ゆめのあとさき

ゆめのあとさき

忘れない日々


いつもの時間で私は出勤。彼女は体験検査のため
(彼女はMRI・CTの助手をしていました)
いつもより30分早く、子供達と一緒に家を出たらしい。
彼女は車で10分、私は歩いて10分の所に勤めていた。

8:30  保険証を持ってきて欲しいと携帯に電話がかかる。
9:00  上司に一言告げ病院へ保険証を届ける。
9:20  担当医(妻の上司でもある)から、脳動脈瘤が見つかった事を
     告げられる。入院の準備を告げられる。
     破裂前で不幸中の幸いと。

この時点で、妻は少し異常が見つかった程度しか聞かされていなかったが
ショックで血圧が200を超え、一度倒れていた。私はしばらくそばについて
頭(髪)や背中をなでながら、翌月に予定していた家族旅行の話や
両親には良くなったら今日の事話そうねって二人で話した。
彼女も少し落ち着き少し笑っていたし、そうなるように努めた。
話してる限りでは体調以外異常は無かった。

10:15  会社が気になるので一度戻ると告げ、病院を後に。

後でなんでずっと一緒にいてやらなかったのか一生の後悔をする事になる。

11:15  病院に向かう途中で携帯がなる。運転中なので出ずそのまま
     病院へ。着くとすぐに奥の部屋に通される。だんだん身体が
     こわばってくる。席に着くと「破裂しました」「可能性は
     五分五分以下です」。血の気が引いていった。
     「検査してから手術をするのが普通ですが今は時間が第一です。
     キツイ薬も使います。ご同意を。」
     もうろうとする中、署名・捺印をしていた。
     手術の準備は出来ていた。
     付き添われてICUへ。準備された彼女が静かに眠っていた。

12:40  手術開始。
13:20  病院を後にする。涙がボロボロ流れてくる。気が狂いそうで
     車の中で大声をあげて泣いた。
     自宅に戻るがすべての風景が違って見えた。
     気が落ち着くのを待って、義父母と義妹、実母に電話、淡々と。

                             (続く)



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