負け猫の刀 by green


 「負け猫の刀」 by green


 毎日がどん底
 一人で負け猫

 彼は何とも思っていないらしい
 ということは彼、私のことまだ恋人だと思っているらしい
 私が先に負けたのだ、この状況に
 彼は最初から半分勝ち、半分負けている
 だからこそ堂々とこの世の中で生きて行ける
 そういう彼がいるから私は生きていられるのだろう

 誰もが折り合いをつけているらしい
 どうやら
 私は折ることができない
 暗い穴にじっと身を潜めて
 どんどんと尖らせている

 刀は堅過ぎるといけないらしい
 もちろんもろくてもいけない
 適度にしなる刀が一番強い

 私の刀は堅くし過ぎた
 だからもろい
 ぽきりと折れてしまうかもしれない
 それでも折ることができない私は
 尖らしにかかっている

 強くなんかないのだ
 強くなろうとして
 もろくなっているのだ


© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: