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生き続けることは泣き続けることに似ている死ぬことが泣き止むことに似ているように考えてみると僕らはずっとそうしてきたのだはじめの日からずっと今さら何が怖いだろうか
January 20, 2010
夜である必要があるだろうかこの晴れた空の下で昼である必要があるだろうかこの漆黒の闇の中で想いなどというくだらない感情に流されて自分を変える必要があるのだろうかお前は今までお前で居続けるためのみに日々を費やしてきたのではなかったのか若者達が濡れ遊ぶ海岸の日も浴衣の揺れる祭りの朝も遊園地の軽快なパレードの夜もお前だけはお前の内に向かい問い続けていたのではなかったのかさあ戻ろうお前がかつて純朴によって手にいれた場所へこの星の声とともにそうして過去がまだ未来であった頃の希望をもう一度探そう
January 20, 2010
登りきった山の頂上から見下ろすと歩いて来た道はあまりにも細く濃い雲に呑まれていたすでに帰る場所などないしかし見上げても空しかなくもうこれ以上昇る術もない私はただ足元の石たちの促すままに山頂をよろめき歩くどこで間違ったのか本当にどこかから間違ったのかそれともこれが正解なのかむなしさの中で視線を落とすと石影に小さな花が咲いていた花めまだ独りのほうが諦めもついたのに
January 18, 2010
人は泣きながら生まれてくるそれが本来の姿であるかのようにだから僕らは笑うのに理由がいる笑いつづけるのに努力がいる忍耐がいるしかし泣くことに理由はいらないただ心の中をひっくり返して全部出してしまえばいいそれだけでいいだが僕は泣かない泣くことができない僕はきっと苦笑いしながら生まれてきたのだろう
January 14, 2010
人は許さない人は決して許したりしないいくら心を塗り替えようとしてもいつかは透けて見えてしまう何かの雄叫びに花の揺れる度に誰かが笑う音にさえ目覚めくっきりと浮かびあがるのだ憎しみそれは苦しみされは悲しみしかしそれは力私はただこの力を持ってこの道に立とう
January 14, 2010
窓は開け放たれていた晴天の下に星空の夕べにしかし僕は振り向かなかった気付かないふりをしてただ雲雀が飛ぶのを見ていたその窓を抜けるのは生まれたばかりの春の風でなければならないことを知っていたから
January 12, 2010
夜空に浮かぶ月を見上げ人々は思ったことを口にするやれ今夜の月は細いだとか丸いだとか大きいとか小さいとか泣いているとか笑っているとかしかし月は誰もが生まれる前からそこにあり誰もが死んだ後にもまたあり続けるだろうつまり月は決して人々のためにあるわけではないのだだからこそ僕は見上げた時いつもそこに月がちゃんと居てくれることに喜びを覚えるのだ
January 8, 2010
もう死んだ方が皆のためになるのではと思いながら真っ黒な川面を覗き込んでいたただ責務という鎖だけで世の中に繋がれているこの身体は今いったい誰のものなのだろうか草の原に寝転んで好きなうたを読んでいたあの頃と何が変わったというのだろうか心嗚呼、この心という奴ただそれだけの為になぜここまで苦しまねばならない己の中にしか存在せず本来ならば自分でどうにでも出来るはずの自分自身しかし、心なぜ僕を裏切るすでに決めたではないかすでに許したではないかそれともそうじゃないのかなあ心よ
January 8, 2010
照り返しの強いアスファルトの坂を下ってゆくととつぜん遠くに水平線が現れる思いつきで出かけてきたので僕らは何も用意していなかった自動販売機のソーダ水間に合わせで買った麦わら帽子木陰のある石段に座り君はスカートの砂をはらっていた夏。また今年も来るはずなのにもう何年も訪れていない気がする
January 8, 2010
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