とか策を考えようと会議を始めました。
「よし、おいらにまかしとけ!」
「姿を消した雛様を連れ戻せば、万事上手くいくに違いない」
ダンダンは得意顔で、しっぽをピンッと伸ばしました。
「そんな必要はないわ」ポカポカは笑いながら言いました。
「あの2人は何にもしなくても元の場所に戻るわよ」
「返って何もしない方が早く戻ると思うわ!」
と余裕のしるしに前足で顔を舐めてみせました。
ダンダンはまったく信じられず、「本当に大丈夫?」と何度も何度も
ポカポカに問いただしていました。
その頃、青白い顔をしたお内裏様は、じっと考えていました。
「私は今まで幸せをなおざりにしていのたかもしれない」
「当たり前だと思っていた春のあたたかい陽だまりは、隣にいつも雛がいてくれたからなんだ・・・」
お雛様もひとり考えていました。
「違う世界にあこがれていたけれど、外の世界は何て肌寒いのかしら」
「同じ毎日がたいくつだと思ったけれど、私に感謝の気持ちが足りなかっただけなのね」
お雛様はお内裏様の横にいた日々のことを思い出していました。
「内裏様の隣はいつもあたたかかったわ・・・」
お内裏様はやっとお雛様を探し当てました。
「雛、少し私の話を聞いてくれないか」
「私は今まで幸せを少しも大切にしていなかった」
「春の陽射しはいつも雛が横にいてくれたから、感じる幸せだったことに
やっと気が付いたんだ」
「えっ?」お雛様は耳を疑いました。
「私こそ平和な毎日をたいくつだと思い、感謝の気持ちひとつなかったの」
「いつもの場所から離れてみて初めて、あたたかさが 大切さが よく分かったの」
どうやらお内裏様もお雛様も同じ気持ちだったようですね。
「ほれみなさい、私の言った通りでしょ」 ポカポカはうれしげにヒゲをピクピクさせました。
「うんにゃ~ほんとだ、ほんとだ」ダンダンもビックリしつつも興奮気味に
しっぽをパタパタ、パタパタ動かしていました。
お内裏様もお雛様も元通り、いえ前より幸せそうです。
そして、毎日の 幸せに あたたかさに 感謝しているようです。
春の陽射しはぽかぽかになって、ダンダンとポカポカの所まで届きました。
ダンダンもポカポカも大好きな日向ぼっこが出来て、とてもご機嫌。
「こうぬくぬくしてるとと~っても幸せだにゃ~・・・・・これでお魚があれば最高なんだけどにゃ!」
おやおや、静かな平和が戻ったら早速お腹の虫が騒ぎ出したようですね。
曇り空のひな祭りはどこまでも晴れ渡った青空のひな祭りへと変わったようですね。
みんなで楽しくお祝いしましょう。
あっ、そうそう いつもあなたの側にいるダンダンとポカポカにも
声を掛けてあげると きっと喜びますよ・・・
花の女神とハートの女神のプレゼント February 27, 2007 コメント(2)